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「 140文字の物語 」
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締め切りまでわずかな時間となってしまった。
 原稿は手つかずで、タイトルさえ書いていない。
 自分の中に書きたい欲求が生まれてこないのだ。
 いつもなら空気を吸うように書けるのに、今は鉛のように動かない手。
 原稿を落とす可能性が濃厚だった。
 悪あがきに原稿用紙に名前を書く。
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歌手を目指している彼女は、今日もバーで歌う。
 本当はライブ会場で歌いたいのと泣き上戸の彼女は言う。
 僕は涙を流す彼女を引き寄せる。
 インディーズ止まりの歌声と噂されている。
「残念だったね」
 と今日も彼女を慰める。
「いつかデビューできるよ」
 とその背を撫でる。
「ありがとう」
僕の彼女は猫のように気まぐれだ。
 触れようとすると遠ざかる。
 離れると寄り添ってくる。
 そんな彼女に振り回されるのは悪くないと思ってしまうほど、彼女のことが好きなのだ。
 大きな猫を飼っていると思えば苦痛もない。
 彼女の世話をするのは喜びだった。
夕方のホテルのホテルのラウンジで、紅茶を飲んでいた。
 待ち人は汗を拭きながらやってきた。
「お待たせ」
 彼は言った。
「そうでもないよ。お腹空いてたんだ」
 と私は言った。
「まかせて、美味しいところ見つけたんだ」
 彼は言った。
 異性との友情は難しいというけれど、彼は親友だった。
空調の効いた音楽室はクラス一の美少女の練習室だった。
 完全防音の部屋を開けるとピアノの音が飛び出してくる。
 後ろ手でドアを閉める。
 音楽が止んだ。
「これ文化祭の役割表」
 俺はプリントをペラペラさせる。
「ありがとうございます」
 美少女は言う。
 そういえば密室だよな、下心が疼く
今日は夏祭りだったから、幼なじみの家まで迎えに行った。
 女と言う生き物は支度に時間がかかる、という常識は知っているつもりだった早めの時間に家を出た。
 インターホンを鳴らたら、幼なじみが出てきた。
 珍しく浴衣を着ていた。
 それだけなのに鼓動が早くなった。
 不思議な感じだった
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
 ただ道を歩いていただけなのに、視界が血の赤で染まった。
 それから雑木林の方へ抱きかかえられた。
 守ってもらったんだと思う。
 同級生は鬼のような角をはやしていた。
 魂が抜け出すかと思った。
「大丈夫か?」
 優しい声に遠ざかってしまった。
黄昏時は逢魔が時。
 早く安全な家に帰ったほうが良い。
 フクロウが鳴く夜に外に出てはいけない。
 きれいな殺戮者に出会ってしまうから。
 殺戮者に慈悲はないから見逃がしてもらえることはない。
 一度、目をつけられたら最期だ。
 逃げ場所はない。
 日が落ちる前に安全な場所に帰るのだ。
今週から始まるドラマの舞台は農業だった。
 ノウハウもない脱サラした男が無農薬の野菜を作り、悪戦苦闘しながら売る。
 というあらすじだった。
 主演の俳優目的で見始めたのだが、意外と面白かった。
 失敗の連続では手に汗握った。
 ツイッターのアイコンもドラマの公式アイコンだ。
死にたがりの娘は部屋から抜け出す。
 自分の死に場所を探してさ迷い歩く。
 空っぽの棺桶を見つけた。あつらえたかのように娘にピッタリだった。
 娘は棺桶に横たわると、人々が集まってきて釘を打ち始めた。
 こんなはすではなかった。
 まだ遺書も書いていない。
 娘は棺桶から飛び出した。
離れ難くて僕は彼女を抱きしめていた。
 深夜の駅、人影もまばらだった。
 もうすぐ終電だ。ゆるりと腕を解く。
 すると彼女の方から抱きついてきた。
「寂しい。今度はいつ会えるの?」
「わからない」正直に答えた。
 彼女の手を解く。
 その代りにポケットからゼリーを取り出して掌の上に置く
宿題を持って、幼なじみの家のインターホンを押す。
 すぐさま幼なじみの部屋に通される。
 小母さんはケーキと麦茶を置くと立ち去った。
 空調の効いた幼なじみの部屋は寒いぐらいだった。
「密室だね」
 とミステリーを読んでいた幼なじみが言った。
 私の頬は紅葉のように真っ赤になった。
水面がきらりと光る。
 今日は待ちに待ったプール開きの日だ。
 入念に準備運動をさせられて、ようやく静かにプールの中に入れた。
 冷たい水の感触に思わず歓声が上がる。
 水の中で手をつなで歩いて流れるプールごっこをする。
 体がふわりと浮いて楽しい。
 夢中になってぐるぐると回る。
下草を刈ってないため腰の高さまで伸びた青草をかき分けながら男は進む。
 鞄には手紙が入っている。
 丘の上に独り暮らし女性宛ての手紙だ。
 手紙を楽しみに待っていることを知っているから、無我夢中で進む。
 天気は慈悲などないから、豪雨の時も猛暑の時もある。
 男は週一で手紙を届ける
真冬の手がかじかむ中風船を膨らませる作業を続ける。
 今日結婚式を挙げる二人のためだ。
 親族がいない二人のために人工の脇役たちも揃っている。
 機械で制御されているロボットたちは、人間以上に自然に風景に溶け込むことだろう。
 雪が降らなきゃ良いけどと思いながら風船を膨らませる
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