忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

インターフォンが鳴った。
 読んでいた緑色の表紙の童話集が膝の上から滑り落ちた。
 慌てて拾う。
 童話集をテーブルの上に置いて、よろよろと玄関に向かう。
 通販で頼んだ品が届いたようだった。
 サインをして受け取る。
 新しい童話集だ。
 思わず取り落とす。
 今日はどうにかしているようだ。
PR
この頃、めっきり涙腺が緩くなった。
 窓を打ち付ける雨が速度を増す。
 それに合わせるように、涙が溢れ出す。
 手の甲で拭うけれども、止まらない。
 携帯電話を握りしめ、最新のメールの文章を思い出す。
 こんな後悔するならメールを送るんじゃなかった。
 外を降る雨を見ながら思った。
包丁を持つようになってから、化粧品から遠ざかった。
 お茶を自分で淹れるようになってからは香水からも遠ざかった。
 鏡を見る回数も減った。
 髪は適当に結んで、服も汚れても構わないものを選ぶようになった。
 そんなある日、病床の母がエステのチケットを私にプレゼントしてきた。
ぎこちなく手と手を繋げる。
 それからゆっくりと唇を重ねる。
 微かの震えが伝わってくる。
 不器用に二人は繋がる。
 それはナメクジの交尾のようで、気持ち悪かった。
 ぬめぬめと肌の上に唾液の痕が残る。
 一つ一つの所作が、ボタンを掛け違えたかのように気持ち悪かった。
燦然と彼は舞台の上で、輝いていた。
 貰ったばかりの表彰状を振り上げた。
 階段を駆け下りて私たちの方へやってくる。
 拳をこつんとぶつけ合う。
「二人のおかげだ」
 と彼は言う。
「努力の賜物よ」
 と私は言った。
 彼は表彰状を開いて私たちに見せる。
「ありがとう」
 と彼は満面の笑みで言う
輝く子供時代、通り過ぎてから気がつく過去。
 キャンプ場で初めてテントを張った。
 友達の手を借りた。
 生まれて初めての一人寝。
 天気は悪天候で雷がゴロゴロと鳴っていた。
 なかなか寝付けずに、携帯ゲームをいじって過ごす。
 気がついたら朝だった。
 ピカピカの太陽に目が痛かった。
爆竹が爆ぜるように咲く菜の花畑に俺は圧倒された。
 一面の菜の花。
 地平線まで続いている黄色の花の香りは独特で包まれていると眩暈がする。
 本当は二人で来るはずだった菜の花畑。
 今は俺は一人きりで来ている。
 彼女が見たがっていた景色を目に焼き付けようとしたが、視界が潤むんだ。
幼馴染の彼女の首筋に紅の痕がついていた。
「首、虫に刺されたの?」
 と俺が訊く。
「え?痒くはないんだけど」
 手鏡で彼女は確認する。
「キスマークみたいで嫌だなぁ」
 彼女は苦笑する。
 それが最後の会話だった。
 彼女はその夜、神隠しにあった。
「残念だったね」
 とどこかからか声がした
家で上映会をしようということなった。
 僕の家は一人だと広いし、二人ぐらいがちょうど良い。
 何より彼女とデートなんだから嬉しいに決まってる。
 画面では主人公の恋人が死を迎えようとしていた。
 彼女の頬を涙が伝う。
 僕は舌で彼女の涙に触れた。
 なるほど悲しい味がした。
 僕は納得した
宇宙のように広い心の持ち主は厄介だ。
 いっそ冷酷になれればいいのに、と思いながら無下にできない。
 今日は目がまだ開かない子猫を拾ってきた。
 元の場所に返して来るように言うと、それはできないと泣き出した。
 私も一緒に捨てられる、と訳が分からないことを言う。
 私は奥歯を噛む。
帰宅すると、にゃーんとお出迎えしてくれる愛猫。
 ビロードのような体毛を撫でてやる。
 一人と一匹が暮らすには、ちょっと広い室内。
 スーツから部屋着に着替えるて、タバコを一服しながらTVをつける。
 ようやく帰ってきたんだという実感が湧く。
 一日の内で、一番贅沢な時間の使い方だ
雑貨屋でインスタントタトゥーを買った。
 自分でも大胆な買い物だと思ったけど、夏が背中を押した。
 蝶のタトゥーシールはちょっと危険な香りがした。
 もう子供じゃないと解って欲しくって、左腰にシールを貼った。
 ローライズを穿く時ちらりと見える場所だった。
 もう子供じゃない。
寒さと戦いながら道を歩く。
 道路は雪解けの水が凍って、見事なアイスバーンだ。
 自転車では危険なので、歩いての登下校になったわけだが、寒い。
 ホッカイロだけじゃ暖を取れない。
 マフラーを巻きなおしながら、道を睨む。
 通い慣れた道でも、転ばぬように、滑らぬようにと思うと大変だ
最高の流れでもって、彼女を川べりに誘い出せた。
 雑草が風にそよぎ虫の鳴き声も情緒的だった。
「涼しいところですね」
 彼女は言った。
 言葉とは裏腹に彼女の頬は林檎のように真っ赤だった。
 そんな純情なところも好ましい。
 一つ目の花火が打ちあがる。
 彼女の目が夜空に向いたのは残念だ
名刺交換を終わらせると、せんべいとお茶を勧められた。
 礼儀として一度断ったが、再度勧められて、せんべいに手を伸ばした。
 シンプルな醤油せんべいで、美味しかった。
 2枚目も食べたかったが今日は商談で来ているのだ。
「これが当社のまとめになります」
 と型どおりに書類を出した。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH