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「 140文字の物語 」
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春は卒業の季節でもある。
 魔法学院を卒業したての新米魔女があちこちで見られることであろう。
 そのうちの一人は、さっそく店をオープンさせた。
 主に薬を扱うお店だ。
 店の奥の密室には風邪薬から心臓の薬まで、出番を今か今かと待ち受けている。
 一人目のお客さんの希望は惚れ薬だった
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ほたっらかしにされているなぁ。と一人で晩ご飯を食べながら思った。
 両親は今日も残業だそうだ。
 最後に家族そろってご飯を食べたのはいつのことだったろうか。
 構ってくれない両親の代わりに、秘密の家族をオンライン上に作った。
 そこではままごととながら、家族らしく機能していた。
眠っている彼の手帳を開く。
 私の誕生日の日付にいたずら書きをしようと思ったのだ。
 すでにスケジュール欄にはハートマークが書かれていた。
 愛されているんだな、とふつふつと実感した。
 静かに手帳を閉じた。
 彼に似合う女性にならないといけないと思った。
 進む方向は決まった。
家の裏庭には、苔に覆われて緑色に染まった井戸があった。
 今も神棚に供える水はその井戸から汲んだ水と決まっている。
 朝一の行事を引き継いで十年。
 兄から教わった通りに水を汲む。
 穏やかな記憶が蘇ってくる。
 初めて水を汲んだ時は一人前になったんだと誇らしい気持ちになったものだ
この辺の老人は元気だ。
 働き盛りの若者よりも健康だった。
 老人会があり、町のまとめ役になっていた。
 何か困ったことがあると、その老人会に連絡が行くのだ。
 こじれにこじれた案件もすんなりと解決してしまう。
 この町にはなくてはならない頼りになる存在だった。
 今日も老人会に案件が
あるところに一人ぼっちのからすがおりました。
 みんなと羽の色が違うから、いつも一人ぼっちで過ごしておりました。
 どこかに同じ羽の色の鳥はいないだろうかと、いつも思っていました。
 ある日、からすは湖面に自分と同じ色の鳥を見つけました。
 一人ぼっちとはさよならだと叫びました
駅中にあるカフェは始発から営業しているか助かる。
 いつものセットを頼んで、席に着くと彼女は携帯電話を睨んでいた。
「どうしたの?」と訊くと
「天気予報。夕方から雨が降るって」
「傘は?」
「折り畳み傘は持ってる」彼女は言った。
 天気予報を疑っているようだった。
 気持ちは分かる
校庭に黒ねこが侵入していた。
 追い出そうとすると、黒ねこは出口は逆方向に逃げる。
 残暑続く日に黒ねこと追いかけっこが始まってしまった。
 すぐさま、汗まみれになってしまう。
 ハンドタオル持って来ればよかったと後悔する。
 黒ねこはダイエットの使者だろうか。
 運動不足の私のための
多くのアスリートがぶつかるように私も壁にぶつかった。
 壁は高く、もがけばもがくほど底なしの沼に溺れていくような錯覚がした。
 周囲の期待が重荷になった。
 どこかへ逃げたいと思った。
 そんなある日、友人が遊びに連れ出してくれた。一人の女の子としての時間は嬉しかった。
楽観主義者な従兄と蔵の中を探検することとなった。
 蔵の中は埃が蓄積していて掃除が行き届いていないこと示していた。
 宝物を見つけることが出来るのだろうか。
 従兄が古びた本を手にやってきた。
 本には従兄と私の名前が書いてあった。
 家系図だろうか。
 これから先伝えていくものだろう
眼鏡の曇りが気になって、いったん外す。
 息を吹きかけて眼鏡拭きで拭いていると、男子が眼鏡を取り上げた。
 チャラ男なのに紙一重的きわどい才能で、嫌われていない男子だ。
「眼鏡ない方が可愛いよ。コンタクトにしたら」男子は言った。
「眼鏡、返して」私は絞り出すように言った。
色をテーマにした原稿の執筆依頼がきた。
 どういう風に解釈しても良いということだったので、単純に好きな色をテーマにした。
 空の青と海の青。
 ミカンをむきながら、どんな話にしようかと頭を働かせる。
 ありきたりなものではなく、ハッと驚かせるようなものを書きたい。
 字書きの悪癖だ
幼なじみの海は賢い。
 大人たちよりもずっとずっと賢い。
 神童というヤツだった。
 私には自慢の幼なじみだった。
 ある日の夕方、海が庭伝いで縁側からやってきた。
「どうしたの?」と私が尋ねると海はハラハラと涙を零した。
 私は海を抱き締める。
 そうした方が良い気がしたからだ。
夜のキッチンで洗い物と明日の朝ご飯の下ごしらえをしていた。
 階段を降りてくる音がした。
 受験生の妹がうつむき加減で歩いてきた。
 キッチンに無言に座る。
 ミルクパンに牛乳を注ぐ。
 鍋肌がふつふつしたところでマグカップに注ぐ。
 妹の前に置くと泣き出した。
 俺は吐息をつき頭を撫でた
彼女は泣き顔で、俺の両手のひらに触れた。
 体温よりもわずかに温かい水滴が手のひらを伝わっていくのが分かる。
 泣き顔を見られたくないんだろう。
 俺は彼女の泣く理由を思いを巡らせる。
 きっと俺の知らない過去のことで、泣いているんだろう。
 静かに泣く彼女を抱きしめたいと思った。
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