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「 140文字の物語 」
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燃え盛る墓標を見て、取り返しがつかないことを悟る。
 燃える墓標に身を投げ入れたい。
 宿っていた物が消えていくような気がした。一緒に死にたい、と思った。
 ジリリーン。
 目覚まし時計の音で夢から覚めた。
 そう夢だったのだ。
 失笑する。
 どうか逆夢になりますようにと祈る。
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開店準備をしているマスターの前には、バーご自慢の歌姫が眠たそうな顔で座っていた。
 昼間だからお客はいない。
「落ち着きたいときは数字を数えるってホント?」歌姫は訊いた。
「素数を数えるお客さんはいたかな」マスターは言う。
「じゃあ、本当なんだ」
 二人は知識を共有した。
玄関のドアを開けると、人待ち顔の愛猫が一匹。
「ちょっと遅くなった。悪かったなぁ」
 全身を撫でてやると、嬉しそうに、指先に爪を立てる。
「こらこら、痛い痛い」
 挨拶代りの甘えが可愛くて、さらに撫でてやる。
「すぐにご飯にしてやるからなぁ」
 靴を脱いで玄関を上がる。
部活仲間とお花見に来た。レジャーシートの上に、買ってきた物を並べる。
 流石に1.5Lのペットボトル3本は重かった。
 右手の関節が赤く染まっていた。
 部長の音頭で乾杯をする。
 下っ端はお酌係だ。空になる前にジュースを注ぎに行く。
 人数と紙コップの数が合わない。
 幻覚だろうか。
どうしてあの時、初めての恋に破れた少女の涙を拭ってやれなかったのだろう。
 優しく抱きしめてやれなかったんだろう。
 一番、近くにいたのに、何もしてやれなかった。
 深く後悔をしている。
 優しさで包んでやれば、少女の恋は綺麗に終わっただろう。
 少女はまだ恋を引きずっている。
深海色のシャツを着た少女が走ってくる。
 長い髪が揺れ、人魚尾ひれのように見えた。
 暑い夏の日差しをはねのけて青年の元までやってきた。
「お久しぶりだね!お兄ちゃん」
 血の繋がりはないが少女は青年をお兄ちゃんと呼ぶ。
「ただいま」青年は少女の頭を撫でた。
 疼く心を押さえつけて
春のクラス替えで幼なじみとクラスが分かれた。
 そのせいか、良く遊びに来るようになった。
「掃除してたら出てきました!」とファミコンを抱えてやってきた。
 さっそく対戦ゲームをする。
「新しいクラスはどうだ?」と訊くと「先例のないメガネキャラだって言われた。成績悪いから」
「飛行機で行くなんて聞いてなかった!鉄の塊が空を飛ぶなんて信じられない!」
「飛行機事故より交通事故の方がリスクは高いのよ」友達が言う。
「でも」
「露天風呂、楽しみでしょ?それにここまで来て旅行をキャンセルする?」
 ニコニコと友達は言った。
 勝負は見えたようなものだった
男はぶつぶつと呟きながら書物を破る。
 カバーの色は紅の書物で中身も鮮血で染め上げたかのように赤い。
 男は千切っては焚火に投げ入れていく。
 赤いページは焚火に燃やされて灰になっていく。
 男は作業を止めたりはしなかった。
 目出度く全てのページを燃やし尽くした。
 さあお手を拝借。
昼間の駅は閑散としたものだった。
 次の電車まで30分もあるから手を繋いだままベンチに座った。
 座ると目線の高さが近くなる。
 彼女の首筋にほくろを見つけた。
 それに誘われるままに唇を落とした。
 彼女は身を引く。
「昼間から何するの!」
 彼女は首筋を繋いだ手とは反対の手で押さえる
今回の旅行の目的は文学者のお墓参りだった。
 墓地の入り口で線香を買い、お墓を探していると、腕を掴まれる。
 振り返ると友人が真っ青な顔をしていた。
「どうしたの? お腹でも痛い?」私は訊いた。
「怖くないの? 幽霊が出たらどうするの?」
 友人が怖がりなのを知った瞬間だった
私は携帯電話を握り、時計の針を見つめていた。
 待っている時間というのは長いもので、座ったり立ったりと繰り返している。
 合否の連絡を電話にするんじゃなかった、と後悔しても遅い。
 面接でミスしていなかったか。ペーパーテストで大きな間違いをしなかったか、頭ぐるぐる回る。
殺風景だから壁画を描いてくれと友人に頼まれた。
 真っ白な壁いっぱいに自由に絵を描けるなんて幸運だ。
 胸を弾ませる。
 空想上の動物を描いていく。
 ユニコーンの隣には清らかな乙女。
 グリフォンの隣には勇敢な少年。
 地には美しい花、天には煌めく星座。
 筆が乗るままに描いた。
昼下がりは速度がゆったりしているように感じる。
 ベンチに座っている老婆が孫らしき少年を手招きする。
 手作りの巾着からキャンディを取出し、孫に手渡す。
 少年の瞳がきらきらと輝く。
 少年は仲間のところに戻り、キャンディを配る。
 男の子たちは笑顔になる。微笑ましい光景だった。
言われるまま伸ばした髪はひざ裏に届くほどの長さになった。
 切ることは、少女の主が許さないだろう。
 就寝前の儀式に主は少女の髪を梳く。
 さらさらと髪はほつれなく流れていく。
 自分の一部を他人が触っていることに、そわそわする。
 息遣いまで伝わってくるまで静かな空間だから。
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