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「 140文字の物語 」
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無惨な点数の小テストが返ってきた。
赤鉛筆で間違ったところに正解を書く。
この小テストは満点が出るまで続けられる。
俺は思わず遠くを見る。
満点なんて取れる気がしない。
窓の外では体育の授業中の生徒たちが走り込みをさせられていた。
どっちが良いんだろうな、と赤鉛筆を回す。
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俺は風を吹かせることのできる超能力を持っている。
気になるあの子の髪を揺らせるぐらいの風だ。
俺はあの子に告白しようと思い、中庭に呼び出した。
告白の言葉を口にしようとすると強風が吹く。
「もう一度、言ってくれる?」と頼まれた。
残り五秒の才能が暴発しなければいいのに。
賢い子は神隠しにあう。
親は悩みながらも、子をひっそりと育てた。
子は気にせずに、外へ行きたいと駄々をこねる。
親は渋い顔をして我が子を柱に縛りつける。
子は縄を抜け外の世界へ出て行った。
親は半狂乱になった。
「ここにいるよ」自由になった子の声は耳に入らない。
まさに神隠し
初めて贅沢をしてしまった。
貸切の露天風呂は星空が見えて綺麗だった。
茫然と見上げていると、星の海に漂っている気分になる。
普段、見上げている空とは段違いの星の量。
数えるのが馬鹿らしいほど、輝いている。
来て良かったなぁとお湯に揺蕩いながら思う。
空に一筋、星が流れた。
楽譜に並ぶ音符は作曲者の魂がこもっている。
一音とて無駄はない。
解釈は様々あれど、その音を聴けば虜になる。
ピアニストが譜面に向かう。
大きな手が音符を楽曲まで高める。
白鍵と黒鍵が入り混じりながら、魂を再現する。
ピアニストは慈しむように、最後まで曲を弾ききった。
少年とはほんの少し前まで同じぐらいの背丈だった。
気がつけば見上げなければ視線が合わなくなっていた。
少女はそのことに苛立ちを感じていた。
少年の背はこれからも順調に伸びていくことだろう。
女の身である自分の背丈は変わらないままだろう。
少年に差をつけられたようで嫌だった
天気が良いと彼方まで見える。
彼が渡ってしまった場所まで見える。
向こうとこちらの境界線が分からなくなる。
一歩踏み出せば、彼の元へ行けるんじゃないかという淡い期待が滲む。
水平線は空と海の真ん中を別ける。
まるで私と彼の間を別けるように。
それが少しだけ悲しくなる。
これは消えた物語である。
書かれる前に消え去っていった人類たちの悲しい物語である。
地球という青い惑星にはみ出すほど膨れ上がった人口。
ゲージの中の鼠が殺し合いをするように、人類は終末に向かって駆け出した。
暁が世界を照らす頃、獰猛なウィルスが蔓延して世界を終わらせた。
完璧な彼に並ぶには、もう一つ足りない。
彼は私こそ運命の相手だと甘く囁いてくれるけれども、満足できない。
彼が完璧であればあるほどに、追いつめられる。
もっと早く大人になりたい。
彼と並んで妹だと思われないぐらいの、大人の女性になりたい。
ショーウィンドウに映る影が笑う。
「美しい女性というのは中身で勝負している」と常々のたまう輩がいる。
その発言にハートを痛めている女性がいるとも知らずに。
外見だけ塗り固めた美女よりも、内面から光り輝いている女性の方が美しいという理論は分かる。
でも大前提に外見も美しいという要素が入っている。
生まれたての厄災は少女の容姿を持っていた。
少女は運命を紡いだかのように一人の少年の元へと訪れる。
孤独を抱えていた少年は簡単に少女を受け入れた。
二人は出会い、惹かれあった。
その結果、飛び切りの厄災がばらまかれることとなった。
「あとでわかるよ」とは皮肉な運命だった。
昼は通い慣れたカフェになった。
彼女は卵の味が優しいパンケーキを頼む。
俺はクロックムッシューとコーヒーを頼んだ。
これまでいつも通りだった。
けれども彼女の表情は険しい。
「この前の土曜日一緒にいたの誰?」
「妹だって」何回も繰り返した押し問答だ。
浮気を疑われているのだ。
天上にいる竜神は水鏡を覗く。
そこには人の営みが映る。
今日も争い、いがみあっている人々が映った。
同じ姿形を持っているのに、どうして仲良くできないのだろうか。
竜神は溜息をつく。
水鏡は別の場所を映す。
そこには生まれたての赤ん坊とそれを囲む家族が映っていた。
かつて彼女は俺の太陽だった。
現在は霞んで見える。
そうまるで真昼の月のような存在になった。
燦々と輝く彼女はもういない。
それが微かに寂しく思う。
目を凝らさなければ見えない存在。
雲に紛れてしまえば、姿を追うことも困難だ。
これ以上、霞まないで欲しいと祈るばかりだ。
日が沈むのも早くなったなぁと思いながら坂道を登っていた。
駅前で買った缶ビールもあとわずかだ。
気持ち良く歌を歌う。
人気のない坂道だから、誰も聴いていないだろう。
久しぶりに日が暮れる前に帰宅できるのだ。
この時間を楽しまなければ勿体ない。
少し汗ばみながら、缶を空けた。
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