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「 140文字の物語 」
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昨日から降っていた雨は、昼下がりに止んだ。
雲一つない青空が広がっている。
嬉しくなって年甲斐もなくスキップをする。
日差しも柔らかく、気持ち良かった。
今日は良いことがありそうだ。
午後の仕事も頑張って片づけて、定時に上がるぞ。と心の中で決意する。
青空をもう一度見上げた
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早朝の部屋に幼なじみが入ってきた。
「おはよう」とダイヤモンドを粉状にして撒いたような黒い瞳が俺を見つめる。
幼なじみは手を繋ぐ。
火花が散ったように感じる。
繋いだ手から 太陽のような光を感じる。
体の隅々まで跡が残るような気がする。
「おはよう」とようやく返した。
真っ白な日差しの中彼は立ちつくしていた。
黒い影が地面にぴたりと張り付いていた。
これからもっと暑くなるのだろう。
今日も夏らしい天候だった。
紹介したい人物とは彼のことだろうか。
彼がこちらに気がついた。
満面の笑みを浮かべながら、手のひらを軽く握ってきた。
私も握り返した
夜景を臨みながらの食事は味がなかった。
緊張で、美味しいであろう数々は、鉛のように胃を下っていく。
二人の大切な記念日だから、奮発してくれたのはとても嬉しい。
でも、私が食べたかったのは、いつものファミレスのパフェだった。
それで充分だと解って欲しかった。
煙の中から女性が現れた。
女神の化身に違いないと誰もが思った。
これから雨という恵みを授けてくれると誰もが信じた。
干ばつに苦しむ村人たちはついに願いが叶ったと思った。
女性が手を振ると、雨が降り出した。
村人は大喜びした。
どしゃぶりの中、女性は霞むように姿を消した。
夕暮れ時になりメリーゴーランドにも光が灯った。
恋人や家族連れが楽しげに乗っている。
かくいう私たちも含まれている。
子どもの甲高い声が耳障りだった。
私たちの間には沈黙だけが沈む。
憂鬱な流れだった。
最後に乗る予定の観覧車の中でも沈黙は保たれるだろう。
繋いだ手が解ける。
昼の時間のブランコは順番待ちだった。
子供に混じって順番を待つ。
ようやく番が回ってくる。
彼女は喜んでブランコを漕ぐ。
スカートだというのに立ったまま漕ぐ。
中が見えないかこちらがハラハラする。
時計をちらりと見ると昼休みが終わろうとしていた。
彼女はブランコから飛び降りる
昼ご飯を食べて、お気に入りのCDをかけて、ソファに横になるのは至福の時間だった。
コーヒーの香ばしい香りが鼻孔をくすぐった。
ゆっくりと覚醒すると、テーブルの上にはコーヒーカップが二つ並んでいた。
彼女は恥ずかしそうに、指先を握ってきた。
「起きて。コーヒー淹れたの」
私の好きな人は、いつも私を子ども扱いする。
コーヒーだってブラックで飲めるのよ。
煙草の味は分からないけど、貴方の好きな銘柄は覚えているのよ。
アルコールだって呑める。
私と貴方の間には高い壁があるみたい。
いつか乗り越えて見せるわ。
キスの味を知りたいもの。
勿論、その先も
週間天気予報は雨だった。
カレンダーには二重丸がつけられていた。
予報が外れて、晴れ、いやせめて曇にならないだろうか。と思ってしまう。
この間のデートも雨だった。
突然の雨で、ストッキングに泥はねをしたことを思い出す。
重ねるわけじゃないけれど ブーツにしようと思った。
「お婆ちゃん、こんにちは」鍵を開けて、縁側に向かう。
この時間、もっとも暖かい場所だ。
小柄な体躯が見えた。
老人の膝の上には猫が微睡んでいた。
ここにはゆとりがあった。
黄金色の日差しの中、時までゆったりとしているようだった。
「今日も来てくれて、ありがとう」と言われた。
ガラスケースにしまわれた人形の目は澄んでいる。
濁ったおのれの瞳が映りこむ。
瞬きをしてから鏡を見る。
そこには人形と同じ澄んだ目が映っていた。
ほっと一安心して鏡を元の位置に戻す。
ふと視線を感じて振り返る。
人形がいつものように微笑んでいた。
澄んだ目に陰りが過った。
この季節の太陽は慈悲深く感じる。
真夏の時は嫌悪していたのに、人間とは我儘にできていると感心する。
コンコンと窓ガラスがノックされた。開けると幼なじみがいた。
「おはよう」とまるで太陽のような笑顔を見せる。
息が凍る程寒いのに、暖かく感じた。
雪の影響で一限は休止になった。
やることもなく早朝の大学を散策する。
階段を下りていると、小さな悲鳴が聞こえた。
階段を踏み外したらしい。
白い太ももが見えた。
女性がこちらに気づいた。
「見てないから。声がしたから。傷になるといけないから医務室に」と言い訳を訥々とする。
彼女は恥ずかしそうに、両手に触れた。
ひんやりとした指先が可哀そうに思えて、包みこむ。
しばらく手を繋いでいると、二人の体温が溶け合ってちょうど良くなる。
「カイロ代わりにしちゃってゴメンね」と彼女は言った。
子供時代からこうして手を温めてきた。
あの頃と変わらない。
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