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「 140文字の物語 」
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酔いが回ったようだ。
気がつけば、日はとっぷりと暮れていた。
本を目の前にすると、いつもこうだ。
時間を忘れて読みふけってしまう。
首を傾けるとポキッと乾いた音がした。
読みかけの本だけ、書斎から持ち出す。
まだしばらく本で酔いたい。
結末が気になる。
胃がきゅるると鳴った。
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シャツをついっと引っ張られた。
振り返ると潤んだ瞳と出会う。
「置いていかないで」と少女は言った。
少し早足だったようだ。
「ごめん」と謝った。
こくんと少女は頷いた。
その仕草が愛おしくしくて、少女を抱きしめる。
抵抗なく、小さな体は腕の中に納まる。
雛鳥のように温かかった。
今日、高校の制服が届いた。
中学校まで着ていた制服は、クローゼットの中だ。
新しい制服は少しだけお姉さんになった気分に浸らせてくれる。
鏡の前で制服を当ててみる。
まだちょっと似合わない。
クローゼットの制服の方が似合っている。
三年間、着ていた制服だ。
当然かもしれない。
黄金色の月が支配する。
緊張して喉が渇く。
月光に照らされた剣は、少年を待っているようだった。
台座に突き刺された形で安置されている剣に近づく。
少年は剣の柄に触れると、眉をひそめた。
「痛っ!」少年は思わず声を出した。
痛がりながらも少年は剣を引き抜く作業を止めなかった。
-
君が君でなくなったら、君の影を愛するよ。
僕が僕でなくなったら、燃やして灰にして風に流してくれないか。
君に愛されない僕は無価値だから、暖炉にくべてしまって。
僕は最期の時に君に自由をあげるから、代わりに涙の一粒が欲しいかな。
その時にならないと分からないけれども。
「市販の薬じゃ効かないほど、我慢をしたのかなぁ?」
満面の笑みを浮かべながら、彼女は腕を折れんばかりに握ってきた。
39度の高熱を出し、家で倒れこんでいた俺を病院まで連れてきてくれたのはありがたかったが、小言が続くのは勘弁だったが、言い訳などできる状態ではなかった。
神剣・神楽を押し付けてきた少女が真剣な目で言った。
「約束してください。決して神楽から逃げない、と」
巻き込んでおいて約束までさせるのか、と少々呆れた。
決意はとうにできている。
中途半端な長さの髪をヘアゴムで結ぶ。
「約束する」神剣・神楽を抜刀する。
「死ぬまで離さない」
彼の人生は決して不幸ではなかった。
いつでも宝物と一緒に歩いていたのだから。
手を繋ぎ、同じ方向を向いて、同じ歩調で歩いてくれる彼女がいたのだから。
二人はいつでも二人だった。
悲しい時も、苦しい時も、嬉しい時も、喜ばしい時も。
彼は彼女という宝物と生涯、連れ添った。
グラスに無差別に酒を入れていく。
酔えればいい。
味覚はとうに失われた。
アルコールであればいい。
早く泥沼のような眠りが来ればいい、と願う。
けれども神様は無常だ。
いくら酒を飲んでもしびれるような酔いがやってこない。
意識が冴え渡るばかりだ。
そして、新しいボトルを開けた。
駅のホームで何本も電車を見送った。
こんなに離れがたいのに別れなければならない。
言葉もなく、二人揃って項垂れていた。
次の一言が別れの言葉になると解っていたからだ。
電車がまた発車した。
レールを走る音を聞きながら、意志を力強く、自分の手のひらを軽く握る。
「さようなら」
テストの返却日だった。
ケアレスミスをして2点マイナスされていた。
数日前に自信を持って書いた文字は消えない。
白金色の頭髪の少年は満点の答案を興味なさげに受け取っていた。
今回のテストもまた負けた。
どうやれば少年を追い抜くことが出来るのだろうか。
手元の答案を握りしめる
少女は息を弾ませて、部屋の中に入ってきた。
その腕には満開の薔薇の花。
少女はナイトテーブルの上に載った花瓶に手早く活ける。
部屋の主はゆるゆると目を開けた。
朝露の乗った薔薇の花弁に遠い目をする。
「もう咲く季節になったか」と小さく呟く。
主は白い細い指先で花弁をなぞる。
あるところに、きれいな城がありました。
山の上に建っている城は妖精が住んでいると、麓の村ではそう言われていました。
長老たちが物心つく前からその城はありました。
城を目指して歩いても、決して辿り着けません。
そんな不思議な城の部屋には一人の少女がいることも内緒なのです。
もっとお喋りしていたいのに、ベッドに入ると瞼が重くなってきた。
今日あったことを必死に喋る。
でも、どんどん舌が回らなくなってくる。
視界が狭くなる。
彼は優しく、指を触れ合わせる。
温かい手に触れられて眠りに絡め取られていく。
額に優しい感触がして「おやすみ」と撫でられた
黒い体毛のねこを抱えて、夕方の街を歩いていた。
視線を感じて振り返ると、ばつ悪そうに立ち去る人々。
好奇心全開の子供もいた。
この街は超能力者に冷たい。
石を投げられないだけマシだとは知っていたけれども辛い。
ねこの背を撫でる。
「今日の晩ご飯は何だろうね」と独り言を呟く。
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