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「 140文字の物語 」
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ソファの上に並んで座っていた。
 レンタルしてきたDVDを見終わったところだった。
「幸福って、身近な場所にあるのよ」彼女は満面の笑みを浮かべながら、俺の両手のひらを両手で包む。
「ほら、温かいでしょ?」彼女は言った。
 自分とは違う体温にドキリっとした。
 確かに幸福だった。
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花火職人の腕を競い合う花火大会にやってきた。
 電車を乗り継いでやってきたので、周囲は見知らぬ人ばかりだ。
 宇宙人が混ざっていても気がつかないだろう。
 地元で行われる花火大会とは規模が違う。
 アナウンスが流れ、一発目が宙高く上がる。
 落ちてくるにしたがって色が変わっていった
ステージの上に立つのは、初めてではない。
 むしろ幼い頃からステージの上に立っていた。
 演奏中、独りになるのは当然だった。
 練習は限界までしてきた。
 出来ることは全てやってきたのに心配で、震えが止まらない。
 このままでは上手く演奏ができない。
 最高の演奏を届けたいのに。
羊雲をくるくると枝で巻き取って、綿飴にして、幼なじみに差し出した。
 幼なじみは無言で先を歩いていく。
 いつもより早い歩調だ。
「魔女の箒スピード大会を見ていて遅れちゃったのは謝ったじゃん」そう言うと「これで遅刻するの、何度目?」と言う。
 許してはくれないようだった。
低級悪魔にとって魔王城は荘厳すぎて嫌な城だった。
 化石になってもおかしくはない齢の上級悪魔が、何かしらの理由をつけて晩餐会を毎夜開いているのだ。
 そんなところにひょこひょこと顔を出したら、良い肴のネタにされてしまう。
 低級悪魔は悪魔らしく下界で遊んでいる方が気楽だった
薄暗い鉱山への道を歩いている。
 自然と内股になってしまうので、意識して歩幅を広くする。
 ランプ片手に廃墟になった鉱山を歩く。
 そこかしこにクズ石と判断された結晶が落ちていた。
 一つを拾って、ランプで照らしてみる。
 結晶内のクラックが虹になる。
 虹を堪能してポケットに入れる。
休日の昼間、ロフトでゴロゴロしていたら携帯電話が鳴った。
 出てみるとまだ若い女性の声だった。
 サークルの後輩からの連絡だった。
 飲み会のお誘いだったから受けた。
 そこで後輩と顔を合わせした。
 出会いが声が先なのはちょっと奇妙だった。
 それから付き合いだして、今日指輪を買った
「手、触らせてもらってもいいですか?」勇気を持って言ってみた。
「別にいいけど。何で?」彼は言った。
「前から大きな手だと思って、触ってみたかったんです」私は俯きながら言った。
「どうぞ」両手が差しのべられた。
 恐る恐る、両手を指先でなぞる。
 肉刺ができていて堅い手だった。
温泉街に相方と共にやってきた。
 久しぶりの骨休めだ。
 和室の部屋でもカードキーだった。
「密室ミステリーが書けそうだね」相方は言った。
「今はどこでもカードキーなんだね」まじまじとカードキーを見る。
「密室が簡単にできちゃうね」
「ロマンが足りないね。もう少し何か欲しいね」
運動会の対抗リレーは目玉だった。
 学校の先生と保護者の、大人同士の対抗リレーだった。
 若手の先生が準備体操をし始めた。
 勝者には学校一美人の先生のキスがつくんだから、大人たちは大盛り上がり。
 子供である生徒は応援しかできないのが悔しい。
 大人たちより早く走ってみせるのに。
宇宙ステーションのエスカレーターに乗せられて、少年は狼狽した。
 地上から離れていくのは想定外だった。
 今日は友達を見送るためだけにやってきたはずなのに、一緒に行く羽目になるとは考えていなかった。
 透明樹脂のパイプから銀河が見えた。
 少年はスポットライトを浴びて輝いた。
昔むかし、あるところに伝説の高校がありました。
 人ならざる者たちが通う高校です。
 草の精霊や人形たちが、人間社会に馴染めるように、高校に通っていました。
 ある日、その高校の存在が人間に発見されてしまいました。
 とんでもないことだと高校を壊し始めました。
 今は伝説の高校です
夢が現実を引き寄せる症候群が蔓延した。
 夢現の出会いをした。
 黒の長い髪をした少女が剣を抱いて、少年の元にやってきた。
 少年は剣を手にして、困難を断ち切る。
 夢で見たことが現実で起きた。
 黒髪の少女が目の前にいる。
 剣ごと抱き寄せると「離して!」と警戒された。
 夢と違った。
夕方の教室にクラスメイトが残っていた。
 鍵をかけたら密室の出来上がりだった。
 彼女は、十年以上愛されつづけているメーカーのミルクを飲んでいた。
「忘れ物?」彼女は訊いた。
「そう、忘れ物」俺は彼女の腕を掴んだ。
 抵抗されなかったから、その唇を奪った。
 ミルクの味がした。
病院に来ると、いかにも自分が病人なんだと思い知らされえる。
 38.5度も熱を出しているんだから、立派な病人なんだが。
 付き添ってくれた彼女と空いている椅子に座る。
 彼女は上目遣いで、手のひらを触れ合わせる。
「熱いね。辛くない?」声を落として尋ねる。
「大丈夫だよ」と言う
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