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「 140文字の物語 」
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生まれつき耳が良かった。
 音叉を頼らなくても、どの音か聞き分けられた。
 自然に調律師を目指すようになった。
 自然に狂っていくピアノの調律をするのは、楽しかった。
 国際コンクールで使用するピアノの調律を頼まれた時は、心が躍った。
 舞台でスポットライトを浴びているピアノを聴く
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輪廻の鰐閉じ込められた。
 苦しいことに記憶つきだ。
 生まれ変わっても前世を覚えている。
 蓄積されていく記憶に潰されそうだった。
「マスター、大丈夫ですか?」
 船のAIが尋ねてくる。
「いつもの発作だ」
 時たま記憶がフラッシュバックする。
 たいていは前世の記憶だ。
 碌なことがない。
深夜のバーで彼女は静かに泣いていた。
 顔は笑っていたが、何度目かの失恋で心は泣いていた。
「次の恋人は俺にしろよ」
 絶対、泣かせないと心の中で誓う。
 彼女の眼鏡の奥の瞳が開かる。
「そうしたら、こうやって気軽にお酒飲めなくなっちゃうよ。だからゴメンね」
 と彼女は寂しげに笑う
「部活でけっこう活発なんだな」
 と幼なじみが言った。
「そうだね」
 私は校庭を眺める。
 学校は思ったよりも生徒が登校してきていた。
 私と幼なじみは図書室に向かう。
 読書感想文用の本を借りに来たのだ。
 感想文のためだけに本を買えるほど懐事情は良くない。
 私は本の林を夢中で歩く。
「行ってらっしゃい」
 寝ぼけ眼で言うと
「行ってきます」
 と優しい唇が額に降る。
 ちゃんと一緒に朝ご飯を食べて、玄関までお見送りをしたいのに眠気が邪魔して成功したことがない。
 もっと構って欲しいといけない欲望が湧いてくる。
 仕事と私、どっちが大切なの? とか訊きたくなる。
TVで人情家の特集が始まった。
 マグカップを落としてしまった。
 中身はほとんど入ってなかったとはいえ、大災害だ。
 タオルを持ってきてソファーと床を拭く。
 高校の同級生がTVに出てきて驚いてしまった。
 タオルとマグカップを台所に置きに行く。
 タオルを洗いながら自分の歳を考えた
雨で床がぬれた小学校に登校する。
 創設者の銅像には今日も野菜が供えられている。
 田舎の風習という物は変ったものが多い。
 私は新任でこの学校に赴任してきたが、その日から雨が止まない。
 何でも雨の神様に気に入られたからだ、と先輩の先生に言われた。
 早く寵愛から抜け出したい。
朝の川縁は涼しい風が吹いていて気持ち良かった。
 でも彼と会えるのがこの時間のこの場所でしかないのは、さびしかった。
「もっと一緒にいたいよ」
「そうは言っても、私はこの場所から離れられない」
 彼は半ば透き通った手で私の頬を撫でる。
 紅潮して林檎のように染まっているだろう。
インターホンが鳴ったから出たら、回覧板だろうかと気軽にドアを開けてしまった。
 ドアの向こうには見知らぬ人が立っていた。
「どちらさまでしょうか?」
「温泉の使者をさせていただいています。
 どうですか?
 二泊三日の温泉ツアーに参加してみませんか?」
 とチラシを差し出された。
3連プリンや3食入りの麺を見る度に思う。
 どうしてもう一つないのだろうか。
 二人姉弟だったからプリンは小さな弟が2個食べた。
 3食入りの麺も弟の方が多かった。
 その度、悔しい思いをした。
 もう一つ多ければ、もしくはもう一つ少なければ、こんな思いにならないのに。
 いつも思う。
私と彼は見えない鎖で、永遠に繋がれている。
 赤い糸だったらどんなに良かっただろう。
 私は神様に何度も問いかけた。
 答えはなかった。
 私と彼、どちらが先に死ぬのだろうか。
 残された方は堪ったものではない。
 孤独の中で鎖の存在を息絶ええる瞬間まで、気にし続けなければならないのだ
機械仕掛けの雛菊と人間の僕はきわどい関係だった。
 唇を交わしたことはなかったけれど、意味もなく手をつないで歩いたことはある。
 お互いの視線が絡み合あい、なかなか解けなかったことは何度でもある。
 傍から見たら、恋人同士に見えるかもしれない。
 それでも雛菊は機械で僕は人間だ
久しぶりに残業がない日だった。
 一駅分ぐらい歩いてみようかと思った。
 次の日筋肉痛にはならないだろう。
 歩道はモザイク模様で彩られていて、行きかう人々も穏やかだった。
 夕方特有の望郷感が漂っていた。
 今年のお盆休みには実家に帰ろうか、とふいに思った。
 良い思い付きだと思った
彼と寄り添いたいだけなのに、彼の視線は違う女の子へ向かってしまう。
 檻に閉じ込められたらいいのに。
「ゴメン、君が一番綺麗だよ」
 と甘い言葉を繰り返す。
 そう言った端からまた違う女の子を見ている。
「もう!」
 と私は繋いだ手を引き寄せる。
「ゴメン」
 まだまだだ。誠意が足りない
夜のプラネタリウムは感動的だった。
 普段は見られない星が映されて幻想的な雰囲気だった。
 見終わって余韻を味わう。
 感動を分かち合うと隣を見ると、彼は寝ていた。
 手をひっぱたいて起こす。
「怒ってる? ゼリー買ってあげるから許して」
 と彼はまだ寝ぼけたような声で言った。
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