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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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手紙が来た。
珍しいものもあるものだと思った。
学生時代の友人たちととは、せいぜい年賀状をやり取りをするだけだ。
封筒を裏返して、差出人の名前を見て、さらに驚く。
急いで封を開ける。
白い封筒には、白い便せんが一枚、入ってただけ。
『もう一度、あの夏で会いましょう』一言書いてあった。
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空が波立っていた。
一つとして落ち着きがなく、雨が降ったり止んだり。
そろそろ青空が恋しくなる。
洗濯物を外に出すかどうか悩んでいると、虹色の瑞雲が見えた。
少女は青年を呼びに行く。
「珍しいな」と青年は呟いた。
少女は目を潤ませる。
ただ二人で空を見上げているだけなのに不思議だった。
吐く息も白く、うかうかとためいきをつけない。
そんな季節になった。
君がそっと、僕の腕を指先でつつく。
子どものような仕草に思わず失笑してしまう。
それがお気に召さなかったようで、君はそっぽを向く。
僕は冷たい君の指先を握り締める。
天然ホッカイロの役目を果たす。
君は僕を見上げた。
「これはあくまで政略結婚なんですからね」何度も大臣に言われた。
「帝国との友好関係を深めるために皇帝から寵愛されてください」大臣は冷めたようなことを言う。
王女はそんなものだと思い嫁いだ。
すると初夜で囁かれた。
「あくまで僕が、あなたを愛していたいんです。心配しないでください」
「どうかしたか?」青年は少女に尋ねた。
少女は赤面して、首を横に振る。
どうやら気になることがあるらしい。
少女の視線は正直で青年の顔を見つめる。
青年は微苦笑を浮かべる。
「気になることがあるなら言って欲しい」青年の言葉に少女は口を開いた。
「男性でも口唇は柔らかいって本で読んで」
少女は青年のそばにいられれば幸せだった。
一番になれなくてもその瞬間を独り占めできるということが嬉しかった。
青年に『彼女』ができる前までは。
幼なじみの立場に甘えていた結果だった。
いくら悔やんでも悔やみきれない。
もっと早く行動に出ればよかった。
そうすればいつまでも一緒だった。
くたくたにくたびれた革靴には一種の美しさがあった。
どんな時も寄り添ってきた。
どんな場所も歩いてきた。
想い出が詰めこんで飴色に染まっている。
昨日も履いていたように、今日も履いていくものだと思っていた。
「新しいの買ってきたわよ」母に革靴を手を渡された。
それを見て悲しむ。
小さな子どもが泣き顔で、兄らしき子どもの腕を軽く握る。
席を譲ると申し出をしたが兄らしき子どもに、やんわりと断られてしまった。
今時、しっかりした子どもだ。
感心しながら電車の中で見守った。
兄らしき子どもは優しく小さな子どもの頭を撫でる。
聞き取れなかったが何やらささやいた。
「どっちがいいと思う?」少女は少年に尋ねる。
正直、どっちでもいいと思う。
「試着させてもらえば?」と少年は無難な答えを言った。
「私は、あなたに訊いているの!どっちが好み?」少女は言った。
「はいはい、可愛い可愛い。どっちも似合っているよ」少年は投げやりに言った。
「どっち?」
林が鬱蒼と茂る神社で少女ははしゃぐ。
青年はそれを見守って、ゆっくりとついていく。
自然と呼吸が楽になるのは、緑のおかげだろうか。
「早く本殿に行きましょう」少女が折り返してきて青年の手を取る。
久しぶりに何もない日だ。
「ここのご神木は見なきゃ損ですよ」嬉しそうに少女は笑う。
あなたに差し出せるものは、みなガラクタばかり。
清い心を持っていなかったから、どこか薄汚れている。
あなたには相応しくないものばかりだ。
それが悲しくて、それが辛くて唇を噛む。
唯一、差し出されるものは歪で美しくなかった。
愛なんて綺麗なものじゃない。
あなたには似合わないのに笑う。
綺麗な夕焼けだったから、室内にいる青年にも教えたかった。
サンダルが脱げかけだった。
きちんと脱ぐのも、もどかしくて玄関から声をかける。
青年は不思議そうにやってきた。
「空が綺麗ですよ」少女が言うと、青年は靴を履く。
二人そろって空を見上げる。
「見事な夕焼けだな」青年は呟いた。
今日は二人にとって大切な記念日だった。
彼はちゃんとデートコースを選んでくれたし、仕事の話を一切しなかった。
大切にされている。
けれども、私は日常の鬱憤を吐き出したくなった。
「じゃあ、これはいらないな」彼は小箱を見せる。
目を逸らしつつ、手のひらにしがみつく。
「いる!」と言う。
自然公園に来たのはいつぶりだろうか。
コバルトブルーの青空が広がっていて、眩しかった。
こんなにも太陽に照らされていると、今まで外に出なかったのが愚者の気分になる。
空が高い。
手を伸ばしても届かない。
思わず、子どもたちの笑い声にためいきが出た。
青い空を目に焼きつける。
歩いていると看板が見えた。
看板には『落とし穴にご注意を』とはっきりと書いてあった。
その看板の横には立派な落とし穴。
看板があるのだから、落ちる者などいないだろう。
そう思うのは早計だった。
背中を押されて落とし穴に落ちていく。
準備も覚悟もしていなかった。
それを人は『恋』と呼ぶ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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