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「 140文字の物語 」
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呼び止められて振り向く。
「落し物ですよ」と初老の紳士が言った。
差し出されていたのは年代物の懐中時計だった。
鎖が切れて落っことしたのだろう。
「ありがとうございます。宝物なんです」と私は受け取った。
家に帰ったら新しい鎖と交換しなくちゃいけないなと思った。
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鎖に繋がれて何日が経過しただろうか。
明かりとりの窓からは月が見えない。
牢屋は暗闇に包まれている。
階段を下りてくる音がした。
僅かな明かりがその人物を照らしていた。
鎖を繋いだ張本人がやってきた。
男は無言で見つめる。
視線を逸らすのもしゃくにさわるので見つめ返した。
正義の主人公になったつもりの少年は、誰も近寄らない屋敷に訪れた。
腰にぶら下げたナイフを取り出して、切れ味を確かめてから慎重にしまう。
屋敷の空気は重苦しい。
鉄製の扉を押し開ける。
重々しい音を立ててそれは開いた。
鼓動が早くなる。
屋敷の主に会うために足早に向かった。
暖かな日差しの中、少女は神隠しにあった。
少女は村の調和を乱すほど美しかった。
あまりに美しいので豪商が買い取っていったという噂もたった。
突然、少女を奪われた少年はもう逢えないことに涙した。
あんまりにも美しいから神様が連れて行ってしまったんだと自分に言い聞かせる。
-
言葉は不完全だから、僕の気持ちのすべてを伝えることができない。
僕の心の一番居心地の良い場所に君がいることを、君は知らない。
どれだけ君を好きだと言っても、君は笑顔でありがとうと言うばかり。
僕と君の関係はどんな関係なんだろう。
ただの友達のままいられない。
修学旅行は北海道。
都心生まれには、初めて見るものばかりで飽きることがない。
班ごとの自由行動時間が楽しみだった。
先生方の注意を受けて、はれて自由の身になった。
同じ班の男子生徒が「手、真っ赤だぞ」と言った。
「手袋、忘れちゃって」と言うと、力強く、指先を両手で包まれた
堅い蕾がゆっくりとふくらんできた。
桜が咲き揃うのが楽しみだ。
春が近づいてきていることが分かって、心が浮き立つ。
桜の蕾をズームでデジカメで撮影する。
後でサイトに載せよう。
一足早い春の空気にみんなどんな反応するだろうか。
待ちに待った春の気配だから嬉しいに決まっている
こんなところで邂逅するとは思ってもみなかった。
外見がどんなに変わろうと彼が彼だという事は変わらなかった。
それが眩しくて出来れば再会したくなかった。
上辺を取りつくろう。
笑顔を作り、二人の間にあった距離がなかったように振る舞う。
彼は想い出の中のように微笑んだ。
-
君にだけ伝えたいことがあるんだ。
世界でただ一人の君だから、僕の気持ちを知っていて欲しいんだ。
いつか離れ離れになってしまうだろうから、今伝えたいんだ。
君の笑顔にどれだけ救われたか。
君が僕の名前を呼ぶ度、どれだけ幸福感に包まれたか。
君の存在が僕を生かしてくれたのか。
これで最後だと思ったら切なくなった。
もうすぐ発車する列車に彼は乗る。
私を置いて。
電話もするよ。メールもするよ。と約束してくれたけれど、二人の距離は開くのは避けられない。
私は優しく、彼の腕にしがみつく。
この温もりを忘れないように心に刻み込む。
発車するベルが鳴った。
部屋は静寂で包まれていた。
柱に掛けられた時計の秒針がやけに耳につく。
会話は途切れたままだ。
いつもに増して無口な彼が心配だった。
指を組んだまま彫像のようにソファに座っている。
無言に耐えかねて私は口を開いた。
「私じゃ、力になれない?」
すると彼は弱々しく首を横に振った
-
墨を流し込んだような夜。
月は姿を見せず、星ばかりが輝いている。
街灯も心細くアスファルトに光投げかけている。
コートのポケットから携帯電話を出して、君にコールする。
繋がらなくてもいい。
ただ君に僕が電話をかけたという事実さえ残れば満足だ。
6コール目に聞きなれた声が出た
気がつけば白い天井が見える場所にいた。
病院だと気がつく。
両手が自由にならないことを不審に思い、首を少し持ち上げた。
彼女の小さな頭が見えた。
それから力強く、両手を握り締める腕が見えた。
心配してくれたんだなと思うと申し訳ない気持ちになった。
薄手の布団にもぐりなおした
街路樹が紅葉していて美しかった。
ふれそうでふれない手が手持ち無沙汰だった。
手を繋ぐタイミングが分からない。
それでも並んで歩けるのが嬉しいから、顔に微笑みが浮かぶ。
彼の顔を見上げると、ついっと逸らされてしまった。
その代り力強く、指先を折れんばかりに握ってきた。
テストの答案が返ってきた。
クラスで一番じゃなかった。
今回も負けたのだ。
彼に勝つには百点満点を取るしかない。
万年一位はケアレスミスもしないのだから。
一番を取った彼は興味なさそうな顔で答案を受け取っていた。
家に帰ると悔しさで泣けてきた。
飼い猫が指先を舐めてくれた。
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