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「 140文字の物語 」
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背伸びをして買ったヒールの音が夜道に響く。
隣を並んで歩いてくれる人はいない。
心の隅にひんやりと孤独が忍び寄る。
私は肩を抱いて震えを押さえようとするものの震えは大きくなっていくばかりだ。
ヒールの音がうるさい。
早く家に帰って脱ぎ捨ててしまいたい。
家までが遠い。
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暖かな春の日差しに桜がホロホロと散っていた。
樹の下には日傘を差した少女が一人。
こちらに気がついたのか唇が笑う。
少年は美しすぎる光景が何度目か知っていた。
厄介ごとに巻き込まれる前兆だった。
もう嫌だ。
平穏無事な暮らしに憧れているのに桜の花弁と共に少女が近づいてくる。
渡り廊下を歩いていた。
窓から差し込む蜜色の光に眠気が湧きあがってくる。
中庭の一本杉の木陰で昼寝をしたら、最高だろうと、目をこする。
窓越しに見えた一本杉には白金色の頭髪の少年が昼寝をしていた。
学年一位様は余裕があるようだった。
一分一秒も無駄にできないと思った。
虹天竜の鱗の欠片を拝借。
それから雨雫の精霊の涙を一滴、分けてもらう。
それを大きな釜に慎重に入れる。
天球染物師になってから初挑戦のレシピだった。
くつくつと煮えて空の色が変化する。
計算通りに行けば、雨降り空の後に虹がかかる。
どうか綺麗に染まりますように、と空を仰ぐ。
昼のソファは白い光に包まれて、暖かかった。
お気に入りのクッションを抱えて、横たわる。
部屋の主が帰ってくるまで、自分の好きにする。
ラジオをかけて、怠惰な時間を過ごす。
部屋の主が見たら「だらしがない」と一喝されるだろう。
だから、見えないところで自由にする。
「どうだって?」顔色の優れない彼女に問うた。
病院の待合室はインフルエンザと花粉症の患者で混雑していた。
「様子を診ましょう、だって。この後、採血するから、まだもうちょっと時間がかかるみたい」と彼女は遠慮がちに、手のひらにしがみつく。
いつもより高い体温が不安を煽る。
真冬並みの寒さに見舞われた週末だった。
夜桜見物も終わり、酔客たちも帰るような時間だった。
一緒に花見をしていた親友が袖を引いた。
「もう少しだけ」と言った。
特に用事もなかったので暗い桜並木を並んで見上げた。
「僕、宇宙人なんだ。今日、母星に帰るんだ」突然の告白だった。
部屋の片隅で膝を抱いて、泣いていた。
どうしてこうなっちゃったんだろうと涙が次から次へと零れだす。
ただ解って欲しかっただけなのに、空回りしてしまった。
おはようとおやすみのメールがどれだけ大切なのか、伝えたかっただけなのに。
どうしてこんな流れになってしまったんだろう
空には黄金の月がかかっていた。
鞄を抱えていた男は、周囲を気にしながら、夜道を走っていた。
状況は緊迫していた。
一刻の猶予もない。
男は念じながら、ただひたすら走っていた。
目に見えないゴールを目指して。
夜のしじまを切り裂いたのは鞄の中の赤子の鳴き声だった。
鞄を強く抱く
彼は良く言えば『のんびり』。
悪く言えば『優柔不断』。
いつでも、どうでもいいことで迷っている。
そんな様子に私はイライラする。
彼氏彼女の関係だというのが不思議なぐらいだ。
今日もカフェに入ってから、メニュー表を30分は眺めていた。
それで頼んだのがブレンドコーヒー。
望遠鏡で星空を眺めていた。
双眼鏡では見つけられなかった星たちもくっきりと見える。
いつまでも眺めていたい光景だった。
ふいに女性の悲鳴が聞こえた。
背後で女性が男性に乱暴されそうになっていた。
買ってもらったばかりの望遠鏡の存在が僕を狼狽させる。
迷って通報することにした
夕陽に銅像が映える。
この国を救った英雄の銅像だ。
小さい頃から憧れていた。
いつか英雄になりたいと思っていた。
本当はそんな日がやって来ない方が幸福だと知らなかった。
増える記憶の中、たった一コマ出来事だ。
英雄にしか持てない剣に触れることが出来た。
英雄に選ばれたのだ。
学校の屋上はいつも貸切だった。
そう、貸切だった。
過去形だ。
一人ぼっちの昼休みに乱入者が現れた。
「友達いないの?」乱入者は唐突に訊ねた。
「いるけど。今日は休みなんだ」と俺は嘘をつき、微笑む。
「私が友達になってあげるよ!」にこやかに乱入者は言った。
踏んだり蹴ったりだ
天気予報通りに雨が降った。
ただその雨は予測よりも強く、外出には不向きだった。
デートコースは変更を余儀なくされた。
彼の家でお家デートになったところまでは許せる。
しかし、肝心の彼がゲームにハマって、こちらを無視しているのは許せない。
そっと、両手のひらを指先でつつく。
自動販売機にお金を入れる。
ミネラルウォーターを購入する。
安心して飲める水をゲットできたことで、張りつめていた気が抜ける。
目が潤みだして、泣きそうだった。
キャップを開け、貴重な水を一口含む。
何時間ぶりだろうか。
口の中でミネラルウォーター特有の甘さが広がる。
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