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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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真っ赤に染まったモミジに夢中で、気がつかなかった。気づけなかった。
紅葉した葉が冷たい北風に揺らされるように、心も揺らされる。
葉が全部落ちる頃には、私たちは別れ別れになる。そんな運命を見ようとして、見落としていた。
またいつかどこかで、そんな淡い期待をしていた。
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iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。

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僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の噓をついた。それは前へ進むための嘘だった。
そのためには君と繋いだ手を振り払わなければならない。「すべて夢でも構わない」と僕は大噓をついた。
君と一緒だったから、ここまでこれた。君の笑顔のために・・・まだ、泣いちゃだめだ。
君は偶然を装ってぎこちなく、僕の腕を触れ合わせる。すると君は「ごめんなさい」と謝った。
謝る必要性なんて一つもなかったのに。
「こっちこそデートの最中だっていうのに、ぼーっとしていてゴメン」僕も謝る。
はたから見たら僕ら何をしているのだろう、と思われるかもしれない。
風雲急を告げる。僕は嫌な予感はしていた。それはやってきた。
体中、傷跡だらけの男が赤子を連れてやってきた。
「この子を頼む。末の姫さんなんだ」と赤子を僕に託す。
「君が面倒を見ればいいんじゃないか?」と僕が言うと「このありさまだ。長くは生きられないだろ」と男は返す。
スマホの鳴動で覚醒した。それだけ浅い眠りだったのだろう。こんな夜中になんだろう。
二度寝を決めこむけれども気になってしまって、布団から出た。電気をつけるとスマホはまた鳴動した。
LINEの通知を見た瞬間、起きなければよかったと思った。寂しさに耐えられない君から通知だ。
iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
どうか嘘だと気づかないで。

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僕は、ぎゅっと自分の手を握り締めながら最後の噓をついた。それは自分が傷つくだけの嘘だった。
それを知っていて、僕は君に嘘をついた。それだけの覚悟があった。
「すべて夢でも構わない」と僕は優しく、君の額にキスをした。どうか嘘だと気づかないで。
君には幸福が似合うから。
別れ別れになる日は天気がいい。そうして笑顔でお別れするんだ。別れの言葉は「また今度」。
思い出す時に、鮮やかに彩りたいから。それが人情というものだろう。
なのに気まぐれな天候は僕と君の別れの日の雨を降らした。それでも僕は我慢する。
笑顔で君に用意してきた言葉を言う。
君の華奢な肢体に浮かんだ汗を拭っていく。丁寧に優しく汗を拭きとった。
ふれた体は熱がこもっていて、熱い。ゆっくりとまぶたが開く。
かすれた声で「ありがとう」と君は言った。「ご飯、食べられそう?」僕は尋ねた。君は首を横に振った。
「それよりも喉が渇いたかな」と笑った。
iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。

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僕は、さりげなさを装って最後の噓をついた。それはきっと必要じゃない嘘だった。少なくとも君には。
「もう、迷わないよ」と、僕は君の手を取った。これが本音なら、楽だったのに。
僕の内心はグラグラと揺れている。迷路の中、迷子になった子どものように不安でいっぱいだった。
些細な言葉のすれ違いで喧嘩をした。どちらも押し黙り、時計の音だけが部屋に響いていた。
このまま晩ご飯を食べるのかと思ったら、諦めが湧いてきた。「ごめん」と僕が謝った。
まだ怒り顔の君は、両手で両手を包む。「もう二度としないって約束できる?」と君の言葉に僕は頷いた。
一輪だけ咲いていた薔薇に口唇を近づける。甘い香りに包まれたかと思うと口唇が痛む。
どうやら棘に引っかかったようだ。嫌われたような気がして、薔薇の花をもぎ取った。
指先に棘が刺さるのもかまわずに。冬の庭は寂しいばかりとなった。
千切るようにもぎ取った薔薇は部屋の中に。
名残りのモミジは、なんと醜悪なのだろう。
風に吹かれ、枝にしがみつく姿は、彼の女性を思い起こして気持ち悪い。
春の桜のようにパッと散ってしまえばいいものの、生きることにしがみつく。
まるで私のようだ、と病院の窓から眺める。私は何歳まで生き残れるのだろう。溜息を吐く。
iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
・・・泣いたりしないよ。

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僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。それは自分が楽になるための嘘だった。
「世界で一番、大嫌い」と君に向かっていった。なんて悲しい嘘なのだろうか。
こんなにも思い続けてきた君を傷つける嘘だった。その代わりに僕は・・・泣いたりしないよ。
約束するよ。
「手を出して、目をつむって」と君が言った。僕は言われた通りにする。
手のひらの上に何か置かれた感触がした。
「目を開けてもいいわよ」と君は恥ずかしそうに、僕の手のひらを軽く握る。
君の手が重なっているから手を開けない。「木の実ですか?」僕の問いは懐かしい過去になる。
「これから私が言うことに返事をしないで」と君は悲しそうな笑顔を浮かべた。僕は黙って頷いた。
「私、あなたのことが好きだったの。答えはいらないわ。言わなくても分かるから」
君は俯いたまま雨だれのように、ぽつりぽつりと言った。僕は返事をしない代わりに、君を抱きしめた。
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プロフィール
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iotu(そら)
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性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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