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「 140文字の物語 」
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 寂しがり屋の娘が作った硝子の風鈴はとても綺麗な音で鳴るので有名なのです。
 娘が泣く声をそのまま音色にしたようにチリリィーンと風に合わせては鳴るのです。
 恋した人に届けば良いと娘のこさえた風鈴はチリリィーンと鳴り続けるのです。
 街の人たちはそれを知らずに風鈴を買うのです
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 置き忘れられた鈴のように、風に吹かれるとカランコロンと鳴るのです。
 私のお腹の中には鈴があるのです。
 悲しいことがあるとカランと鳴り、寂しいことがあるとコロンと鳴るのです。
 それが耳まで届くと、いっそう悲しく寂しくなるのです。
 真夜に鳴る鈴のせいでまた眠れなくなるのです
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 寂しがり屋の君だから雨の音にも風の音にも心細くなって手を繋ごうとする。
 繋いだ手と手の体温が一緒になって、どこから自分でどこから君で、境界線があやふやになるまで繋いでいるよ。
 君が安心して眠りにつくまで、ずっと手は繋いだままいるよ。
 夕方の路地裏で携帯電話をそっと開く。
 誰も見てないようね、と周囲を確認して保存済みのメールを読む。
 大好きな人からの一昨日の返事のメール。
 友だちから彼女になれたきっかけのメール。
 誰にもまだ見せてない。
 誰にも見せるつもりもないメールを見てにやけてしまう。
「ようやく見つけたぞ!」見知らぬ男が言った。
「逃げてください」
 貴方はそういうと懐から豪奢なデザインのタロットカードを取り出した。
「嫌よ、連れてって。私も戦えるわ」
 私はロッドを握り締める。
「愛しい貴女を争いに巻き込みたくないのです」
 貴方はそういうと私の額にふれた。
 祭りの熱狂で渦巻く風景から抜け出し、私は一人となって光景を見つめる。
 つい先ほどまであの中心近くにいたのかと思うととんでもないという単語が頭の中を占拠した。
 私は二度と祭りには近づかないだろうと未来予測を立てた。
 が、それも今から見れば滑稽な話だった。
 祭りなのだから。
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 貴方の優しさは、踏み込ませないための防波堤。
 臆病なだけじゃない。
 そんなの本当の優しさじゃないわよ。
 そう言い切った彼女は幸福だ。
 断言できるのは、本当の優しさに囲まれている証だから。
 幸福な彼女に嫉妬しながら、優しさを演じてしまう。
 彼女自身が本当に優しいから。
 温水プールで気持ちよく泳いでいたら、この場にそぐわない格好の男がやってきた。 三つ揃いのスーツの一見好青年風の男性は、私の名前を呼んだ。
 泳いでプールサイドまで行くと名刺を差し出した。
 『あなたの暇を言い値で買い取ります』とも男性は言った。
 私は暇が大好きだから断った。
 敵軍の装備は脆弱。練度も低く、士気も低い。
 すぐそこにはうってつけの谷がある。細く険しい谷だ。
 「あなたならどうする」
 充分待ってから敵を迎え撃つのか。
 それとも谷の上から落石を狙うか。
 どちらにせよ、歴史に残る一戦になるだろう。
 魔女の森の奥深くに咲く花は万病に聞くと噂でした。
 少年は病がちな友人のために、その花を摘んでこようと、ある日思い立ちました。
 森はうっそうとしていましたが目当ての花は簡単に見つかりました。
 それを摘もうとすると止めが入りました。
 「どうして!」実は見間違いだったのです
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 君がどこからでも始められるように、この最後のイチを君にあげよう。
 立ち止まってしまっても、道が見えなくて迷子になってしまっても、歩きつかれたときでも、どこからでも始められるように、このイチをあげよう。
 君が一人で歩いていけるように。
 昔は紙ってヤツに日記を書いていたらしい。
 宇宙暦以前の話だ。
 今日はちょっとした記念日だから日記を作れと相棒のモノリスが圧し掛かってくる。
 許されなさそうだ。
 紙もペンも合成しなきゃいけないのに。
 何だってこんなものに夢中になるんだか。
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 冬空はグロッケン。
 鉄琴の音が降ってくる。
 星がチカチカと瞬いて、演奏会になる。
 この鉄琴の音が君は大好き。寒くて耳まで真っ赤になっていてもキラキラと目を輝かせて空を見上げている。
 大好きなの知っているから冬空のグロッケンに僕も付き合うよ。
 キラキラ星が聴こえてくるようだ。
 埋められた痺れるような記憶。
 宿り木の小枝の下、そこを通る人にキスしてもいいという西洋の伝承を真似て、吊られた宿り木の下に意中の彼女が立ち止まった。
 期待しても良いのだろうか。
 僕が彼女の唇にふれるすんでのところで彼女は横を向いた。
 その耳は真っ赤に染まっていた。
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 静かな夜に雨音がクレッシェンドで色を添える。
 だんだん強くなる雨音にただ口を一文字にして、聞き入る。
 こんなときの気持ちを伝えてたい人は遠く。
 面影ですら曖昧。
 全て雨音が悪いのだと、逃げ場所を作る私は今日も部屋の片隅で小さく縮こまっている。
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