系統樹の先にある枝のように、僕の心は辿り着いた。
修正は利かない。
僕の心は君を一心に追い続ける。
始まりはドラマティックではないけれども、僕の鼓動はドラムマーチのように響いたんだ。
僕の想いを伝えたら、君はどう思うだろう。
僕の視線は今日も君を抱きしめる。
PR
彼女の部屋に招待されたのは、今日が初めてだった。
緊張しながら、部屋に上がった。
綺麗に片付いた部屋は几帳面な彼女にそっくりだった。
「お茶、持ってくるね」と彼女はドアをわずかな隙間を開けて出ていった。
わずかな隙間に気になっていると、するりと黒猫が入ってきた。
ショーウィンドーに貼りついていたのは過去のことだ。
女の子が好きそうな雑貨がたくさん売っているお店だった。
店内に入ると、視線が一斉に集まってきて居心地が悪かった。
それを無視して、お目当ての物を手に取る。
兎の絵柄が可愛いマグカップだ。
手元を見る。
ぴったりの金額だ。
合鍵でドアを開けた。
部屋の主は仕事中だろう。
それとも帰路についたころだろうか。
彼女にとってはどちらでもいいことだった。
スーパー袋から菜の花を出す。
寸胴を火にかける。
今日は菜の花のペペロンチーノだ。
彼が帰ってくるまでのしばしの留守番を楽しみながら、晩御飯を作る。
気がつくのは、すべてが終わった後からだった。
誰よりも寂しがり屋なあなたの強がりに気づかずに、旅立った。
独りぼっちになったあなたが枕を濡らしていたなんて知らなかった。
気づかずに帰ってきた私を笑顔で迎えてくれた。
だから、毎日笑顔でいられたのだろう、と思いこんでいた。
夕暮れ時の帰り道。
わざと遠回りして帰る。
ちょっとでも一緒にいたくて。
長く伸びる影を踏みながら並んで帰る。
時間は過ぎていく。
今日も家についてしまった。
「ありがとう」と別れの言葉を言う。
胸は寂しさでいっぱいだった。
彼が無理矢理、指を両手で包んだ。
心臓がドキッと跳ねた
彼はいつでも煙草の香りを纏っていた。
私には纏えない香りだった。
また煙草ケースからトントンと軽く叩いて煙草を一本取り出す。
ライターで火をつける。
紫煙がくゆる。
彼と同じ香りが纏いたくて、煙草に近づく。
「危ないぞ」と煙草を持つ右手が遠くなる。
でも名残りの香りがついた。
朝の音楽室は貸切。
グランドピアノを自由に演奏できる。
けれども今日はお客さんがいる。
細い指先が緩慢にメロディを奏でていた。
音楽になっていく。
私は楽譜を抱えたままその美しい光景を見つめていた。
お客さんは気がついて「一緒に弾く?」と訊ねた。
頷くと、私の楽譜を手に取る。
喧嘩をして三日。
見事に口もきいていない。
廊下ですれ違っても無視した。
このまま別れるのだろうか。
それほど深刻な状態だった。
仲の良い友人は喧嘩は男の方から折れたほうが上手くいくとアドバイスをしてくる。
悪くないのに謝るのは癪にさわったが、遠慮がちに、両手のひらを握る。
菜種梅雨で肌寒かった。
薄着で来たことを後悔していた。
時計は長針と短針が重なる頃だった。
カタカタと震えながら、呼び出した相手を待つ。
呼び出した方が先に来ているべきだろうと思った。
なんで、自分ばかりが損をしているのだろうか。
相談したいことがある、というのも厄介だ。
部屋の椅子に膝を抱えて座っていた。
勉強机の上には何枚かの写真。
中心に映っているのは、みな同じ。
背の高い男子生徒だ。
それを見ると、涙が零れてくる。
こんなにも愛していたんだと気づかされる。
今日、別れたばかりの彼氏の写真だった。
リセットしたい。
涙を拭くために立ちあがる
緑が輝く季節になった。
日も長くなって、夏の準備を始めていた。
時計を見ると、ちょうどいい時間だった。
デジカメを片手に、外に出る。
今日は満月。
それを写真に収めるために三脚も用意した。
星もまばらな空は晴れと呼ぶには雲が多い。
あまり条件は良くないけれど、試してみたかった
運命は流転する。
かつて奴隷だった少年が英雄になるように。
支配者だった少女が売られるように。
移り行く世界で少年は少女を花嫁として迎えいれた。
少年は正当性を手に入れたのだった。
「愛してくれる?」と怯えながら少女は少年に訊ねた。
少年は少女の髪を梳いて、口づけを落とした
青空に浮かぶ白い月のように、君は笑う。
どこか儚げで、消えてしまいそうだった。
欠けた月のように、足りない物を探している君。
僕は見ていることだけしかできなかった。
君は一人で傷ついて、痛みを抱えて、それでも歩き出す。
あの青空に浮かぶ白い月のように、儚い存在なのに。
一日の気温差についていけず、風邪をひいた。
毎年の恒例行事になりつつある。
せっかくのゴールデンウィークは眠って終わりだと思うと、少し、いやかなり勿体ないことをしたと思う。
熱で朦朧としながら、そんなことを考えていたら、扉が開いた。
幼なじみが優しく、両手のひらに触れる