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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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日記のような、日常の切り取りのようなメールをしたためる。そして送信ボタンを押す。
届くことのないメールだと分かっている。それでも毎日、毎日、メールを送った。
もしかしたら天国にいる君に届くかもしれない。そう信じて。返事は返ってこなくてもいい。
僕の自己満足だから。
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友だちの結婚式に招かれた。そのためのワンピースを探しに馴染みのブティックに行った。
ショーウィンドウに飾られていた白のワンピースに一目惚れしてしまった。
結婚式でなければと歯噛みする。店内に入り、何着か試着した。店員のお勧めを選択した。
それと白のワンピースを買う。
このところ視線を感じる時があった。
じっとりとねっとりと、体の輪郭をなぞっていくような眼差しだった。心配になって、幼馴染に相談した。
幼馴染は笑うことなく、真剣な表情で「警察に相談しようか」と言った。
そんな大事ではないと思っていたから、私はビックリしてしまった。
外は静かに雨が降っている。
ホットミルクをお気に入りのマグカップで飲みながらメランコリーに支配される。
流している音楽もセンチメンタルだ。
こんなことをブルーと呼ぶのだろうな、と鳴らないスマホを見ながら思った。
気がつけば日付が変わっていた。新しい朝を待つ。
先ほど祝言をあげた旦那様と初夜を迎えます。
沐浴をすまして、綺麗な衣に着替えさせられて、良い香りがする飴玉を口に含まされました。
絶対に、旦那様に逆らってはいけない、と何度も念押しされました。私は緊張の塊になってしまいました。
旦那様は優しく、私の腕に触れました。
iotuは、感情を抑えながら最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。

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僕は、感情を抑えながら最後の噓をついた。それは悪あがきのような嘘だった。
君の目の前で、無様なところを見せられない。
「君が居なくても何も変わらないさ」と、僕は大きな嘘をついた。それでも決めたんだ。
これからの道をたった独りで歩いていく、と。もう、覚悟は決めたんだ。
これから妻として娶る令嬢と初対面した。所詮、政略結婚。妻としての役割を果たしてくれればいい。
周囲の目もあって、婚約指輪を用意した。金剛石が輝く指輪は、夢があっていいだろう。
「初めまして」と作り笑顔と共に婚約指輪を差し出した。令嬢は「指輪よりも愛がいい」と言う。
この世で一番、美しい罪に落ちていこうとしていた。君と二人だったら構わなかった。
アダムとイブのように赤く、丸い果実を口に含む。
かじりついた後は痛々しく、これから受ける罰を考えると楽観視はできなかった。
それでも恋をしたのなら甘んじて罰を受けよう。それほど甘美な罪。
僕たちは、夜の街を手を繋いで歩いていた。まるで目的地のない旅のように。死に場所を見つけるように。
二人は心細い熱を分ちあいながら、歩き続けていた。
「どこまで行くんだろうね」と僕が言うと、君は少し笑って「いけない場所まで」と答えた。
ダブルミーニングの言葉だった。
iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。

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僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の噓をついた。それはたぶん最低の嘘だった。
口に出してはいけない類の嘘だった。少なくとも笑いながら言うセリフではなかった。
「全部忘れていいよ」と、僕は言った。滑稽なピエロは本心を言えなかった。
君が、嘘だと見破ってくれたらいいのに。
力加減が分からなかった子供時代。僕は優しく、君の両手のひらを折れんばかりに握る。
君は「痛いよ」と言うから、僕は慌てて手を離す。すると君は不機嫌な顔をする。そして、僕の手を握る。
「これぐらい、でいいの」と君は言う。僕にはすぐにでも手が離れてしまうような気がした。
お母さんの口癖は『あなたのためよ』だった。
ピアノも、書道も、生け花も、塾も、全部が全部、私のためだという。
学校に通って、習い事をしていたら、友だちと一緒にいる時間は、ほとんどなかった。
クラスでも孤立している。だってこんなの、愛じゃない。ただの母のお人形遊びだ。
先祖代々、慈しむ脇差しがあった。武功を立てて下賜されたものだったらしい。けれども、時代は令和。
士農工商の時代も遠い時代に来てしまった。脇差しの維持も難しくなってきた。
新たな持ち主を求めて、新聞に告知してみた。安くはなかったけれども反響は多い。どれも真摯だった。
枕元に気配を感じた。いつの間にか眠ってしまったらしい。
夢と現の間を行ったり来たりしながら、ぼんやりと目を開けた。心配と顔に書いてある少女が座っていた。
「大丈夫だ」と青年は安心させるように言う。正確には言おうとした。少女の顔が曇ったから分かった。
再び眠りに沈む。
iotuは、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。

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僕は、何もかも悟ったような顔で最後の噓をついた。それは自分の幸せのための嘘だった。
君のためじゃない。僕のためだ。なんて利己的なんだろう。
「世界は希望で溢れている」と僕は言うと、暗い目をした君は「そうだね」と呟くように言った。
僕の嘘をいっそ笑い飛ばしておくれよ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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