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「 140文字の物語 」
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店内に入ると、ふわりと風が頬を撫でた。
温かい風に肩の力が抜ける。
店内は暖房が利いていて暖かかった。
強張っていた指先も自然と解れる。
日が落ちる前は汗ばむぐらいだったのに、夜ともなると寒くなる。
晩秋なのだと思い当たる。
カゴを持って、快適な店内を歩きだす。
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新品のスーツのジャケットを姪っ子が触った。
クッキーを食べて油まみれの手で。
一瞬、怒鳴りそうになって耐える。
「叔父ちゃん、遊ぼうよ」天真爛漫とはこのことか。
屈託のない笑顔で姪っ子は言う。
「その前に、手を洗おうな」姪っ子を台所まで連れていく。
スーツの油は取れるかな。
学校からの帰り道。
小さな石ころを蹴って家までの道を歩く。
真っ直ぐに転がらない石を懸命に蹴り続ける。
帰る友達がいない僕の暇の潰し方。
夕暮れに染まった空を見上げず、うつむいたまま石を蹴り続ける。
家に着く頃には、真っ暗闇になっていて石が見えなくなる。
それでいいんだ。
文字が追いづらくなった。
そこでもうこんな時間になっていたことに気がついた。
さびれた書店だから、店番も立ち読み客に煩く言わない。
早く帰らなければ。迷った末に数冊の本を会計に出す。
外を出たら見事な落日。
桜もさびしがっているだろう。
いつもより遅い時間だ。
急ぎ足になる。
窓越しに日向ぼっこをしていると、少女が隣にやってきた。
床に置かれていた手に、少女はさりげなく、指先を指を絡める。
いわゆる恋人繋ぎと言われる繋ぎ方をする。
恋人ではないから、これは気恥ずかしい。
心臓の音が聞こえてしまいそうだ。
日向ぼっこどころではなくなってしまった。
天龍が見守っている子供も、齢十六となった。
大人扱いされる歳だ。
天龍は子供に訊いた。
「本当の親に会いたくはないかね?」と。
子供は首を横に振った。
「山奥に子供を捨てる親はろくなもんじゃない」と子供ははっきりと言った。
「そうかい。それならいいんだけど」天龍は溜息をつく
邂逅をテーマにした本を読んでいた。
偶然、巡り会った旧友から託された手紙と赤ん坊を巡る話だ。
赤ん坊は主人公の子供として育てられる。
大人になったその子供は自らのルーツを探すために家を出る。
あまりに似た境遇にフラッシュバックした。
家を出ると決めた時の養父の顔を思い出す
アイスケースの前で少女は立ち止まっている。
「食べたいなら買うけど?」青年が言うと、少女は純粋な瞳で見上げてきた。
「高いですよ。それに無駄遣いです」少女は言った。
「好きなの、選べよ」青年は言った。
おねだりということしない少女へ軽いご褒美だ。
これを逃したら機会がない
お互いの体温を確かめ合うように抱きしめあった。
どちらからともなく顔を近づけて、啄むようなキスを繰り返す。
唇が離れると、冷たい風が唇を撫でる。
もっと強く抱きしめて欲しい。
上目遣いでキスをねだると、押しつけるようなキスが降ってくる。
彼の背中に腕を強く回す。
焼き菓子みたいな甘い匂いがした。
「良い匂いがするね。お菓子を持っているの?」思わず問いかけてしまった。
友人は苦笑して手のひらを私の鼻近くまで差し出す。
バニラエッセンスの匂いだ。
「香水だよ」と友人は笑った。
「お腹が空いているの?」という問いに胃が答えた。
白金色の頭髪の少年はいつも通りに、廊下に貼り出されたテストの結果を見上げていた。
何の感慨もなく眺めているだけのようだった。
少女は今度こそはと張り紙を見る。
結果はいつもと同じ。
2位。
いつも通りの普通の結果だった。
少年と視線が合う。
ふと少年が微笑んだような気がした。
籠城戦となった要塞の前で、将軍同士が堂々巡りを繰り返してた。
兵糧が尽きるまで待つ方が良い。
一気に城門を突き破って果敢に責めれば良い。
どちらの策も同じぐらいの説得力があった。
要塞を兵で囲んで将軍たちは、今日も相談を続ける。
炊き出しに駆り出された少年兵は要塞を睨む。
誕生日プレゼントは歳の数だけの深紅の薔薇と指輪だった。
仕事が忙しい彼から珍しくメールが届いた。
誕生日を祝う言葉と一緒に過ごせないことを謝罪するメールだった。
文句の付けどころがない誕生日だった。
こんな時、歳の差を感じる。
大人ってずるいと思ってしまう。
彼女は暗闇を照らす一筋の光だ。
彼女は傷を知らない宝物だ。
彼女が毎朝、僕に挨拶をしてくれる。
それだけでどれだけ幸福になるか、彼女は知らない。
けれどもそれで良いのかもしれない。
彼女が存在しているだけで、僕はどんな絶望にも耐えられる。
彼女はたった一つの救いだ。
この一ヶ月というもの、お菓子作りに夢中になっていた。
最初は手軽なレシピから始めて今はもう簡単なケーキなら焼けるようになった。
洋酒を効かせたチョコレートケーキまであと一歩というところだった。
好きな人に食べてもらうことを考えると完璧な物を作りたい。
今日もお菓子を作る
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