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「 140文字の物語 」
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些細なことで言い合いになった。
彼女は無言でジュースを飲んでいる。
どちらにも悪いところがあったから喧嘩になった。
だんまりをきめこまれると困った。
手の施しようがない。
彼女が目を逸らしつつ、俺の両手の指先をなぞる。
仲直りをしたかった俺は、彼女の手を握り返した。
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白金色の頭髪の少年は、廊下に貼り出されたテスト結果をぼんやりと眺めていた。
自分の名前から始まるテスト結果に、少女が落胆しているだろうかと思った。
踵を返すと、少女とすれ違った。
少女は少年を睨んだ。
たぶん一生、仲良くできないのだろう。
それが残念で仕方がない。
生命の配達人は嵐の晩もお届け先に向かう。
365日、生まれては消えていく生命を届ける役割に誇りを持っているからだ。
配達人は手元を見る。
鞄の中には小さく揺れる生命があった。
嵐の晩だというのに、その生命力は盛んだった。
配達人は頷き、お届け先へと向かうのだった。
風が囁く。
嵐が来ると、雲が告げる。
早く帰らなきゃと足を速く動かす。
雨雲よりも早く、家につかなきゃ。
太陽は姿をとっくに消していた。
今は薄暗い空気の中を走っている。
洗濯物が濡れる前に、取り込まなきゃいけない。
お母さんから任された役目だから果たさなきゃ。
全力疾走する。
「これはハートが美しい人にしか嵌められない指輪なんだ」と差し出された。
私の誕生石をあしらわれたシンプルなデザインの指輪だった。
指輪を受け取ると恐る恐る左手の薬指に慎重に通す。
指輪はピッタリなサイズだった。
プロポーズに「美しい?」と指輪を見せるように手を差し出した
唇を掠め取られた。
微かに触れるだけの口づけだったが、柔らかな感触が残った。
下唇を人差し指でなぞる。
「嫌だった?」と彼に問われ、思い切り首を横に振った。
むしろ逆だったから返答に困った。
「もう一度してもいい?」彼の問いに首肯した。
瞼を閉じ、唇が重なり合う瞬間を待った
大切に守ってきたファーストキスを奪われた。
不幸にもクラス一のチャラ男に口唇を掠め取られたのだ。
涙ながらに睨みつける。
「もしかして初めて?ラッキー」とチャラ男はへらへらと笑う。
私はチャラ男の足を踏みつけ、水飲み場まで走った。
口唇を洗う。
元通りにならないと解っても。
群青色の空が恋しいと背中の翼が訴える。
天使症候群にとうとう罹ってしまった。
先に症候群にかかっていた恋人が「やぁ」と空から迎えに来た。
そっと抱き寄せられる。
何日ぶりの再会だろう。
背中に翼が生えて良かったと思った。
これで彼と一緒だ。
もう別れて暮らさなくてすむのだ。
シャボン玉、どちらが遠くまで飛ばせるか勝負した。
球体は空気をたっぷりと含み、空へと飛んでいく。
屋根の辺りでパチリッと弾けてしまう。
今度こそと慎重に空気を入れる。
杯に入ったシャボン液もあとわずかだ。
幼なじみの方が上手にシャボン玉を飛ばす。
空を仰ぐ
空調が利きすぎたスーパーは寒かった。
ざわざわっと鳥肌が立つ。
カートに買い物カゴを載せる。がらがらと引いていると、遠慮がちに、彼女が手のひらを握ってきた。
冷たい指先にドキリっとした。
温かさが伝わればいいのに、と思いながら力強く握り返した。
晩ご飯を考えながら歩く。
時刻は夕方。
仄かに暗い。
「行くのですか?」小柄な少女が問うた。
中途半端な髪をヘアゴムで結ぶ。
神剣・神楽を手にする。
「ここで待っていていい」俺は言った。
「嫌です。連れて行ってください!この前みたいに大怪我をするかもしれません」と少女は食い下がる。
「一人でやる」
突然の雨に狼狽する。
どこか雨宿りできるところはないだろうか。
この辺の地理に疎い俺は辺りをキョロキョロした。
ツンと袖を引かれた。
見ると傘を差した小柄な少女がはにかんだ顔で「お兄さん相合傘はどうですか?」と訊いてきた。
「駅まで一緒に行きませんか?」という誘いに乗った
早朝の劇場で場面ごとの練習をしていた。
真冬の設定の台本だから、舞台の上では汗だくでみな演じている。
照明が当たっている今、40℃を超す熱気だった。
その中、役になりきって泣きじゃくる。
演出が手を叩く。
「ストーップ!初めからやり直して」と厳しい言葉が響く。
汗が流れる。
痛みで目が覚めた。
むしろ眠っていたことに気がつかされた。
ソファに座ってDVDを見ていたはずだった。
隣を恐る恐るうかがうと、怒り顔で、俺の手のひらに爪を立てている彼女がいた。
「ごめん」俺は謝った。
「気持ち良さそうに眠らないでよ」と彼女は言った。
俺は頭を下げた。
メールが返ってこない。
電話しても電話に出ない。
もう昼だというのに、寝ているのだろうか。
久しぶりの休みだとこの前言っていたから、疲れて爆睡しているのかもしれない。
鳴らない携帯電話の液晶画面を見ながら溜息を一つ。
夕方になっても返事が来ないようなら、家に押しかけよう。
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