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「 140文字の物語 」
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いきなり頭を抱き寄せられた。
私とは違う厚い胸板の感触に驚く。
学年カラーのブルーのネクタイと真っ白なシャツが目に入る。
「誰も見てないから、泣いとけ」と少年は言った。
どこかぶっきらぼうな口調にらしさを感じた。
涙を流すわけにはいかない。
「ありがとう」と言って肩を押す。
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一縷の望みをかけて国が運営している情報サイトを開いた。
待っていたのは絶望だけだった。
国は私たちを救ってはくれない。
それを叩きつけられた。
自分のことは自分でするしかない。
絶望の淵から引き揚げてくれたのは我が子の無垢な笑みだった。
この子のために私たちは頑張れる。
廊下で笑顔のアイツとすれ違った。
彼氏と仲睦まじそうだった。
俺には見せない笑顔を見てしまったことが衝撃だった。
当たり前のことが、今更胸を痛めつける。
俺はさりげなく、自分の両手をぎゅっと握る。
そうしなければ振り返って、へらへら笑う彼氏の顔をぶん殴りそうだったから。
枝毛が増えた。
ある程度、髪を伸ばせば仕方がないとはいえ、触り心地の悪い髪に溜息をついた。
美容院でお勧めされたしっとりタイプのヘアパックを買った。
少しは変わるだろうか。
タオルドライした後、ヘアパックを塗ってみる。
それからドライヤーで乾かした。
指通りを確かめる。
学院時代に思いを馳せる。
いつまでも友でいようと誓い合った仲間たち。
現実はどうだ。
敵と味方に別れて、戦いを続けている。
故郷のために手に武器を取り、かつて友と呼んだ人物を斬りつける。
目に宿るのはやりきれない光。
剣を手放す道を選んだ。
弱虫だと罵られても良かった。
アクセルを踏みっぱなしだった。
速度がどんどん上がっていくのが快楽だった。
雨が降り始めたため、窓にストライプ模様の水滴が貼りつく。
信号は黄色だった。
いつもだったら止まるけれども、アクセルをより踏み込んだ。
赤に変わる瞬間に横断歩道を通り抜けた。
今日の私は自由だ。
起きたら夜だった。
手探りで眼鏡を探す。
大きな手が眼鏡を渡してくれた。
眼鏡をかけ、大きな手の正体を見る。
従弟だった。
「覚えてる?」と確認された。
まったく記憶には残っていなかった。
どうやら押しかけたようだった。
客間に戻ろうとして鍵がかかっていたことに気がつく。
天気が良かったので公園デートをすることになった。
日差しが強かったので、木陰のベンチに並んで座った。
噴水からほとばしる水の流れが涼しげで気持ち良かった。
二人は穏やかに景色を眺めていた。
ぎこちなく、彼女が指先で指先をつついてきた。
ひんやりとした彼女の手を握り返した。
白金色の頭髪の少年は、廊下に貼り出された紙を見上げる。
自分の名前から順位は始まっていた。
いつも通りの結果だった。
入学してから一位以外を取ったことがなかった。
これから先も同じ結果が待っていることを想像するのは簡単だった。
二番目に名前が書かれた少女に睨まれた。
花がついた枝を手折る。
それを通い慣れはじめた部屋の扉の前に置く。
部屋の主は故郷を思って泣いていると聞く。
少しでも気がまぎれればと思って始めたことだった。
急に故郷から引き離されて、巫女姫と担ぎ上げられれば、途惑うのは当然なことだろう。
笑顔が見たいと祈るように思った
新緑が眩しい季節だった。
長年お世話になった施設から巣立つ季節だった。
涙腺が緩む。
これから薔薇色の人生が待っていようとも、この別れは哀しい。
お世話になった人たちともお別れだ。
泣き虫な私は門をくぐることが出来ない。
涙をぼたぼたと零しながら、見送る人たちの顔を見る。
今は廃棄された船たちが立ち並ぶ。
それは偉大な墓標だった。
宇宙に浮かぶそれらは今もなお響き合っていた。
静かな空間に星の如く明滅をくりかえすライト達。
まだ船たちは生きているのだ。
出ておいでと囁くと、船たちは色めきだった。
一隻一隻、船隊を組んで宇宙空間を飛び始めた。
帰り道の途中に、彼女の家がある。
小学校から一緒に帰った帰り道だ。
送るのが当然になっていた。
彼氏彼女の関係になってもそれは変わらない。
「それじゃあ、また明日」と変わらない言葉で別れを告げると、彼女は恥ずかしそうに、両手のひらを指先でつついた。
「明日は手を繋いでね」
そろそろ眠ろうと思っていたところで携帯電話が鳴った。
液晶画面を見ると友達の名前が表示されていた。
天使のように優しい友達がこんな時間に電話してくるのは珍しい。
「もしもし」と出ると、友達の声は暗く沈んだものだった。
一瞬で眠気が飛んだ。
電話は切ってはいけないと思った。
朝日の気配を感じて、カーテンを開く。
窓を開ければ朝特有の涼しい風が室内を旋回する。
太陽が昇ってくるのが見えた。
今日は一年に一度の誕生日。
今から学校に行くのが楽しみで仕方がない。
手作りクッキー、それともお洒落なハンカチ。
いったい何がプレゼントされるのだろうか。
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