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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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強がりな君が笑うなら、泣き虫の僕は泣くよ。君の分だけ涙を零すだろう。
君が泣けないのはよく知っている。涙を流さないようにしているのは知っている。
だから、僕は声を上げて泣くんだ。そんな僕に呆れながら、きっと君は作り笑いを浮かべるだろう。
そうに違いない。だから泣く。
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少女は目をキラキラとさせて月虹を見つめていた。
めったに見られるものではないから当然だけれども、大きな瞳は真っ直ぐと見つめていた。
その姿に少年は諦めきりだった。月虹よりも自分の方を見てほしい。少年はそんな願いを抱いてしまった。
やがて月虹は消えて少女の瞳は戻った。
iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「いなくなったりなんてしないよ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。

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僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。それは自分が楽になるための嘘だった。
肩に乗った重荷をようやく下ろせる。僕は君に「いなくなったりなんてしないよ」と作り笑いを浮かべた。
何も知らない君は微笑んだ。嘘だと見破ってくれたらいいのに。と立ち去る僕は思った。
君は独りぼっちで学校の屋上にいた。靴をそろえて、フェンス越しで立っていた。
僕は間に合ってよかった、と思った。僕は泣きそうになりながら、君の指先に触れる。
「僕を置いていかないでよ」と情けない声で君に言った。
君はどんよりとした雲空を見つけたまま、振り返らなかった。
君はカボチャのプリンを僕の前に置いた。カボチャは君の大好物だったはずだ。「あげる」と君は言った。
「カボチャのプリン、好きだったんじゃ?」と僕は遠慮がちに言った。
「好きだったのは、嘘じゃないけれど。あなたが美味しそうに食べるのを見るのが、もっと好きになったの」
蔵の中で埃をかぶっていた古書を君は無我夢中で読む。それに僕は微笑む。
どれだけ古書を漁っても、君の望む答えは出てこない。そう知っているから。
何故なら、すでに僕も古書を手に取って読み漁っている。そのことは秘密だ。
君が僕のために、古書を読んでくれるのが嬉しいから。
黒一色に染まったオセロ盤。「もう一度、勝負よ!」と気がつけば言っていた。
次こそは白一色に染めるのだ。と、白のオセロを手にしていた。ここで引いたら負けを見通しそうだ、と認めたようなものだ。
「いいけど、結果は同じだと思うよ」と対戦相手はオセロ盤に黒のオセロを置く。
今年も約束を守って夜の街へ出た。一年に一度の晴れの舞台。誰も彼もが笑顔だ。手を繋いで歩いている。
僕の左手は空っぽだけど、不思議と寂しくない。君がまだ隣にいるような気がするからだろうか。
自然に笑顔になって、夜の街を一人きりで歩き出す。君がいなくても。
静かな今が欲しかった。時計の針さえ聞きたくない。
あのカチコチと秒針が刻む音すら、この静寂にはふさわしくない。自分が何をしたというのだろうか。
冷たい牢獄で、窓から月を見上げる。何もしなかったから、こうしてここにいるのだ、と思い知らされる。
あの手を握っていれば。
小指を絡めて約束をした。叶うはずのない他愛のない約束だった。その結末を知りたくない。
いつまでも約束は約束のままでいてほしかった。目をつむれば鮮やかに、草原の匂いまで思い出せる。
そこで幼い僕と君。君はいいことを思いついた、といった表情を浮かべる。小指を絡めた。
iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。

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僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。それは現状打破のための嘘だった。
このままでは僕も、君も駄目になる。それだけは分かっていた。
「君の全部を忘れたいんだ」と僕は心を痛めながら言った。君は「そう」と静かに了解した。
僕の本当の願いは、どうせ叶わないから良いんだ。
それは手を繋げなかった過去の記憶だった。初めてのデートだったと記憶している。
触れそうで触れない距離のあった手。はぐれるといけないから、と僕は理由をつけた。
無理矢理、指先に触れた。白い指先は冷たくて、痛々しかった。
少しでも熱が移ればいいのに、と指先を握りしめた。
君は黄色のブックカバーをしてある童話集に没頭する。それが僕には悔しくて、あれこれ話題を振った。
けれども本の中に入ってしまった君は、曖昧な相槌を打つばかり。
僕は諦めて、公園の景色をぼんやりと眺めた。夏には緑だった葉っぱも、見事に紅葉していた。
僕はため息をついた。
君に綺麗なものを見せたくて、夜景の美しいレストランを予約をした。
君は赤ワインを一口飲むと「社畜の明かりね」と皮肉気に笑った。
僕はどうすれば君が喜んでくれるのか、ますます知りたくなった。
君は料理に手をつけずに夜景を見つめ続けた。そんな君の笑顔が僕には見たかった。
iotuは、感情を抑えながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。

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僕は、感情を抑えながら最後の嘘をついた。これで君とはお別れだ。そう思うと感傷的になった。
僕と君は別々の道を歩いていくのだ。その一歩だった。それは歩き出すための嘘だった。
「全部忘れていいよ」と未練たらたらに僕は告げた。これが本音なら、楽だったのに。僕は拳を握る。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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