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「 140文字の物語 」
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「ね、一生のお願いだから」と何度目かの一生のお願いをされてしまった。
少女は少年の手を取って懸命に言う。
少年はいつも通りの微笑みを浮かべていたが内心は困っていた。
少女のお願いにめっぽう弱いのだ。
頼りにされると頷いてしまう。
今日も無理難題を引き受けてしまいそうだった
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銀縁眼鏡をかけた青年は、端末の隅に刻まれている時間を見た。
いつの間にか夜と呼ばれる時間になっていた。
書きかけのレポートを一時保存して、窓辺から外を見る。
遠くまで来たものだ、と思った。
生まれた場所から離れて、ここまで来た道は数奇と呼んでもおかしくはないだろう。
犬も自由に走り回れる大きめの公園にやってきた。
木陰のベンチで彼女が水筒を開ける。
お茶を並々に注いで、渡してくれた。
暑い日差しの中にいたから心休まる味がした。
彼女が恐る恐る、俺の両手のひらにしがみつく。
見れば彼女の足元にはゴールデンレトリバーがいた。
犬が怖いのか。
唇を掠め取られた。
クラスメイトの顔が近くにあった。
さっきまで馬鹿話をしていた間柄だった。
それがいつの間にか、顔が近づいてきてキスされたのだ。
「俺と付き合わない?」クラスメイトが言った。
それに頷いてしまった。
それが不思議で仕方がない。
キスには魔法がこもっている。
木陰でお弁当を開いた。
おむすびに卵焼き、ほうれん草の胡麻和え、ひじきの煮物、唐揚げ、デザートにミカンまで入っていた。
「いただきます」と箸を手に取った。
食べなれた味が美味しい。
よく噛んで食べなくちゃと思い、一口ずつ大切に食べる。
母に感謝しながらお弁当は空になった。
「顔も見たくない!」彼女がヒステリックな声を上げた。
そして自分の部屋に走って行った。
俺は時間が解決すると思って、そっとして置いた。
リビングで録画していたドラマを見る。
一通り見終わった頃、階段を下りてくる音がした。
遠慮がちに、彼女は指先を触れ合わせる。
「ゴメンね」
夜更けに少女は目覚めた。
また置いていかれたのではないか、そんな心配が胸を過った。
布団から起きる。
家の中は静かだった。
青年の部屋をそっと覗く。
青年は眠っているようだった。
胸に耳を当てて鼓動を確認する。
規則正しい音に安心する。
枕元には神剣・神楽が置かれていた。
置いていったことが衝撃過ぎたようだ。
今日も堂々巡りの会話が繰り広げる。
神剣・神楽を置いて、ちょっと買い物に出かけるのですら、小さな足跡はついてきた。
もっとばれないようにしなくてはいけないなと目を瞑りながら考えた。
溜息が一つ。
起こってしまったことは仕方がない。
真新しい衣に包まれて、見た赤とんぼ。
背負われて見たのはいつの日か。
忘れてしまうぐらい昔のことだ。
背負ってくれた子守りの姉やの顔も霞がかっている。
今、自分の子を背負って見ている赤とんぼ。
思い出が叫ぶ。
忘れてはいけないことがあると。
昔のことだと思ってはいけないと。
彼女は満面の笑みを浮かべながら、両手にしがみつく。
それを引きずるようにして俺は歩く。
せっかくのデートだというのに、彼女は歩きたくないという風にしがみついてくる。
満面の笑みは完璧だったが、手が震えている。
そんなに絶叫系が駄目なら乗らなくてもいいのにと思う。
友達と二人でアイスクリーム屋さんに行った。
並ぶアイスはどれも美味しそうだった。
チョコミントと抹茶のアイスで悩む。
どちらを食べようか。
友達は「抹茶を一つください」と言った。
次の瞬間「チョコミントください」と言っていた。
友達は抹茶のアイスを美味しそうに食べていた。
片づけをしていたら、埃が被ったビデオテープが出てきた。
家庭用のビデオで色んな物を撮っていた時期があったな、と思いを馳せる。
懐かしくなってビデオデッキで再生する。
映像はその時々の欲望を忠実に残していた。
青春そのものを映し出していた。
最後まで見て、その熱意にやられた
機械仕掛けの人形が街には溢れている。
人間と区別がつかないほど精巧に造られた人形は、今日も街を歩いている。
聞こえないほど小さな声で「愛してください」と繰り返す人形達に人形師は酒を煽る。
泣き上戸の人形師はいつか人形が人間になることを夢を見ている。
酒がもたらす夢の中で
バトルフィールド上の最後の敵を斬り捨てた。
息をしているのは自分だけだ。
神剣・神楽を鞘に戻す。
疲労感に苛まれながら、家に戻る。
朝焼けがきれいだなと思った。
玄関を開けると少女が飛び出してきた。
泣き顔で、指先を軽く握る。
「怪我はありませんよね?」
心配をかけたようだった
震えながら家で待っていた。
また大怪我をしていないか。
無事に帰ってきてくれるのか。
分からないことばかりだ。
独りで神様に祈ることしかできない。
神剣・神楽は持ち主の生命維持をしてくれるけれども、手放せば最期だ。
だから戦場についていきたいと思っている。
最期は共に散りたい
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