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「 140文字の物語 」
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台所で皿洗いをしていた。
スポンジからシャボン玉ができる。
ふわふわと漂いしばらくして、パチンと弾ける。
この時間になっても連絡が来ない。
残業確定の可能性が濃厚だ。
一人でご飯を食べるのも味気ない。
お腹空きすぎて胃が鳴る前に帰ってきて欲しいと思う。
最後の皿を洗った。
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水槽の中では色鮮やかな熱帯魚が泳いでいる。
ビー玉が敷かれ、エキゾチックな藻が揺れている中で、魚は自由に泳ぐ。
それを見ていたら羨ましくなった。
水温がちょっと下がっただけで死んでしまう熱帯魚よりも、自分は構ってもらっていない。
いっそ人魚になってしまえばいいのだろうか
今日も一人ぼっちの歌手は魂から叫ぶ。
「ここにいるよ、ここだよ」路上で喉が切り裂けるかのように歌う。
群衆は素通りしていく。
少女が立ち止まった。
人の群れをかき分けて歌手の前に立つ。
瞳から涙をハラハラと零しながらやってくる。
歌手の想いが通じた。
出会えたことに喜びを。
どっぷりと日が暮れて、街灯だけの明かりでは心もとない暗闇が広がっている。
蛍光灯が寿命なのか、チカチカしている街灯もある。
遠慮がちに、指先をぎゅっと握られた。
ヒンヤリとした体温から震えが伝わってくる。
昔から暗がりが苦手だったな。と、過去を振り返り、手を握り返した。
この恋は初めての恋だから、大切にしたいの。
手を繋ぐのも、まだ慣れないの。
私に合わせて、ゆっくり恋の階段を登ってくれているのは分かるの。
でも、階段が急で、ときどき転びそうになるの。
だから、もっとゆっくりと階段を登って欲しいの。
わがままだけど解って欲しいの。
仕事中だというのに大きな欠伸をしてしまった。
きょろきょろと辺りを見渡す。みんな自分の仕事に熱心で、こちらには興味がないようだった。
気をつけなきゃなぁと思いながら、また欠伸が出そうになる。
ここ数日、寝不足が続いている。
買った本の結末が知りたくて睡眠が削られている。
ベッドに寝転びながら、左手の薬指を見やる。
そこにはダイヤモンドがあしらわれた繊細な指輪がはまっていた。
今日からの宝物だ。
すくなくともプラチナの指輪に変わるまでは一等大切な宝物になるだろう。
2時間前を思い浮かべると歯がゆい気持ちになる。
一生に一度の大ベントだった。
-
想い出になってしまうんだと気がついた。
このときめきも、この勇気も、全部が全部、彼の中ではほんの日常で。
記憶にすらなれずに、ただの平凡な一日になってしまうのだ。
何年かたって、こんなこともあったなぁと思いだされる想い出になってしまうんだと分かった。
涙が自然と零れた。
ふわふわな気持ち。
あの人のことを考えると、胸がドキドキする。
廊下ですれ違うだけで胸が高鳴る。
あの人のことを考えるだけで心が満たされる。
委員会の仕事で遅くなったからとたった一つキャンディを貰っただけの関係なのに、あの人が気になる。
今まで抱いたことのない気持ち。
朝の通勤通学ラッシュは半端じゃない。
まるで押しつぶされそうになる。
片足なんて宙を浮いている。
そんな中、堂々と、指先を握り締める。
はぐれると困るからという理由で、幼なじみの指先を握っている。
幼なじみも力強く握り返してくれる。
ラッシュの電車の中での唯一の安心だ。
「僕の可愛い小鳥さん」甘い囁き声が耳朶をくすぐる。
「さあ、今日も歌を唄っておくれ」口癖に誘われて、今日も私は歌う。
いつか歌えない日が来ることが不安だ。
いつでも小鳥のままでいたい。
歌えなくなったら捨てられてしまうかもしれない。
そんな日が来ることが心配で夜も眠れない
-
私が台所に立つのは、紅茶を淹れるときだけ。
コーヒー党の私が紅茶を淹れるのは、貴方のため。
ティーポットを温めながら、紅茶の缶に目線を移す。
どんな銘柄が良いだろう。
お菓子に合わせて、今日はアールグレイにしよう。
スプーンで缶の蓋を開けると、良い香りが台所に広がる。
-
君は今日も幸せ探しをしている。
現実は厳しいから君は今日も挫折する。
僕はその隣にいて、何もしてあげられないことを嘆く。
君の幸せはどこにもないことを教えることが出来ない僕は君の隣に居続ける。
それが贖罪になりますようにと心の中で祈りながら。
明日も幸せ探しは続くのだろう
離れ離れになるのが嫌で、わざと遠回りした帰り道。
繋いだ手から伝わる体温は優しくって離すのが嫌だった。
一歩ずつ別れの時間がやってくる。
他愛の話で隙間を埋めても、よりいっそう寂しくなる。
もっと一緒にいたいと思う。
もっと構って欲しいと思うのは贅沢なんだろうなと解ってる
トランクに荷物を詰めていく。
大きな荷物はもともと持たないから、トランク一つで足りてしまう。
ナイトテーブルに飾っていた写真を最後にしまう。
家族が集合している写真だ。
緊張した顔で写っている。
もう何年も会ってないが元気に暮らしているだろうか。
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