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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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無題
iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。

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僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をついた。
まるで遊園地にいる道化師のように突き抜けに明るく言った。それはたぶん最低の嘘だった。
「今とても幸せだよ」と僕は恋人にささやいた。これ以上、悲しい嘘はないだろう。
もう、覚悟は決めたんだ。僕は君から笑顔のまま離れると。
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桜の花が嫌いだった。そう言うと『日本人なのに?』と返される。
周囲はたった一週間しか咲かない花に、一喜一憂している。確かに特別な花だった。
それは私にとっても『特別』という意味合いを含んでいた。桜が咲く中、私は初恋を失った。
それを桜が咲く度に思い出して悔しかった。
iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?

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僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。それはたぶん最低の嘘だった。
君につくような嘘ではなかった。覆水盆に返らず。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と僕は言った。だってもう、仕方がないだろう?
泣いたって、君についた嘘は誤魔化すことはできない。
のんびりとした公園デート。小さな子が楽しそうに駆けていく。それを母親らしき人物が追いかけていく。
隣のベンチでは老夫婦が笑いあっていた。今日も公園は平和だった。
「手を貸してくれる?」と彼が言った。私は両手を差し出した。
彼は嬉しそうに、両手のひらを触れ合わせる。
「一晩だけでいい。婚約者の振りをしてくれ」と社長に頼みこまれた。
いつまでたっても結婚しない社長に、お見合い話が舞いこんだ、ということだった。
社長にはすでに愛している女性がいた。その恋人ではダメな理由は分かっている。
「私は高いわよ?」と秘書のプライドで微笑んだ。
国王は苦悩し続けて、気づけば黎明な時間を迎えていた。「簡単なことですよ」と側近は言った。
国王は睨みつける。「それだったらこんなにも悩むことはない」国王は苛々と爪を噛む。
隣国の皇帝が和平条件として、国王の娘を皇妃にと望んできた。幼い頃から可愛がってきた娘だった。
夏生まれの君に誕生日に透明なグラスを贈った。暑いときに冷たいものが気軽に飲めるように。
秋というよりは冬に近い僕の誕生日がきた。
「割らないようね」と君は念を押して四角い箱を差し出しだす。
中身はシンプルな白いマグカップだった。しかも君も同じものを持っているらしい。
iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。それはどうしようもない嘘だった。
馬鹿々々しくて、愚かで、後になってから後悔する。そんな最後の嘘だった。
「君の全部を忘れたいんだ」と、僕は笑いながら告げた。その時の君は氷のように固まっていた。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。
王宮に招かれるのは初めてのことだった。
粗相がないように、貴族らしい振る舞いができるように、家庭教師までつけられた。
そんな初めてだらけの王宮は想像したよりも豪奢で、華やかだった。
圧倒されていると、服の裾を引かれた。「めんどくさいひとたちを置いて行こう」囁かれた。
「君は僕が守る」と言われて眩暈を覚えた。中途半端な優しさはいらない。
より深く、大きな傷が増すだけだ。「そっとしておいてくれないかな」と私はなけなしの良心で口にした。
それでも、まだ幼い君は気がつけないのだろう。守ると簡単に言葉にできるのだ。それがどれだけ大変か。
iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。それは悪あがきのような嘘だった。
どうにもならない現状を変えたいと願う、ささやかな嘘だった。「もう、迷わないよ」と僕は君に言った。
これが本音なら、楽だったのに。震える声は気がつかれただろうか。繋いだ手が自然と離れいった。
凍えるほど寒い夜だった。だから愛の言葉の一つでも、かけたくなるような冷たさだった。
毛布のように、ホットミルクのように、寒がる君に愛をささやきたかった。
そうすれば芯から冷える寒さも忘れられるだろう。二人寄り添っていれば、温もりを分ちあえるだろう。
寒くないだろう。
テレビも、本も時間泥棒だった。気がつけば時間が盗まれている。恍惚に、甘やかに盗む。
それでいて後悔はしていない。まったくもって罪作りだった。
今日はテレビを見ようか、それとも本を開こうか。そんな風に悩んでしまうほど、時間泥棒はやってくる。
楽しい時間は忘れられない。
みんなと同じが良かった白鴉の烏。一匹だけ白いのはまるで仲間外れになったようで、嫌だった。
みんなのように漆黒でいたかった。夜に紛れて黒に染まってみたかった。
けれども白鴉の烏は、みんなと同じにはなれない。神の使いだから白鴉のままだと気がつけない。
白鴉の烏は啼いた。
iotuは、小さく笑って最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
君は何も知らないままでいて。

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僕は、小さく笑って最後の嘘をついた。それは現状打破のための嘘だった。
ここで嘘つくことで、願いが叶うような気がしていた。
「今とても幸せだよ」と泣きたいぐらいの気持ちで告げた。
君は何も知らないままでいて。苦しみも、悲しみも、全部僕が持っていくから。抱えていくから。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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