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「 140文字の物語 」
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 らくだに乗ってというか震えているわけなのには、理由がある。
 このらくだの道は天国行き一方通行ではなく、その逆。勘違いして地獄行きもあるかも知れないと砂漠の入り口に立っているらくだ売りの子どもから話を聞いたからだ。
 どうして一方通行にしておいてくれなかったのだろうか。
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 桜並木を歩きながら英語の単語帳とにらめっこ。
「いまいち好きになれないのは、この桜並木と一緒だ」と言ったら君は笑った。
「僕は桜のことloveだよ」
 だから好きになれない。
 私の名前と同じ名前の花をみんな気軽に好きって言うから、素直に好きになれない
 英語も同じかも。
 仕舞い忘れた風鈴が軒先でチリーンと鳴る音とグラスの中の氷が溶ける音が重なった。
 灰皿の上には中途半端な長さでもみ消されたタバコ。
 さっきから話がループして、何度目かの結論が出る。
 けれども風が吹く度鳴る風鈴のように話は巻き戻されてしまうのだった
-
 金の砂漠の波打ち際を青の王子がラクダに乗って散歩をしていたら、波打ち際に銀の器がゆらゆらと漂っていました。
 王子が拾い上げると銀の器はたちまち鋼の色に変わりました。
 これも何かの縁だろうと王子はラクダに乗って金の砂漠をゆらゆらと散歩を続けるのでした。
 鋼の器と一緒に。
 昔むかし。
 ある日、男は仕事帰りに足元ではねる子兎を見つけたそうだ。
 親兎にはぐれて人里まで迷い込んだのだろう。
 どこまでも付いてくる。
 ぴょんぴょん元気な足音を眺めていると不思議な気分になって、男も一緒にぴょんぴょんはねてみた。
 太陽が「おはよう」という時間まで一緒にはねて、充分はねたところで子兎は「一緒に跳ねてくれてありがとう。
 おかげででいだらぼっちの肝の虫もでていったようだよ」
 と謎めいた言葉を残して立ち去りました。
 男が家に帰るとお礼とでもいうように、大きな瓶がでんと置かれていました。
 中身はお酒で一口飲んだだけで天国へ行けそうな味わいでした。
-
 お腹の中にぎっしりと詰まった金平糖のような悪口、妬み、嫉妬は、いがいがとしてお腹の中を行ったり来たりするのです。
 とげが溶けて丸いキャンディになるまで私の大釜上のお腹の中でゆるりゆるりと解けていくのです。
 それまで私のお腹は他人への悪口でちくちくと痛み続けるのです。
 ひたひたと私の背後を追いかけてくるモノがいる。
 それは「おはよう」と私に訪ねてくるのだ。
 おおよそ4m超える大きさの手紙が私に開封してもらいたがって、ひたすら追いかけてくるのだ。
 それはどんな怪談話よりもシュールで恐ろしい。身に迫ってこなければわからないものだった。
 嘲笑にも似た穏やかな笑顔で彼女は手紙を渡してきた。
 いぶかしがっていると彼女の双眸は“あとでわかるよ”と言う。
 無言で差し出された手紙を開封するとそこには白紙の便箋が束のように入っていた
 目を覚ますと書きかけの手紙が目に入った。
 いつの間にか、寝入ってしまったようだ。
 どちらが賢い選択かようやくわかった。
 誰もが捨て去る選択肢を僕は拾った。
 これから後悔をするだろうけれど、僕は誰もが選ぶ頭の良い選択をする気がないのだから。
 僕は僕の個性を守るために選択肢を拾い上げた。
 森の奥には美しいけれども人が近づかない寂しい泉がありました。
 神隠しがあったからです。
 昔、娘が泉に水を汲みに行ってから、どれだけ待っても帰ってこなかったからです。 その事件以来、人が近寄らなくなってしまいました。
 娘は泉の底にある宮殿で幸せに暮らしました、とさ。
 楽の音がぴたりと止まりました。
 踊っていた踊り子もぴたりと途中で止まりました。
 「そこまでだ」と冷ややかな視線を送る月が言いました。
 舞台に乗せられた踊り子も楽団も散り散りになりました。
 残ったのは静けさだけでした。
 月はそれに満足してゆったりと沈んでいきました。
 偽りだらけで成り立っている世海(せかい)で君を抱きしめる。
 とんでもない世界を渡ってきた君を、僕の作った世回(せかい)に閉じこめてしまいたいんだ。
 それがどれだけ我が儘か知っている。
 でも君がこれ以上世海を渡っていくのを、見送るのが辛いんだ。
 だから僕の世貝の中にいて。
 昔むかし。あるところに泣き虫の娘がおりました。
 娘は氷が凍てついたような硝子細工を作るのが得意でした。
 娘は自分の涙で毎日毎日硝子細工を作り続けました。
 どうしてかって。
 それは娘が恋しい気持ちを抑えられなかったから。
 人間に恋してしまった雪女の切ない片恋のお話だよ。
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 声に出されなかった言葉はどこへ行くのでしょうか。
 身体の底のほうまで沈んでいって、ころころと転がされて、それは夜空に瞬くビー玉のようにきらきらと輝くほど磨かれていくのでしょうか。
 身体の中にはそのような美しいものがぎっしりと詰まっているのでしょうか。
 鈴を転がしたような音が相棒であるモノリスから流れた。
 転寝をしていたらしい、おかげで寝坊だ。
「こんなはずでは……」
 と呟くと
「血気盛んな歳とは言えないですからねー」モノリスは微笑む顔文字を表面に貼りつけて発光した。
 なかなか嫌味ったらしい相棒である。
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