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「 140文字の物語 」
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突然、斬りつけられた。
鮮血が舞う。
痺れるような感覚がした後、痛みがやってきた。
懐に仕舞った硝子細工は血塗られてしまっただろうか。
「今だ」という声がして、二撃目が襲い掛かってくる。
それを避けながら、背を向けて走り出す。
戦場に長居は禁物だ。
硝子細工を届けなければ。
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一面の銀世界に心、奪われた。
平野部で雪が降るのは珍しい。
それも雪かきが必要なほど積雪するのは、とても珍しいことだった。
彼女も童心に帰ったようではしゃぎながら外に出ていった。
「転ぶなよ」と言った端から転んだ。
手を差し出すと恥ずかしそうに、彼女は指先にしがみつく。
白金色の頭髪を持つ少年はライバルだった。
あちらは何とも思っていないことも知っている。
彼にとってテストの点数はどうでもいいことなのも知っている。
けれども私は彼を抜くことばかり考えていた。
どうしても勝ちたいのだ。
テスト勉強をしながら、深くためいきをついた。
いつもの通学路。
犬の散歩をしているお兄さんとすれ違って、挨拶するのが日課になっていた。
今日も同じ道を歩く。
挨拶する地点になってもお兄さんは来なかった。
今日はどうしたんだろうと思っていると、お兄さんがとぼとぼと独りで歩いてきた。
心の中で、泣いていたのを見逃した。
夕方の廊下は二人きりの貸切だった。
窓ガラスから強いオレンジ色の光線が入ってきて、世界を染める。
彼の指先が前髪をくぐり額をなぞる。
自分とは違う体温にくすぐったくなって身をよじる。
指先は傷跡を探し当てた。
彼は、うっすらと残った傷跡をすまなそうに撫でる。
心臓が高鳴る。
彼は城下町に降り立った。賑やかな市を眺める。
その顔には微笑みらしきものが浮かんだ。
「ようやく」と彼は呟く。
それを聞いた者はいなかったが、彼の喜びあふれる雰囲気に道行く人々も自然と笑顔になった。
長い戦乱が終わり、大陸は一つになった。
これからは平和な時代が続くのだ。
幼なじみが軽々しく、指先に触れてきた。
「おはよう」と笑う。
指先はしゅるりと俺の手のひらに収まる。
「おはよう」と返事を返した。
手を繋いだまま学校への坂道を登る。
今年はクラスまで一緒だから、教室に入るまで手は繋いだままだ。
特別とは思わない。
挨拶みたいなものだった。
久しぶりの青天に洗濯したてのシーツが揺れる。
今日は夏日になるらしい。
少々と強めの風を受けて、伸びをする。
肺いっぱいまで空気を吸い込むと若葉の香りがした。
青空を見上げる。
雲がちぎれて流れていくのが見えた。
初夏らしい一日になりそうだった。
洗濯物も乾くだろう。
広い公園だというのに、すれ違ってしまった。
テニス部の部長が新しい彼女連れでやってきていた。
あちらからは死角になる位置のベンチで仲睦まじそうだった。
幼なじみが嬉しそうに、腕を折れんばかりに握る。
難儀な性格だなと思う。
表情と心情が真逆だ。
本当は悔しいはずだ。
ケーキやタルトが並ぶショーケースにへばりつくように見ていた。
どのケーキも美味しそうだった。
この中から一つを選ぶなんて難しいことだった。
ようやくオレンジのタルトに決めた。
店員さんに声をかけようとした瞬間、会社員風の男性がオレンジのタルトを注文した。
一瞬の差だった。
日付が変わって、彼がゴミ袋を捨てに来た。
気がつかれないように電信柱の陰にひそむ。
彼はそのまま家に帰っていく。
足音が聞こえなくなるまでじっと待つ。
周囲を見渡す。
誰もいない。
私はゴミ袋を持ち帰る。
家で宝物を広げるようにゴミ袋の中身を広げる。
彼の生活がここにはある。
待ち人は早朝の坂道を自転車で登ってくる。
紅茶を淹れて、彼を待つ。
待ち人は今日もたくさんの手紙を詰まった鞄を背負ってやってきた。
「はい、今日の分だよ」と郵便配達員は手紙の束を渡す。
「ありがとう。どうぞお茶を飲んでいって」紅茶を勧める。
彼は困ったような顔をする。
電車の中で、らしくもなくはしゃいだ。
彼女も嬉しそうに、両手のひらを握ってきた。
できた輪っかの中には幸福が詰まっている。
小さな彼女の手を包み込むように握り返す。
ちょっと体温が低めの彼女の小さな手をいつまでも握っていられればいいのにと思った。
目的地まで手を繋いでいた
クラス中、話題になっている映画がある。
二度目を見に行ったクラスメイトも多い。
それだけ噂になっている映画もお小遣いが少ない自分は見に行けない。
夕方、石を蹴りながら歩いていたら友達が追いかけてきた。
「映画、一緒に見に行かない?」と言った。
友達が天使に見えた。
ひととき肌を重ねているのは快感だ。
二人が一つになったような気がする。
いつまでも快感の海に漂っていたいと思う。
けれども頂点を突き抜けると、途端に味気ないものになる。
どれだけ肌を重ねても、一つにはなれないと思い知らされる。
もっともっと一緒になりたいと腹の底から思う。
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