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「 140文字の物語 」
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湯船につかりながら、今日のことを振り返る。
満面の笑みを浮かべながら、両手を軽く握る。
初めて手を繋いで帰った。
その余韻が手のひらに残っている。
小さくて少し冷たい手だった。
壊れないように、できるだけ優しく包むように握った。
その感触を思い出すだけでにやける。
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少女の印象は鮮烈だった。
初めて出会った時から、強い印象を少年の胸に刻みこんだ。
決して消えない想い出が増えていく。
平穏な時代じゃないからこそ、ささやかな幸せは貴重でかけがえのないものだった。
夜、一人になって思い返す。
今日も少女と一緒だった。
明日もきっと一緒だ。
月曜日の午後6時に集合。というメールが回ってきた。
いつもの居酒屋で女子会が開かれるらしい。
そう遠くない未来を考え、溜息をつく。
仕事やパートナーの愚痴で埋まるんだろうな。
正直、聴いていて気持ちの良い話題は選ばれない。
メンバーが一人欠けていることに気がつき引っかかる
幸せじゃなかったのに、幸せだと言い訳していた。
本当は不幸なのに、そんなことないと強がった。
独りで生きていけるから、大丈夫と笑顔を振りまいた。
今日は誕生日。
駅前でケーキを買って独り祝う。
誕生日の歌を唄って火を吹き消した。
ケーキは涙の味がした。
孤独に打ちのめされた。
暗黒の主人公は南に向かって破壊活動を続けていた。
彼が通った道にはぺんぺん草ひとつ生えていない完璧ぶりだった。
黒ずくめの主人公はひたすら南に向かう。
彼は駆り立てられるように、速度を上げていく。
やがてひとつの城に辿り着く。
最終目的地だった。
勿論主人公は城も破壊した。
突然、少女が倒れた。
よく見れば顔色が悪い。
途切れ途切れに「大丈夫です」と言うが張りがなかった。
青年は慌てて病院に連れていった。
自分が倒れたことなら、何回もあったが、少女が倒れるのは想定外だった。
恐る恐る点滴を受ける少女の、手のひらを軽く握る。
温かかった。
どちらの勢力にも中立な病院で怪我を診てもらった。
どの傷も塞がりかけで、半日も横になっていれば大丈夫だと言われた。
「念のため点滴していくかい?」と医師は軽々しく言った。
せっかく来たので点滴を受けることにした。
それを知った少女は怒り顔で、指先を指先をつつく。
季節的には秋だが、夏日が続いている。
「アイスが食べたいよ」と幼なじみが勝手に冷凍庫を開けた。
残念ながらアイスは昨晩、姉が食べたので最後だった。
「コンビニ行こう」幼なじみの誘いに「アイスって英語で書けたらな」と答えた。
英語が苦手な幼なじみには無理だろうと嘲る。
少女と暮らし始めてずいぶんとなる。
神剣・神楽が繋いだ縁とはいえ、不思議な感じがした。
少女の作る料理はどれも美味しく、おふくろの味を知らない青年にとっては楽しみのひとつだった。
あと何回、食卓を囲むことが出来るのだろうか。
数えきれないほどだといいと思いながら食べる。
仕事の山に囲まれている。
終わらせても終わらせても次から次へとやってくる。
同僚は別の世界に行ってしまったようだ。
休憩でもしようと立ちあがったら、先輩から修正案を渡された。
今から直せというのは鬼だ。
だが、断れず椅子に座りなおした。
今日は終電だろうか。
そっと涙を流す。
肩に紅葉した葉が落ちてきた。
それを払い、まっすぐに前を向いて歩き出した。
朽葉が舞う季節になったのだと、季節の訪れを知る。
目的地は湖だ。
そこで少女が水遊びをしていると情報を入手したのだ。
程なくしてその現場を見た。
青年は堂々と、少女の両手のひらを握り締め、湖から出す
人の気持ちは移り変わっていくものだから、今の自分を見て欲しいと思った。
平穏な暮らしの中に溶け込んでいると、自分の過去は穏やかだったように思える。
そんなはずはないのだ。
水面に波紋を立てるような真似だったが、これからのことを切り出した。
二人の大切な未来のことだった。
黄金色の日差しが室内を満たしていた。
柔らかな色合いに青年は追憶する。
まだ若かった頃の記憶は、輝きに満ち満ちていた。
小さな失敗も今では愛おしい。
変えられない過去はわずかな痛みを伴って胸を打つ。
あの頃の自分たちが窓の外を通ったようで、目を瞬かせる。
湯呑を床に落とす。
少女は本棚からアルバムを引き抜いてきた。
青年の幼い頃の写真が収められていた。
少女は頁をめくっていく。
写真を指してはどんなことがあったか少女は訊く。
観賞用の物語を綴ることになった。
覚えているだけ話聞かせる。
青年は自宅療養になった少女を憐れみながら言葉を紡ぐ。
敵兵を囲まれ、一点を突き破る。
こんなはずではなかった。
空には満月が昇ろうとしていた。
終われない死の舞踏が始まった。
数だけの勝負なら敵の方が有利だ。
しかし、少数精鋭のこちらの方が士気も練度も高い。
剣がぶつかり合う。
受け流しながら、隙を突く。
逃げ切れれば勝利だ。
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