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「 140文字の物語 」
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僕の目の前には燃え盛る屋敷がある。
 父の敵の家でここまで憎しみだけで、追いかけてきたというのに相手は亡者となっている頃合いだろう。
「どこにいるの!」
 僕とそう変わらない年頃の少女が刀を片手に走ってきた。
「奴ならもう今世にはいないよ」
 と僕は言った。
 少女の目に涙が浮いた
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揺らめく炎で手紙に封をする。
 閉じた手紙から文字だけを浮かび上がらせて、送り主に流す。簡単な魔法の課題なのだが上手くいかない。
「もう嫌だ!」
 僕はベットの上に身を投げた。
 先刻から何度も試した。
 クラスメイトの物静かにいつも読書をしているあの子に向けて、手紙は届かない。
毎日、郵便受けをのぞいてしまう。
 携帯電話が普及した今の時代、文通というのは珍しいのかもしれないけれども、少女はメールと同じ頻度で手紙を出した。
 日常のとりとめのないことを手紙に託し、送る。
 相手からの返事を待つのは嬉しい時間だった。
 早く来ないかなぁと郵便受けを見る。
かつてここは砂原だった。
 緑が茂ることのない不毛の土地だった。
 何人もの技術者が緑化を目指して挑戦したものだった。
 誰もが諦めかけたとき一人の男が立ち上がった。
 成果が実り、砂原は林となった。
 緑の林に男は涙を流した。
 これは事実である。
 挑戦し続けることは無意味ではない。
機械仕掛けのメイドがクリスマスリースの下で立ち止まった。
「マスター、これは何ですか?」
 宿り木の小枝を吊るしてある場所では男性は女性にキスしても良いことになっていると教える。
 人間しか興味がないという前言を翻して僕は
「愛してる」
 と機械仕掛けのメイドにキスをした。
下草が腰のところまで迫っている。
 鬱蒼とした森にどうやら迷い込んだようだった。
 幼い頃、迷子になった時以来森はトラウマだ。
 獣も通らない道らしく下草に遮られる。
 動物の息遣いが聞こえてきそうだった。
 足は早歩きから走り出していた。
「もう大丈夫」
 森を抜けた直後に女の声がした
今日はカーニバル。
 仮面をつけて無礼講。
 薄紅色の花が散り、楽師たちの笛も鳴る。
 そんなところで見てないで、ほら、特等席はここだよ。
 立ち尽くしている女の子を道化が抱き寄せる。
 今日だけのお祭りだ。
 眠る時間には早すぎる。
 バーンとどこかで銅鑼の音。
 楽団の音はさらに賑やかに。
少年の手元にあったビー玉が弾け飛ぶ。
 少女の髪をまとめるリボンに向かって。
 扉に挟まっていたリボンはビー玉の破裂することで幻のように切れ、少女は自由になった。
 少女は少年に向かって走り出す。
「泣かないで」
 少年は少女を受け止めて言った。
「もう、大丈夫だから」
 少女は頷いた
今日は二人が出会って一年目の記念日だったから、WEBで見つけた濃厚チョコケーキでお祝いしようと注文した。
 ケーキは無事、昼間に届いて、冷蔵庫で解凍中。
 スパークリングワインも適温に冷やされている。
 後は彼が来るのを待つだけ。
 インターホンが鳴り、私は立ち上がった。
終わらない雷撃に突然、襲われて電波塔の裏に避難した。
「何、逃げてるのよ」
 明るい少女の声がした。
「悩む暇なんてないでしょ」
 と日本刀が差し出された。
「他に術無しなんだから、頑張ってよ」
 と雷撃の中心に放り出された。
 彼女もまた薙刀を持って走り出していた。
ゼンマイ仕掛けのオートマタがぎこちなく肖像画の前で震えた。
 オートマタに良く似た少女が夏の庭園で微笑んでいる絵だった。
 おそらくオートマタのモデルになった少女だろう。
「また会えたね」
 オートマタの所有者は呟いた。
 オートマタのゼンマイを巻いてやる。
 彼女は静かに踊りだした
泣き上戸の彼女はお酒が入ると「本当に好き?」と何度も訊ねてくる。
「好きだよ」と言うと「私も好きだよ」と木霊のように返事をする。
「家に帰りたくない。だって一人ぼっちなんだもん」彼女は言った。
「じゃあ、どこに帰る気なんだよ?」
 彼女は俺の胸を指さし「ここだよ」と言った
俯いた姿に一目惚れした。
「種を植えるなら、ここだよ」
 と初心者の俺にも、分かりやすく説明してくれた仕草に二目惚れ。
 ほんの一時間前まで、ただのクラスメイトだったのに。
 彼女が長い髪を耳にかける。
 それだけで俺の心臓は早鐘を打つ。
「綺麗な花が咲くと良いね」
 笑顔に、頷いた。
-
くるくる回る地球の上で僕たちは出会った。
 その奇跡を大切にしたい。
 手をつないでどこまでも歩いていけるなら、それで十分すぎて幸せな気分になれる。
 優しい嘘をついた夜もあった。
 真実をぶつけ合って傷ついたこともあった。
 それでも二人でいることが大切で、幸福なことだった。
俺の横を神秘的な精霊が寄り添う。
 青白い彼女の素肌は絶対零度の冷気が守っている。
 触れることを許さないと言わんばかりだ。
 俺はそんな度胸なんてものを持ち合わせてはいないから、彼女を触ろうとは思わない。
 時より彼女から放たれる氷の欠片にブルッと震えるばかりだ。
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