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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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iotuは、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
だってもう、仕方がないだろう?

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僕は、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をついた。
それは心に深々とできた傷をいやすための嘘だった。「すべて夢でも構わない」と、僕は言った。
僕の心を傷つけた相手に。だってもう、仕方がないだろう?そんな君に恋してしまったのだから。
君が僕の、加害者で、被害者だった。
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あの日、初めて婚約者に出会った。政略的な婚約者だったから、少女は期待していなかった。
あれは夏だった。向日葵が咲いていた。黄色い花は二人の出会いを祝福するように咲いていた。
婚約者殿はぎこちなく、両手のひらを折れんばかりに握る。「出会ってくれてありがとう」と言う。
ベッドの上で少女は言った。「朝なんて来なければいいのに」とまるで恋人同士のように囁く。
この街がジャングルだった頃から、恋人同士が思ってきた難問だっただろう。
夜の間だけ、ぬくもりを分ちあえる。
「そうしたら、ずっと一緒にいられるでしょ?」少女が青年の目を見つめる。
光沢のある葉、それに隠れるように咲く花。山茶花とよく混同される花は、ひっそりと今日も涙を流す。
似ているから、それだけで嘲笑される。そんな花の前に青年が現れた。
青年もまた哂うだろうと、花は覚悟をした。
すると青年は微笑みながら「椿は首ごと落ちるから潔い」と言った。
初めて綿あめを食べている人を見て、霞を食べているのかと思った。
一緒に縁日に行ってくれた従兄妹が綿あめ屋さんまで連れて行ってくれた。
振動する機械から綿あめが生まれていく姿に感激した。従兄妹は大きな綿あめを買ってくれた。
すぐ一口食べると、甘く、口の中で溶けていく。
出されたスープはコンソメスープだった。具は浮いていない。シェフの腕前が試されるような代物だった。
屋敷の主は慎重に銀のスプーンをスープに沈める。漣を立ててスプーンは黒く染まる。毒の証拠だった。
主は金色のベルを鳴らす。シェフが連れてこられた。主はシェフを剣で刺す。
白金色の頭髪の少年が先生につかまっていた。「君のことはとても優秀だと噂になっているのだよ」
それほど大きな声ではなかったけれども少女の耳に届いた。
褒められているのに、ちっとも嬉しそうな顔をしていない。少女の中に対抗心が芽生える。
いつか称賛されるほどの実績を積む。
iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
本音は仕舞い込んだまま。

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僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。それは歩き出すための嘘だった。
君とはもう一緒にいられないことは、君自身も知っているだろう。だから、僕の方から切り出す。
「君からもらったものは全部返す」と嘘をついた。思い出だけは返せない。
本音は仕舞い込んだまま笑った。
あなたから出会ってから記念日が増えていく。
初めて会った日、初めて好きだと自覚した日、告白された日。
誕生日、クリスマスに、ヴァレンタインデーに、ホワイトデー。365日、毎日が記念日だった。
デートの終わり、あなたが優しく、私の指を軽く握る。そして指に指輪を通した。
屋上のフェンス越しで、裸足のあなたと視線が合う。
私はピッタリそろえられた靴の上に置かれた手紙を拾い上げる。
あなたは嬉しそうに笑ったような気がした。
私は手紙を開封すると、辛い日々を送ってきたあなたに似合わないぐらい簡素な言葉が綴られていた。
「私の為だけに生きて」
ロケットを打ち上げるには、お金が大きく動く。しかも、その予算は年々削られている。
けれども宇宙すら国ごとの境になっている。そのためのロケットだった。科学者たちは苦悩する。
純粋に宇宙に夢を見ていたから、現実に耐えることは辛いものだった。夢は所詮、白昼夢なのだと。
iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。

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僕は、情けなく笑って最後の嘘をついた。それは相手の幸福を祈る嘘だった。これで、最後。
そう覚悟をして口を開く。「もう、迷わないよ」と僕は言った。本当の願いは、どうせ叶わないから。
それだったら、君が幸福になる方がいい。君は僕のついた嘘に、疑いも持っていなかった。
いたずら小僧が雨合羽を隠してしまった。この冬の冷たい雨の中、雨合羽がなければ仕事に行けない。
それを知ってのことだろう。可愛いいたずらだとは思ったけれども、仕事に行かなければ食い詰める。
いたずら小僧の腕をつかんだ。すると大げさなぐらいに痛がる。思わず力を緩めた。
音もなくそれはやってきた。
先ほどまでパラパラとトタンの屋根を鳴らしていたそれは、歌の通りに雪へと変わった。
コートを羽織って僕は玄関のドアノブを回した。夜中だというのに妙に明るい白い雲。
そこから粉雪が舞っていた。珍しい光景にスマホを持ってくればよかったと思った。
いたずらをされる子は、たいてい気が弱い。それ自体が悪いわけではない。]
でも、それだけでは世間を渡ってはいけない。現実はシビアだ。
その日も、我が子は泣きながら帰ってきた。悪ガキにいたずらをされたのだろう。
制裁のつもりでそっと、腕を折れんばかりに握る。我が子の涙分。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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