忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

朝、目覚めたらいつもより30分遅かった。
 朝ご飯を食べている余裕はない。
 制服に身を包むと、俺は飛び出す。
 自転車で坂道を登って、いつもの電車に飛び乗る。
 彼女と合流する。
 彼女は嬉しそうに、両手のひらに爪を立てる。
「遅かったね。間に合わないかと思った」と彼女は言った。
PR
恋人とは図書館デートが多かった。
 自分好みの本を一冊持って、隣に座ってお互いページをめくる。
 時たま小声で感想を伝え合う。
 ゆっくりとした時間に微睡むように傍にいた。
 恋人は唐突に言った。
「僕が超能力者だとしたら、君はどうする?」
「びっくりすると思う。でも大好きだよ」
人生初の彼氏ができた。
 傍にいるだけでほっこりと温かくなる人物だ。
 私はそんな彼氏に夢中だった。
 思春期が終わった頃にできた彼氏を親に紹介すると、親は愛想よく対応してくれた。
 親離れ子離れが上手くできたようだった。
 両親と一緒にいる時間よりも彼氏と一緒にいる時間の方が長い
桜の花びらが舞う頃、花嫁になる。
 仮縫いのウェディングドレスを見て、幸せな気分になる。
 これが完成する頃、たくさんの人に祝福されて世界で一番、幸せになるのだ。
 そう思うと頬が緩む。
 ハネムーンの場所や日程は、彼に任せた。
 私よりも予定を組むのが得意な彼の方が効率が良い。
私には私じゃない私がいる。
 複数の方向から光を当てた時にできる影のように、たくさんの私がいる。
 覚えのない増える記憶。
 クリアした覚えのないクエストの数々。
 目覚めていても夢の中にいるようで、私の中の私の一人が対処している。
 私が私でいれる時間が少なくなってきている。
女は午後に大きなミスをした。
 上司がかばってくれたので、重大な問題にはならなかった。
 けれどもペナルティとして残業を申し付けられた。
 案件が終わるまで帰れない。
 これぐらいで済んで良かった、と女は思った。
 ミスをした時は頭の中が真っ白になって、パニックになったものだ。
百年に一度の厄災。
 大地が凍てついたのは元亀15年のことだった。
 皇帝は古代からの作法に従って、神に豊穣祈願をした。
 民が飢えないように備蓄してあった米を大地の果てまで配った。
 仁の心が通じたのか、大地は元の豊かさに戻った。
 厄災は消えたのだ。
 そんな時もある、という証明だ
昼のプールから帰ってくると、ルームメイトがテレビの前で泣きじゃくっていた。
 どうやらドラマの再放送を見ていたようだった。
 感動的な最終回だったらしい。
 ドラマ全般に興味のない私は「そうなんだ。良かったね」言った。
 涙で濡れたタオルを回収する。
 水着と共に洗濯機に入れる。
傘を忘れたと言ったら、入れて行ってあげるよとクラスメイトが言った。
 仲良くなるチャンスだと思い、俺は彼女の傘に入れてもらった。
 ふわりと良い匂いが彼女からする。
 危機一髪、抱きしめてしまいそうになる。
 ふらちなことをしないように、さりげなく両手のひらをぎゅっと握る。
一度でいいから、友達とテーマパークに行きたいと思っていた。
 商店街の抽選会の一等がテーマパークのチケットだった。
 残念賞のティッシュなんだろうな、と思いながら抽選機を回した。
 カランっと金色の球が出てきた。
 ベルが鳴る。
 一等当選です、とおじさんが言う。
 夢が叶ってしまった
台風が過ぎ去って、風が変わった。
 涼しいから一気に寒いに変わった。
 心を浮き立たせえていた金木犀も、風が散らし運んでしまった。
 道はまた無臭に戻ってしまった。
 季節は目には見えない形で移り変わっているのだな、と納得する。
 夏服を洗濯機に入れる。
 来年まで着ることはないだろう
彼女は小さいから、かばってやらなければいけない。
 痛みを無視して、いつでも真っ直ぐ見ているから、守ってやらなければならない。
 笑顔でこちらを見る彼女の瞳は綺麗だった。
 世界は幸せで満ち満ちていると告げているようだった。
 満身創痍であるのに、彼女は幸せそうだった。
今日は北がラッキーワードらしい。
 北側のビルの中のテナントに入る。
 並ぶ宝石に、今日の目的に相応しい商品を探す。
 プラチナの台に彼女の誕生石をあしらった指輪は、どれも美しかった。
 無難な指輪を一つ選んだ。
 これが真の物語だった。
 劇的なことは何一つない。平凡な物語だった。
増えていく名刺を整理しようと、リビングのテーブルに広げた。
 軽いゲームができそうなほど多かった。
 名前から顔が思い浮かぶものは少ない。
 仕事柄か女性の名刺が少ない。
 身震いをする。
 隙間風が入り込んだせいだった。
 ぬくもりが恋しくなった。
 彼女にメールを送ろうと携帯を開いた。
僅か5歳にして玉座についた皇帝は眠そうな顔で朝議に出ていた。
 国民のことよりもパンダを集めることに溺れていた。
 政治は宦官政治になっていた。
 賄賂が公然と飛び交い、朝は傾いていった。
 ある日、辺境の村で正義の志を持った若者が立ち上がった。
 そこで皇帝は申し訳ないと思った。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH