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「 140文字の物語 」
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彼はお祭りだと言って爆竹を買い込んできた。
 それに呆れながら私は羊羹を切り分ける。
 庭で激しい音が鳴る。
 爆竹よりも線香花火の方が好きなんだけどなぁ、と思いながらその光景を眺める。
 冷蔵庫で冷やしてあった麦茶を添えて羊羹を出す。
 爆竹に夢中になっている彼が気づくのを待つ。
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宇宙の狭間には特級の染物師がいる。
 彼にかかれば夕暮れ時の一番星も、黄色の満月も、オリオン座も、綺麗に染め上る。
 彼は手抜きをしないから、雨が降って空が見上げられない日でも、宇宙を染める。
 梅雨の切れ間に、是非とも空を見上げてほしい。
 そこには素敵な星空が待っている。
おもちゃの残骸がそこかしこに散らばっている。
 いつの間にか霧が立ち込め1メートル先の視界すら怪しくなってきた。
 大学の鐘が鳴る。
 いくつも重なって響く。
 増える大学の鐘の音にビクビクしながら私は、歩く。
 おもちゃの残骸を踏みながらその音に怯える。
 無事に家に帰れるのだろうか
女々しいと言われる幼なじみが即興で詠む短歌が好きだった。
 縁側で耳を澄まして良く聴いたものだった。
 意味が分からない時の方が多かったけれど、幼なじみは笑顔で解説してくれたものだった。
「僕の彼女になってくれる?」
 と幼なじみが言った。
「それはまだ未対応です。
 ずるいです」
図書館で静かに本を読む横顔に惚れた。
 さりげなくカフェに連れ出させるようになったのは出会ってから半年も過ぎていた。
 今日付き合って欲しいと申し込んだ。
「私は初恋の相手を忘れられないの。彼は宇宙人でもう地球には来れないって分かっていても忘れられないの。それでもいいの」
「手出して~」
 いつもの軽い口調で言われたので、自然に右手を出した。
 手の平に冷たい感触があった。
「プレゼントだよ」
 彼の手の甲に隠されて、プレゼントの中身は見えない。
 一体、何をくれたのだろうか。
 一刻も早く知りたい欲求に駆られる。
「何だか、当てて」
 彼は悪戯っぽく笑う。
自分の手と比べて、小さな手を取り、しみじみと思う。
 この手といつまで繋いで歩いていけるのだろうか、と。
 終わる日が来ることに恐れて、眠れない夜を過ごすことが増えてきた。
 別れの日など知りたくない。
 どんな未来を迎えても、ずっと握っている。
 小さな手の中に未来が詰まっている
私を造ったマスターは自分勝手だった。
 機械に恋情という感情をプログラミングした。
 全くの無駄な機能だと判断する。
 私は人間じみた感情に苦悩する。
「困ったときがあれば空を仰ぐと良い」と口癖のように言っていたマスターを見習って、空を仰ぐ。
 持て余す感情にためいきを一つつく。
凍てついた新月の夜。
 星の明かりだけが頼りの夜に、僕は感謝した。
 闇は夜色の衣をまとった僕を隠してくれる。
 身の内から目覚めた独占欲は静かに増していく。
 これも全て君のためだ。
 僕は今宵、君をさらいに行く。
 僕は君に自由を教えてあげる。
 風の匂いも、季節の移り変わりも。
 全部。
涙が後から後から零れてきて、鼻水もずるずる出てくる。
 ティッシュで拭き取りながら、涙を止めようと努力する。
 先に好きになったのは私なのに突然現れた女に奪われた。
 悔しくて悔しくて仕方がなかった。
 これは失恋じゃない。
 片恋でもかまわない。
 いつかその隣にいるのは私なんだから
月が欠けた夜だった。
 彼は末姫の寝所にするりと滑り込んだ。
「あなたは誰?」
 稚い声が訊ねる。
 男は問いかけに答えずに、華奢な肢体を抱き上げた。
 罪とは知りながら、男は末姫をさらう。
 一目で恋に落ちて焦がれた相手だ。
 どうしても手に入れたくて仕方がなかった。
 遂げられて満足した
昔むかし、幸せな若者がおりました。
 彼の足音すら幸せそうでした。
 月まで彼の幸せぶりに柔らかな光を差し込む程でした。
 彼には懐かしい友人がいました。
 今はもう会うことのない友人でしたが大切な友人には変わりがありません。
 幸せが半分ずつにできればよいのに、と若者は思いました
揺らめく灯の中で僕は僕を見つけた。
 ドッペルゲンガーだ。
 世界中には同じ顔をした人間が3人はいるという。
 そのうちの一人に出会ったのだろうか。
 強い力で後ろに引かれ、僕は僕から引き離された。
「ごめんね」と第三者が言った。
「君が鏡に囚われてしまうかと思って」
 少女は謝った
一人ぼっちの僕が出来ることといえば教会の片隅で讃美歌を歌うことぐらいだ。
 そこで堅いパンと赤ワインを貰って食いつなぐ。
 毎日、繰り返している。
 このままでいいのか悩むこともあるけれど、きっと明日も讃美歌を歌うことだろう。
 死なないで生きなさいとシスターが言ってくれたから
納戸を掃除していたら、お煎餅の缶が出てきた。
 中身を空けてみるとスーパーボールが入っていた。
 ブロック塀に向かって投げてみると、弾んで返ってくる。
 懐かしいと同時に哀しい気持ちになった。
 この缶をくれた男の子にありがとうと言えなかった。
 転校してしまった彼は元気だろうか。
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