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「 140文字の物語 」
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誕生日に貰った贈り物は真っ赤な靴だった。
誂えたかのように、ぴったりとした履き心地だった。
喜んでお礼を言うと、送り主はどこか遠くを見るような顔をしていた。
その瞳に映しているのは私ではなく、他の誰かだと気がついた。
嬉しい気持ちはしぼんでしまった。
今日は誕生日なのに。
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年齢を重ねる度に涙腺が緩くなってしまうのが困った。
感動的な本を読むだけで、涙がポロポロと溢れてしまう。
映画を見てもそうだ。
ハンカチが一枚では足りない。
高級化粧品を使っているのに、これでは意味がない。
化粧崩れた顔ほどみっともないものはない。
だから映画館を避けがちだ
勇気を振り絞ってラブレターを書いた。
直接口に出すなんて出来なかった。
想っていることを知って欲しかった。
彼女の机の中に手紙を滑り込ませる。
登校してきた彼女は白い封筒を手に取る。
中身を見て僕の机までやってきた。
彼女は嬉しそうに、僕の指先を握り締める。
それが返事だった
人々は黎明の内から集まり始めた。
黒づくめの服を身に纏い、ハンカチを片手に。
まるでそれがドレスコードのように、みな黒い服に袖を通していた。
夜が明ける。
みなの面には涙が浮かんでいる。
朝の始まりなのに会場には悲しみばかりが存在していた。
英雄を見送る告別式の始まりだった
その洋館は景色に溶け込むように、ひっそりと建っていた。
私が子どもの頃から存在していた建物だが、古びてはいなかった。
白いお城はあこがれの場所だった。
大人たちは近づくなと静止したけれども、どんな人が住んでいるのか、興味は尽きなかった。
知りたい気持ちは大きくなっていく
外見から想像できないほど、室内は荒廃していた。
廊下はぎーっと音を立てて、沈み込む。
ちょっとでも重石をのせたら、穴が開きそうだった。
土足で畳の部屋に乗り込む。
ここだけは生活感があった。
柱にもたれかかりながらここでの生活を思い浮かべる。
小柄な女性が文机に向かっている
勇気を振り絞って、プロポーズした。
付き合って三年目の彼女は、頬を薔薇色に染めて頷いてくれた。
これからは一人じゃなく、二人で何でも決めていく。
未来は幸福に満ちている。
どんな苦しいことも悲しいことも耐えきれそうだった。
彼女がいる家に帰ってくるのだと思うとにやにやする
僕は見慣れた場所に戻ってきた。
「ご機嫌よう」と声をかけられるところまで同じだった。
僕はまた輪廻の輪に挟みこまれたのだ。
下界での行いは良くも悪くもなかった証拠に、また人間に転生するのだという。
何度目の世だろうか。
前世の記憶がないだけマシというものだろう。
目を瞑る。
-
君はいつでも独りぼっちでいようとする。
誰からも距離を取り、時間が流れるまま日常をこなしていく。
差し出された手を伏せがちな目で拒否する。
窓際の席に座って、静かに本を読んでいる。
いや、ただページをめくっているだけだ。
君の顔には喜怒哀楽が浮かぶことはない。
凪のようだ。
これで最後なんだと思った。
乗るはずの電車を何本も見送った。
ホームで二人きり座って、今まであったことを話していた。
積もり積もった話ももうおしまい。
話すことがなくなって、二人の間に沈黙が落ちる。
彼女が泣きそうになりながら、指を握り締めてきた。
応えるように握り返した。
神剣・神楽の白刃は太陽の光を浴びて、怪しく輝く。
少女は紙切れを持ち出した。
不審に思っていると、紙は神楽に吸い寄せられるように宙を舞い、真っ二つに斬れた。
少女はパチパチと拍手をする。
神楽を鞘に戻して、ヘアゴムを解く。
ここまでの切れ味を見せられると、決意が重くなる。
逃げ場はない。
守りたいものがあるから、自分自身で選んだ。
人の命が紙切れよりも軽い場所だ。
目の前で起こる生死のやりとりに思わず震える。
戦場に立つことが初めて怖いと思った。
鍛錬とは違うのだ。
無理矢理、両手に爪を立てる。
食い込む痛みで勇気を奮い起こす。
得物を手に走った
黄金色の日差しが窓から差しこまれていた。
廊下を歩くリズムも軽やかなものになる。
昼間と夕方の中間地点。
この時間がとても尊いもののような気がして、好きだ。
向こうから先生がゆったりとした歩調で歩いてきた。
目が会い会釈をした。
先生も微笑み顔だった。
黄金の時間は魔法だ。
横に座る少女の髪がさらさらと肩から流れる。
小柄な少女が神剣・神楽を持ってきた時は驚いた。
中途半端に伸びた髪をヘアゴムで縛る。
神楽の柄にふれる。
ビリビリとした振動が伝わってくる。
もう後戻りはできない。
少女と神楽を守ろうと決意する。
神楽の白刃を見ながら思った。
大会一か月前に怪我をした。
練習時間はリハビリの時間になった。
痛み止めを注射して大会には臨んだ。
これが最後の大会だったから、未練を残したくなかった。
スターターピストルが鳴る。
短いようで長い時間が経過する。
ゴールテープは別の選手が切った。
汗を拭い順位を見る。
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