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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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ありふれたどこにでもあるクリスマスカードを手に取る。
年の瀬に生まれた君へ、バースデーカードのように送るのが当たり前になっていた。
返事は年賀状として帰ってきた。一筆添えられた文が嬉しかった。
お誕生日おめでとう、という言葉が寂しげに笑う君へに柔らかい気持ちが届け。
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「予報通り、雨になったら良いのに」と曇り空を見上げながら幼馴染は言った。
「置き傘をしているのか?」俺は手ぶらな幼馴染に質問をした。
「していると思う?」きゃらきゃらと幼馴染は笑った。
ふいに距離を詰めて「相合傘をして帰ろうよ」と幼馴染は言う。「馬鹿なこと言うな」
ひとひらの風が吹いた。現在を思い起こさせるように。思いを馳せる僕を警告するように。
それでも君が傍にいた過去を何度でも思い起こしてしまう。思い出と呼ぶには寂しい過去は、胸を貫く。
それでも現在を通り過ぎて、未来へと生きていかなければならない。たとえ君がいなくても。
いつの間にか、僕と君の間に隙間ができてしまった。
ずっと一緒にいるんだと手を繋いだ日々は、過去のこと。こうして少しずつ離れていくのだろうか。
二人の間に冷たい風が吹き抜ける。僕は君を置いていったりしないよ。
たとえ、どれだけ距離が開いたとしても、僕はそれを埋めるよ。
iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「絶対にあきらめたりしないよ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。

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僕は、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
それは心に亀裂が入ったかのような、傷をいやすための嘘だった。
「絶対にあきらめたりしないよ」と僕は心を隠して断言した。「期待しているよ」と君は朗らかに笑う。
それを見た僕は嘘だと見破ってくれたらいいのにと思った。
「おはよう」眠い目をこすりながら僕は言った。夜みたいな真っ暗な朝だった。
この時期、太陽が昇る前から通学するのが当たり前だった。「おはよう」と幼馴染が言った。
「予報通り、雨になったら良いのに」と言い出す。それから薄暗がりの中、新品の傘を見せる。
使いたいのだろう。
あなたは唐突に言った。「僕たちだけの卒業アルバムを作ろう」と。
「スマホで撮るの?」と私が訊くと「兄貴からカメラを借りるよ」とあなたは言った。
卒業式の前日に、無事カメラを借りてきたあなたは構える。
「もっと笑って」というけれど何だか急に照れくさくて、私ははにかむ。
目覚まし時計が鳴っている。朝がやってきたんだ。
それでも布団の中は居心地よくて、大きく鳴っている目覚まし時計まで手は伸びない。
ふいに目覚まし時計が止まった。傍らにあったぬくもりが離れていく。
掛け布団をほんの少しだけめくって、君は笑う。「朝だよ、お寝坊さん」と。
いくら酒が入っていたとはいえ、罰ゲームは辛いものがあった。
ビールジョッキを一気飲みした方がマシだと思えた。おそらく数合わせに呼ばれたのだろう。
先ほどからソフトドリンクしか飲んでいない高嶺の花。よくぞ飲み会に招くことができたものだ。
俺は恐る恐る、腕に指を絡める。
透明で、氷のようなのに温度がない。そんな硝子のような片想いをした。
力をこめれば、パリッと割れるような。その砕けた欠片を拾い集める最中で、指を怪我をするような。
透明な欠片に赤い血がつくような。
そんな片想いは、傷が増えるだけで、痛みが増えるだけで、実ることはない。
過去という歴史を紐解いて、これほどまでに冷酷な皇帝はいただろうか。臣下である男は思った。
冷たい眼差しが光る。「これを」と手短に皇帝は男に手渡した。次の戦の詳細が載っていた。
「勝てるか?」皇帝は男に問うた。『否』とは言えなかった。言った瞬間、男の首は飛ぶだろう。
全寮制の学校だから、家族から電話が来ると事務室まで呼び出された。少女にとって嫌な時間だった。
家族からくる電話は定型文のようなものだった。それに答える暇があるなら、教科書を読みたい。
少女は廊下を歩きながら、ふと思う。白金色の頭髪の少年は一度も呼ばれたことがない。
iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
どうか嘘だと気づかないで。

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僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。それはたぶん最低の嘘だった。
今の君に告げるべき言葉ではなかった。「世界は希望で溢れている」と僕は作り笑いを浮かべて言った。
からからに枯れ果てた瞳がすがるように、僕を見つめる。どうか嘘だと気づかないで。君が笑えるまで。
少年は堂々と、少女の両手のひらに指を絡める。こんなことをされると、身動きが取れなくなる。
この悪ふざけに何と言ったものか、少女は小首をかしげる。
嬉しくはないから喜べないし、怒ったところで構って欲しがりな少年は愉しむことばかりだろう。
この時間すら、少年には愉悦だ。
「相談があるの」と親友がやってきた。その表情はどこか陰が落ちていた。
「どうしたの?」私は落ち着かせようと、親友の手にふれた。親友は「ん」と言って向かい側の席に座った。
「大嫌い、って言えないの」小声で俯いて言った。「どんな嫌なことをされても、大嫌いになれないの」
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プロフィール
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iotu(そら)
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性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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