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「 140文字の物語 」
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携帯電話に充電器、地図にコンパス、チョコレートにリンゴを入れてちょっとした小旅行だ。
 自転車に空気を入れて、出発。
 普段は通らない道を進む。
 それだけで気分は高揚する。
 早朝の空気は澄んでいて、太陽もまだ昇りたてで、新鮮だった。
 白くなりかけの月が進む道を示していた。
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俺は家の中のかけらを拾い、溜息をついた。
 生前の彼女が河原や道路で拾い集めた小さな石ころだ。
 ドールハウスを造るつもりだったらしい。
 彼女の考えていたことは分からない。俺は彼女が飛び立った窓を見る。
 遺書らしい遺書はなかった。
 来世で巡り会えたならまた恋に落ちるのだろうか。
強い風が窓を叩く。
 目覚まし時計を見ると、いつもより起きる時間よりも1時間早かった。
 二度寝も魅力的だったが起きることにした。
 冷蔵庫の中を物色する。
 トーストに目玉焼き、無塩のトマトジュース、ミカン。
 いつもは抜いてしまう朝食をしっかりと食べた。
 目覚まし時計を止める。
あるところに人情家な若者がいました。
 ある日、彼は真っ新な棺からガラスの小瓶を発見しました。
 取り出された小瓶には「死にたい」という文字が書かれていました。
 彼は棺屋に小瓶を渡しました。
 棺屋は良くあることだ、と深刻な表情で言いました。
 彼は安心して棺に横たわりました。
鯨が印象的な絵を見ながら、彼女の手を握りしめた。
 春になったら同棲する予定で、今日はインテリアを見に来た。
「この絵、良いね」
 彼女は言った。
「俺もそう思った」
「「部屋に飾ろうよ」」
 二人同時に言った。
「超能力みたいだね」
 と彼女は笑った。
「それだけ相性が良いんだよ」
特別に何かあったわけじゃない。
 それは落ちた鉛筆を拾ってくれた、とか。
 列ごとに配られたプリントを手渡す時に手が触れた、とか。
 そんな些細なことで、私は音もなく恋に落ちました。
 気持ちは枯葉のように静かに赤く積もっていった。
 この気持ちを解って欲しいと思うまでとなった。
雑誌に載っていた通りのデートコースで、一つもミスはしていない。
 それなのに現実はどうだ。
 彼女は飽きていることを隠しもしない。
 何が足りない。
 話題も流行を取り入れ、たまに彼女も乗ってくれた。
 それだけだ。
 このままでは告白しても振られるのは解っている。
 俺は雑誌を許さない。
今日のテストのためにドーピングをすませてきた。
 良い成績が出るだろう。
 気持ちが高揚していた。
 ふとカーテンの隙間から、螺旋階段が目に入った。
 本番前に予行練習するのも良いかもしれないと思った。
 俺は教室を飛び出して、階段まで走った。
 ゴールテープは螺旋階段が終わるところだ
通い慣れた帰り道、風もないのに木々が騒がしい。
 宿り木が青々と生えているのがやけに目についた。
 いつもと違う。
 雑木林を足早に通り抜けてしまおうとするが、昨日の雨でぬかるんだ地面に足を取られる。
 鞄を抱えて「やめて」と心の中で何度も願う。
 人では非ざる者たちの呼気を聞く。
想い出は朧か霞か、輪郭を失いながら、頭の中を支配する。
 良いことばかりが頭に残り、悪かったことは消えていく。
 綺麗に磨かれた想い出を何度も思い返す。
 あの頃は良かった。
 前途は洋々と広がっていたし、可能性も無限だった。
 帰れるものなら、想い出の中に帰りたいものだった。
正義を貫くのは苦労するものだ。
 友達と喧嘩したと涙をためて、我が子は帰ってきた。
 もう友達じゃないと大粒の涙を零していた。
「お帰りなさい。
 お母さんはいつでも味方よ」
 と小さな体を抱きしめる。
「万引きは悪いことだよね」
 子は訊く。
「そうよ」
 正義を貫いてきた子の頭を撫でる。
陸から離れて風船が空へと飛んでいく。
 なかなか空いっぱいにとはならない。
 風船を膨らませる手間がかかるからだ。
「空気は熱で膨張するって言ってたよな」
「風船も膨らむかも」
 誰かが言い出した。
 燃える枝を風船の中に入れた奴がいた。
 あっという間に火の手は広がりボヤ騒ぎとなった。
通信簿は実技教科が3で当たり障りのない数字が並んでいた。
 お母さんからの小言はなかった。
 今日のラッキーカラーの黄色の服を着ていたおかげだろう。
 携帯型のすごろくゲームのスイッチを入れる。
 昨日の順位は3位だった。
 ここから逆転して1位になるために、俺は頭をひねる。
ホームで愛おしい恋人がラッピングされた袋を押し付けてきた。
 中身は彼女が好きなパンダ柄のハンカチ。
「忘れないで」
 と彼女は涙ながら言う。
「必ず帰ってきてね」
 と泣き笑いの顔で言う。
「一泊二日の出張で今生の別れみたいに言うなよ」
 俺は苦笑した。
「だって寂しいんだもん」
猛暑日が続くとはいえ、会社の中ではクールビズで、空調もついていて快適だった。
 問題は帰宅だった。
 冷房車両に乗っても緩和されない満員電車の熱気。
 つり革も汗で滑りそうになる。
 家に着くと妻が「今日も暑かったでしょう」と冷たい水と共に出迎えてくれた。
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