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「 140文字の物語 」
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 濁った空気の中、彼女だけは静謐を保ち聖者の威厳があった。
 炎の巨人が踏み潰す。
 「死なないで」という祈りも虚しく、彼女が立っていた場所は消し炭が残るだけであった。
 歴史という暴力的な風は記す。
 聖女マルゲリータの最期を。
 淡々と淀みなく流れ去る。
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 深夜のベッドの上で恋人と抱き合う。
 軽くビールを飲んだからだろうか。
 今日の彼女は饒舌だった。
 普段ならもらしたりしない愚痴や不満をこぼす。
 その顔がまた可愛くて、僕はキスをする。
 外で降る雨のように彼女の額に鼻にまなじりに頬に、最後は唇に。
-
 携帯電話を開いては閉じて、開いては閉じてる。
 君に伝える言葉、君に伝えたい言葉が胸の奥で渦巻いているのに形にならない。
 君に一番伝えたい言葉は決まっている。
 でも言葉が軽すぎて想いに足りない。
 いつでも、どこにいても、君を想っている。
 好きだけじゃ足りない。愛している。
-
 虫の鳴き声がいっそ儚く響く夜でした。
 季節の移り変わりというものは目には映らないものですが、ふとこういった瞬間に気がつかされるのです。
 それは何気ない合図ではございますが、体にも知らされることなのです。
 虫の音に切なさを感じる夜は私の心に切なさが宿っているからでしょう
「何でも屋だって言ってたじゃない」
はた迷惑な依頼人が言った。
「それとこれとは別だ」
俺は答える。
風でほどんど聞き取れないかと思ったがサイボーグだけあって聞こえたようだ。
「死なないで」
依頼人が言った。
「生きていたら迷惑料加算してもいいか?」
俺は訊ねた。
「もちろん!」
 黄色のカードを集めるゲームは記憶力勝負だ。
 相手の裏をかき、いかに黄色のカードを多く集めるかにかかっている。
 最も多くカードを集められたものはキングになり、その場の支配ができるようになる。
 場の支配は強力で神が結んだ契約をも解消させることができる。
 群青色の空は言葉など必要などないぐらいの何もない空っぽの青空だった。
 旅行く人が足を止めて尋ねる。
「ここは何と綺麗なところですね。誰が描いた夢ですか?」と訊く。
 すれ違っただけの人は
「夢を見た人は、もういないよ」
 と答えた。
「そうですか」と旅行く人はうなずいた。
-
 涙がポツリ。
 あの日から泣かなかったんじゃない。
 泣けなかったんだ。
 君の目から涙を奪ったのは、僕の涙だ。先に泣いてしまったから君は泣けなくなってしまったんだと、気がついた。
 何気ない街で流れていた流行歌が君の瞳を潤した。
 頬を伝う涙。
 君は息を止めて涙を流した。
-
「こんな時間にどうしたの?」
「用がないと電話したらダメな関係な訳?ボクたちは」
「そうじゃないけど今までかけてきたこと、一度もなかったからビックリしただけ」
「元気だった?」
「うん、今日一日元気だったよ!」
「そっか、じゃあね」
 君の声を聴いたから安心したなんて言えない
 真っ白な閃光が体のサイドを通り抜けた。
 それから軽い足音が俺を抜いていく。
 大振りな刀を背負った少女が
「何、ボーっとしているの! 戦って。あいつを閉じ込めないと!!」
 叫んだ。
「君は?」俺が訊くと
「貴方と一緒に戦うために調整されたオートマタよ!」
 少女は刀を振りぬいた。
 国を留守にしての戦いは頭痛の種だ。内にも外にも乱がある。
 支えてくれる臣下は少なく、即位できたのは血筋のみ。
 初代から連綿と続く血が私を王にした。
 何も力を持っていない私を。
 内に潜みし、不和を解消できないまま、新たな戦いが始まったのだ。
 そちらに集中しなければ。
-
 今、私は口を開くわけにはいかないのです。
 いったん開いたら止まることなく、お腹に溜まった不安が溢れ出してしまうでしょう。
 だから口を一文字にして黙っていようと思っているのです。
 撒き散らした不安はきっと醜い形をしているでしょうから。
 口を開いてはいけないのです。
-
 こんなときだからかな。
 甘い卵焼きが食べたくなる。お母さんが作ってくれた甘い甘い卵焼き。
 自分で作ってもあの美味しさには届かない。
 黄色くてふわふわの卵焼きは夢の味。
 一人じゃあの味まで届かない。
 君と一緒ならあの味に届くかなぁ。
-
 書き終わったばかりの手紙。
 一分一秒でも早く届いて欲しくて、切手を貼ると、手紙だけ握ると自転車に乗った。
 外は冷たい風が吹いていて頬を撫でていくけど、心は温かい。
 一番近い郵便局のポストに手紙を入れた。
 この手紙は明日の朝には届くだろうか。
 君に早く伝えたい言葉たちが。
 真っ暗闇の色をしたゴシックドレスを着た少女が目の前に現れた。
 にわかに空は掻き曇り遠雷が光る。
 まるで目の前の少女が引き寄せたようだった。
 驚愕に振るえ声一つ発せない私に少女は、にこりと笑った。
 「御機嫌よう」と。「貴方に会いたくて会いたくて仕方がなかったわ」と言った。
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