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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
これが本音なら、楽だったのに。

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。未知の場所に飛びこんでいくのだ。
緊張で声が震えていた。それは独りで歩き出すための嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と言った。夢を現実にするのだ。
その一方で置いていってしまう君が不安だった。これが本音なら、楽だったのに。
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無理矢理、キスされた。初めてだったのに、強引に唇を奪われた。
キスには魔法がかかっているから、大切のするのよ。と母の教えを大切にしてきた。
涙が零れてきた。唇をごしごしと拭う。「愛している」とあなたは言った。
「だってこんなの、愛じゃない」と私は涙を止めて、睨んだ。
稚拙な絵だった。それでも大切な絵だった。色鉛筆で太陽の下、家族そろっている絵だった。
ひきつった文字で『ずっとなかよし』と書いてあった。
手を繋いで笑っている絵は、宝物になってしまった。思わず私は慟哭する。
どうして『ずっとなかよし』ではいられなかったのだろう、と。
お家はお隣さん。物心からつく前から幼馴染。学力もどっこいどっこいだから、学校も一緒だ。
こうして一緒に帰るのも小さい頃からの習性だ。それでも高校生になると仄かな期待が生まれてきた。
「ねぇ、私のことどう思っている?」知りたい欲求から私は訊いてみた。「幼馴染だろ」
iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
胸の痛みは消えやしないな。

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僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の噓をついた。それは歩き出すための嘘だった。
これからは独りで歩いていく。隣に君はいない。
「世界で一番、大嫌い」思っていることの正反対のことを告げた。
「そうですか」と君は微苦笑を浮かべて言った。胸の痛みは消えやしないな。
電車が急カーブをして揺れた。吊革をつかんでいた君もよろめいた。
倒れるかと心配して僕は肩をつかんだ。終着駅につき、電車から降りた。
君は堂々と、僕の指先に爪を立てる。「さわらないで」と小さな声で君が言った。
急カーブの一件だろう。「今は君がさわってるよ」と僕は笑う。
恋には終わりの季節が用意されている。朝晩冷える頃に、僕の恋は終わった。
よく通った喫茶店で君はホットカフェオレを頼んだ。僕はいつも通りブレンドを頼んだ。
テーブルに運ばれてくる間のわずかな時間。
「好きだったのは、嘘じゃないけど」と君は重い口を開いた。「過去形?」
君は水面のように静かにキーボードを打鍵する。メカニカルが好きな僕とは対照的だった。
二人は新人賞の小説の下読みをしていた。やや粗削りだろうが面白い設定の原稿にぶち当たる。
拾うの悪くもない。けれども、どう評をつければ分からない。打鍵してはDeleteのくりかえしだった。
秋の気配がした。もっと北に住むあの人は毛布を出したという。
金木犀が知りたいとあの人は言っていた。
だから写真と金木犀の香りがする練り香を贈った。
あの人は信じられないぐらいに喜んで、大切にすると言った。
本当は『こちらに遊びに来ませんか』と言える勇気が欲しかった。
iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。

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僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。それはどうしようもない嘘だった。
まるでまだ眠っているかのような嘘を僕はつく。「君の全部を忘れたいんだ」と作り笑いで言った。
別れ話にしても、ずいぶんロマンティストな切り出しかった。君よ僕をいっそ笑い飛ばしておくれよ。
いつもの帰り道だった。付き合ってから日が浅いから、それすら新鮮だった。
友だちだった期間が長かったから、よりそう思った。僕は恥ずかしそうに、彼女の指先を握る。
本当は肩の方がいいのだろうけれども。スピードに乗ったトラックが通りすぎる。
彼女の髪が揺れた。危機一髪だ。
iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。

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僕は、ぎゅっと手を握り締めながら最後の噓をついた。それは悪あがきのような嘘だった。
まるで海の中で溺れるような嘘だった。「永遠を信じている」と僕は君の手を取った。
君は満面の笑みを浮かべた。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。僕は永遠なんて儚いものを信じていない。
自分で言うのも、おこがましいかもしれない。それでも自慢したくなるほど、僕の奥さんは可愛い。
休憩時間になって、僕はお弁当を忘れたのに気がついた。
コンビニでパンでも買えばいいけれども、愛妻弁当が食べたかった。ふいにフロアがざわめいた。
「もう忘れ物しちゃ駄目だよ?」
どんな言葉を言えばいいのだろうか。この気持ちは深くあふれて、思わず涙が零れそうになる。
今日を生きていく。深呼吸をして、前を向いて。それを教えてくれた人たちに深く感謝をする。
私が私で在れるのは、泣きたいぐらいの気持ちがあった。どうか、そのことを忘れないように。
iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。

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僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。まるで世間一般の会話のように切り出す。
それは現実逃避のための嘘だった。「君の全部を忘れたいんだ」と言った瞬間、君の顔が凍りつく。
「どうして」震える声も隠さずに君は尋ねる。決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。君を見て思う。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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