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「 140文字の物語 」
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空調がきいた音楽室に乱入者。
 鯨型の大きな風船だ。
 密室は解け、男子生徒が入ってきた。
「驚いた?」
 鯨の所有者だろうか。
 楽しげに語りかけてくる。
「文化祭で使おうと思っているんだ」
「そうですか」
「他にはイルカやシャチもあるんだ。君は何が好き?」
「急に聞かれても」
 と答える
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夏になると水が恋しくなる。
 泳ぎたいわけじゃない。
 純粋に水に浸かっていたくなるのだ。
 太陽の日差しを受けながら、揺蕩う。
 バスタブに張った水では物足りない。
 せめてプール並みのサイズの水の塊で浮いていたい。
 この気持ちを必ず解って欲しい。
 どれだけ水を愛しているのか。
白い衣を纏った少女が扉に手を掛ける。
 僅かな隙間から漏れた光が眩しくて、少年の目は睨む形になった。
 少女が扉の向こうに行ってしまったら、もう二度と会えなくなる。
 今までずっと一緒にいたからそれが辛い。
 少年は惜別の涙を流した。
「今までありがとう」
 少女は微笑みながら言った
黄昏時で敵味方が判別しづらくなってきた。
 地雷原を走り抜ける。
 運良く地雷は踏まなかったようだ。
「悠里様、大丈夫ですか?」
 従者が訊く。
「自分の身を心配しろ」
 と返した。
「私の身を心配して下さるなんて、悠里様はお優しい」
 戦場まで持ち込まれるなんてゆがんだ主従関係だ。
保護色に身を包んだ新兵にライフルの扱いを教える。
 幼児に英語を教えるのに似ている。習うより慣れろと言った風になるのは仕方がない。
 今まで触ったこともない物に慣れろというのは難しい。
 今は的だから形になってきてはいるけれど現実の人間相手となったら何人がトリガーを引けるか
ずる賢い彼はいつも最後の最後までジョーカーを隠し持っている。
 ポーカーフェイスは崩れない。
 彼は最後のカードを翻した。
 やっぱりジョーカーだった。
「勝ち逃げは許さないから」
 と私は言った。
 彼の口からさよならを聞きたくなくって。
「じゃあ、もう一度勝負しようか」
 と彼は言った
昼の公園は飴色の日差しに包まれていた。
 何もかもが穏やかで、風すら優しかった。
 小さな女の子が転んだ。
 すると女の子よりは大きな男の子がやってきて、助け起こす。
 女の子はぐずつくのを男の子は丁寧にあやす。
 その光景を見て私と彼は笑い合う。
 十年前の光景を思い出した。
お花見会場ではほろ酔い気分の人々であふれている。
 突然落雷の音がしたかと思って振り返ると魔術で呼び出したと思われるドラゴンがいた。
 それに対峙するかのように左手に文様が浮かび上がった青年がいた。
 超能力者なんだろう。
 どっちが強いかバトルで決めることにでもなったんだろう
彼とは終わったのだ。
 別れの言葉はなかった。
 気がついたら自然消滅していた。
 連絡が間遠くなっていって、いつの間にかメールのやり取りもしなくなった。
 今、彼が何をしているのか、知りたくない。
 心が波打つ。
 まだ間に合うんじゃないか。
 よりを戻せるんじゃないか、と思ってしまう。
生まれて初めて好きな人が出来た。
 彼に似合う女性になるために無我夢中になった。
 ダイエットもしたし、コスメにも詳しくなった。
 勉強もして、資格も取った。
「綺麗だね」と囁く男性ができた。
 彼に似合う女性になれたと思う。
 現実に彼がいたなら、お似合いの二人ね、と言われただろう
我が家には井戸がある。
 そこには神様が宿っているそうだ。
「聡君と仲良くできますように」
 とお願い事をしてみた。
「それはできない相談だな、巫女」
 いつの間にか井戸の縁に腰掛けている青年が言った。
「巫女は私のものだ」
 穏やかな高校生活はどこかへ消えてしまったようだ。
夏には満々と水を湛えていたプールも水が抜かれている。
 幼なじみに支えてもらいながらプールの底に着地する。
 プールの底には紅葉した葉や小さな石ころが散らばっていた。
「早く探そうぜ。
 先生に見つかると煩いから」
 と幼なじみが急かす。
「そうだね」
 私は玩具の指輪を探す。
早朝の教室はピーンとした清浄な空気がある。
 誰よりも早く登校していた。
 今日は先客さんがいた。
 あまり話したことがない男子生徒。
 長身がぐらりと揺れたものだから、思わず手が出て抱きしめる。
 そのまま床に尻もちをつく。
「悪い。何も食べてなくて」
「飴ならあるよ」
 飴を手渡す。
生温い風が吹く夕方、私は鞄を抱えて足早に通学路を歩いていた。
 放課後、級友と怪談話に興じたのが悪かった。
 幽霊が今にも出そうな雰囲気で、背がぞくりとした。
「やあ、お嬢さん」
 と背の高い男が声を掛けてきた。
 足が二本ちゃんとあるから、宇宙人かもしれない。
 私は逃げ出した。
携帯電話を常に持ち歩いてないと不安になる。
 いつ彼からメールが来るか分からないから。
 メールにはすぐ返事しないと赤い糸が切れてしまうような気がする。
 携帯電話が振動する。すぐ開いて確認する。
 Eメールだった。彼からのものだろうか。
 開くまでのワンタッチすらドキドキする。
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