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「 140文字の物語 」
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かつて音楽は温もりと共にあった。
今や絶望を呼び起こすものになってしまった。
今日も鍵盤の前に座っているだけだった。
一音も奏でられない。
試しに白鍵の上に指を滑らす。楽譜通りの音がした。
だが二音目は指が固まって動かなかった。
課題曲の楽譜を切り裂く。
弾けないのだから。
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朝の部屋は意外にも静かだった。
テーブルに着くと、スープが出された。
スプーンでぐるぐるとかき混ぜていると「食べないのか?」作った主が言った。
私は彼を見上げる。
彼の片手にもスープがあった。
向かい側に彼は座る。
私はまだスープをかき混ぜていた。
食欲はないけれども口に運ぶ
彼は人気者だからいつでも人に囲まれている。
話も面白いし相談にもきちんと乗ってくれる。
困ったことがあればさりげなく助けてくれる。
人気が出ない方がおかしいとわかっているけれども、面白くない。
私は堂々と、彼の指先を軽く握る。
彼は微笑んで握り返してくれた。
溜息が零れる。
寝室のふすまを静かに開ける。
少女はぐっすりと眠っているようだった。
静かにふすまを閉じる。
中途半端な長さの髪をヘアゴムで結ぶと、神剣・神楽を手にした。
音をたてないように家を出る。
いつの間にか少女が大切になっていた。
泣かせないために一人で同胞【敵】に立ち向かう。
「連れていって」と言ったけれど返事は「無理」と言う血も涙もないものだった。
賢い少年には少女を連れて逃げるなどできない、とわかっていた。
これは必然だった。
少女は少年を憎む。
自分は牢獄から出ることの出来ない身の上だというのに、少年は外に出ることが出来る。
これは永遠の別れじゃない。
再び会うための別れだ。
僕たちはまだ子どもで、大人の事情を乗り越えられるほど大きくもない。
いつも一緒に遊んでいた公園が別れの場所だった。
君がさりげなく、腕に触れる。
温かな手は、まるで引き止めるように掴む。
僕はその手を掴み、優しく撫でた。
約束の時間になっても彼の姿が見えない。
いつも時間通りに来る彼だから、気持ちが急く。
携帯に電話してみようか。
大げさすぎる。
携帯で電車の遅延が出てないか確かめる。
彼の路線では遅延はないようだ。
メールを打ってみようか。
ドキドキが加速して、最低の連想までしてしまう。
「桜でも見に行くか?」と中途半端に伸びた髪をかきながら言った。
少女の瞳が輝いた。
「行きます!」
桜並木を二人、並んで歩いてみた。
「もっと早く来れば満開だったんだけどな」
「散り際も綺麗です」と少女は言った。
神剣・神楽は家で留守番だ。
平和な一日があってもいいだろう。
仕事の疲れで、起きたらデートの約束の時間だった。
慌てて連絡をして、謝り倒した。
それから用意して、彼女と出会ったのは2時間後だった。
怒る彼女に、謝り続けた。
彼女が手を差し出した。
俺は仕方なく、指先に指を絡める。
手を繋ぐのは恥ずかしかったが、この場合しょうがない。
悪酔いしている自覚はあった。
普段であったら絶対こぼさない愚痴があっさりと出てきた。
今の仕事に大きな不満はない。
人間関係もほどほどに良好だし、お給料も貰っている方だと思う。
それでも働いていれば愚痴の一つや二つ出てくる。
職場の人間の前では言わないようにしていたのに。
拳ほどの大きさの水晶を前に少年は固まっていた。
石が声を記憶して、特定の条件で再生される技術が発展してから、文通は紙ではなく鉱物を使ったものになった。
伝えたい気持ちが大きくなりすぎて何を伝えればいいのか分からなくなってしまったのだ。
少年はようやく口を開いた。
西に住む少女はきれいな魔法を使うという。
それを聞いた東の魔法使いは、是非とも会ってみたいと思った。
少女のステッキからはどれほど見ごたえのある魔法が繰り出されるのか、知りたくなったのだ。
しばらく留守にするという書置きを置いて、少年は西に向かったのだった。
彼は郵便局員だ。
お届け物があれば、どこにだって向かう。
それが真っ暗闇の谷であろうとも。
諦めないで小包を届けに走る。
彼はカンテラの小さな明かりを共に、真っ暗闇の谷に足を踏み込んだ。
生き物たちの息遣いが不気味に木霊する。
お届け物の番地に着き、ノッカーを叩く。
彼女と小旅行に来ていた。
電車の終点駅で降りて、見知らぬ街を散策するだけの日帰り旅行だ。
普段、降りない駅で降りるというだけで刺激的だった。
駅前で観光マップを貰うと小さな冒険の始まりだ。
彼女が目を逸らしつつ、指にしがみついてきた。
彼女は人見知りだということを思いだす
今日のお天気は曇天。
ジメジメと暑い。
肌を撫でていった風も生温く、汗を噴きださせる。
駅から家までの距離がいやに長く感じる。
家に帰ったら、まずはシャワーだなと思った。
カラカラになった喉を唾液が流れていった。
皮膚に貼りつくシャツの感触も気持ち悪さを増加させている。
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