向かい側の大きな瞳がメニューをひとさらい、でも桜色の唇が紡ぐのはいつもと同じ。
どんな喫茶店に入っても彼女の注文は変わらない。
寒い日には湯気が立つホットティー、暑い日には氷が浮かんだアイスティーにミルクをひとたらし。
「どうして?」と訊いても魔法は解けないかな?
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向かい側の彼の瞳でメニューに穴が開きそう。
新しくオープンしたカフェで、悩んで悩んでアメリカン。
次こそ違うのを注文しようと笑うけど、そのセリフ何回目?
ミルクティーを頼んだ私と貴方はきっと似たもの同士。
最初に決めたルールに囚われてる。
魔法の言葉が必要みたい。
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