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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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嫌な夢を見て、少女は起き上がった。目覚めてしまえば、どんな夢を見ていたのか忘れ去る。
夢の残滓を握り締め、もう一度寝台に横になる。夢の中で『続きだ』と感じた。
夢を夢だと眺めていながら、真実になったら嫌だと思う。廊下を走る足音、慌てる声。
夢であってほしかったのに。
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約束の時間に、待ち合わせ場所で、あなたはやってきた。一輪だけの黒い薔薇を持って。
私は寒くもないのに震える。きっと、心が震えたのだろう。
「悪い意味?良い意味?」とあなたに尋ねてしまった。「どちらでも」とあなたは笑った。
あなたから憎悪を向けられているとは思えない。
冗談のつもりで、あなたのベッドに横になった。あなたはのしかかるように、私の自由を奪った。
「冗談でしょ?」と笑いかけると、あなたは「本気だ」と言った。
それから先のことは思い出したくもなかった。私たちは越えてはいけない一線を越えてしまった。
もう元の関係に戻れない。
あまり得意ではないけれども、譲れないことがあった。本当にささやかなことだった。
僕と君はすれ違い、喧嘩になった。同じ部屋にいて、重たい沈黙がころころと転がっていた。
君は嫌々ながらも、僕の両手のひらを触れ合わせる。
喧嘩の最中でも繋がっていたい、とその証拠のように。
歪な形をした愛だった。それでも愛おしいものだった。握った手のひらの中で、囁いていた。
もう一度、完全な愛になるように。まるでパズルの1ピースのように、欠けた愛を探してる。
見つかる保証も、どこにもないのに、探し続ける。見つかった時には「初めまして」と笑うと決めて。
すでに廃墟になってしまった屋敷。そこに最後の娘が生まれた時に、記念に植樹された木があった。
寒々とした枝には木の葉がしがみつくように揺れていた。
誰も訪れる者のない屋敷には、誰にも気づかない。
ひとひらの風が吹き、木の葉はもぎ取られそうになりながら揺れた。哀し気に。
iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。

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僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。それは現実逃避のための嘘だった。
「君の記憶から消し去ってくれてもいいよ」と僕は言った。そんな機能はないロボットに笑う。
看取りのためにつけられたロボットは「できません」と答えた。いっそ笑い飛ばしておくれよ。
優しくしたり、冷たくしたり。学食の日替わりランチのように、ころころと姿を変える貴方。
私を惑わせるように、笑ったり、怒ったり。そんな貴方に疲れて、ついこぼしてしまった。
「本当の貴方が見えないの」私の言葉に貴方は無表情で言う。「君の前にいるのが本当の僕だよ」と。
夏は青々しかった木の葉も、枝にしがみつくように風に揺れていた。やがては道路に散るだろう。
その変化を少年は少女の代わりに見る。スマホのカメラ機能で、日々の姿を撮影する。
今は会えない少女のアドレスに、撮ったばかりの写真を送る。蕾が花開くように、少女が笑顔のために。
iotuは、感情を抑えながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。

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僕は、感情を抑えながら最後の嘘をついた。それは現実逃避のための嘘だった。
逃げてばかりいる僕にピッタリな最後の嘘だった。「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と僕が言う。
「明けない夜はないよ」と君が言う。そんな君だから最後にする。嘘だと見破ってくれたらいいのに。
他人よりも小柄で生まれてきた娘の成長は遅かった。
そのため、近所の悪ガキどもに悪戯をされることは、珍しいことではなかった。
その日も、娘は泣きながら帰ってきた。小さな手には青い痣。さすがに悪ふざけが過ぎるだろう。
私は怒り顔で、悪ガキの手のひらを折れんばかりに握る。
「どうして私の耳は皆の耳と違うのですか?」ハーフエルフの少女が父親に向かって尋ねた。
物心がついた頃には、母は他界していた。兄弟もおらず、父と森林の中で二人暮らしをしていた。
「泣きたくなるのは間違いだ」と父が少女の頬をなぞる。「お前は私たちの愛の証なのだから」
名前だけが独り歩きする脇差しがあった。何でもその切れ味は胴二つ、という。
脇差しにしては破格の切れ味だった。故あって我が家に辿り着いた脇差しだった。一目で欲しいと思った。
けれども妾腹とはいえ長男を差し置いて、それは言えない言葉だった。穏やかな性格の兄が肩を押す。
誕生石がトルコ石の君は、きらりと輝くダイヤモンドに夢中だった。
聖なる夜に贈る贈り物にしては、少々重いような気がするけれども。
永遠を誓えるほど、僕も君も大人じゃない。
もちろん君にふさわしい男性になったら、ボーナスでダイヤモンドのリングを贈るのはやぶさかではない。
iotuは、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。

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僕は、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をついた。それは現状打破のための嘘だった。
僕と君の間に落ちた沈黙は重く崩れ落ちそうだった。
「君を、信じ切れることができなくてごめん」と僕が言うと、君は弾かれたように顔を上げた。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。僕は思った。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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