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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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休日の午前中。お茶を淹れるために薬缶に火をかけていた。
インターフォンが鳴った。
「はーい!」と返事をしてドアを開ける。
郵便屋さんが「お届け物です」と小箱を取り出した。
「サインをいただけますか?」と言う問いに、名字を書く。
小箱の中身は色鉛筆のセットだ。
薬缶が鳴る。
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ことん。
肩にあたたかい重みが乗った。
眠ってしまったのだろうか。
起こすのは悪いので、視線だけ動かす。
目は開いていて、どこか遠くを見ているようだ。
「君の世界を僕にもわけて」と呟くように言う。
意味を取りかねて無言でいると「無理だよね」と自嘲気味に唇が形を作る。
すっと離れていく。
今日から普通に温かいご飯を食べられて、学校にも通える。
生まれてからずっと普通じゃなかったから、そんなささやかなことが嬉しい。
お父さんが酒に酔って、殴ることもない。
お母さんのヒステリックな声を聞くこともない。
お姉ちゃんが手紙一通を残して、家を出て行くこともない。
普通だ。
君を守ることが正義だと胸を弾ませる。
それはすでに過去のことになってしまった。
君は今頃どうしているだろうか。
追憶はほろ苦かった。
僕は正義を貫けなかった。
君を守りきることができなかった。
君の最後の表情は、何もかも達観した顔だった。
そんな顔をさせるために行動したわけじゃない。
行き場所がなく、結局真夜中のファミレスに落ち着いた。
逃げるように家を出てきたものの、居場所が見つからない。
「この後、どうする?」君は軽々しく、僕の指を指先でなぞる。
「君次第かな?」僕は溜息をついたみせた。
少しは深刻な状況だということに気がついてほしい。
「かけおち楽しいね」
うとうとと睡魔がやってくるが、深く落ち込むことはない。
起きるか、寝るか。
何度目かの逡巡の後に、重たい瞼を開けた。
蛍光灯が燦然と部屋を照らしていた。
帰ってきて布団の上に倒れるように寝落ちをしたのだ。
スーツがしわになっちゃう。
そう思いながら、瞼と瞼がくっつきそうになる。
お嬢様の瞳が霞む。
感情を読み取らせないように、ベールがかかる。
「ひまわりが見たいわ」
秋も中旬、夏の花を入手するのは難しい。
以前のお嬢様なら、そんな我が儘を言うことはなかった。
花屋に電話してみようか。
ビニールハウスで育てられていてるひまわりがあるかもしれない。
笑顔が見たい。
「ねぇ、どっか遊びに行こうよ」静かな図書室で少女は言った。
「その前にテスト勉強、だろう?赤点を取ったら、どこにも行けなくなるぞ」少年はたしなめる。
「勉強なんて社会に出たら関係なくなっちゃうよ」少女は頬を膨らます。
「拗ねている君も可愛いよ」少年は苦笑しながら言う。
「本当?」
ほどよく背中を揺らされた。
このまま安眠していたいと思った。
小さな声で名字を呼ばれて、居眠りから目覚めた。
隣の席のクラスメイトが目を丸くして、こちらを見つめていた。
「これ、さっきの授業の板書」とノートを差し出してくれた。
「ありがとう」と感謝の礼を言う。
「お疲れ様」と笑った。
楽観主義者の幼馴染がタイトルだけで、映画のDVDを借りてきた。
どうやら洋画のようだ。
字幕ものは眠くなるから、寝落ちしないように気をつけないと思った。
それは杞憂だった。
幼馴染の選んだ映画はホラーだった。
開始5分で一人目が死んだ。
苦手なジャンルだったが、これは造り物だと耐える。
姉が大輪の百合を花瓶に活けていた。
カサブランカだ。
普段、花などと無縁の家だから、その手つきが儀式めいていて眺めてしまった。
視線を感じたのだろう。
「神無月がやってくるからね。おまじないよ」姉は微苦笑を浮かべる。
私は納得がいってテレビに視線を戻す。
神頼みもごっただ。
「ねぇ、お母さん」布団の中にもぐりこんだ少女は、母に尋ねる。
「なぁに?」優しく頭を撫でていた母が微笑む。
「どうして、私に優しくしてくれるの?」少女が照れながら問う。
「貴方の全てが愛おしいの。だから自然と優しくなっちゃうのよ」内緒話をするように母は答えた。
少女は満足した。
メトロノームのように、行ったり来たり。
心が揺れる。
この感情はどんな名前のモノだろうか。
『好き』じゃ足りない。
『愛している』じゃ重すぎる。
心に宿った気持ちは規則正しくカチコチと鳴る。
その音を聞きながら、もうしばらく味わっていようかと思う。
気持ちに名前を付けてくれると信じて。
青年が呻き声を上げる。
高熱からか、間接を痛がる。
それなのに少女にはできることはない。
額に乗せた濡れタオルを交換する。
そろそろ汗を拭った方が良いだろうか。
青年の部屋のタンスを開ける。
パジャマを取り出して、枕元に置く。
少女は青年のパジャマのボタンを外す。
青年は歯ぎしりをする。
母の再婚相手には同じ年の娘がいるらしい。
顔合わせで、俺は凍りついた。
同じクラスの学級委員長がそこにはいた。
「初めまして」学級委員長は挨拶した。
他人の振りをしたいということか。
満面の笑みを浮かべながら、学級委員長は手のひらを折れんばかりに握る。
俺は怖くなって息を飲みこんだ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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