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「 140文字の物語 」
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眼光鋭く人を射すくめる瞳も今は柔らかだった。
本を楽しむように一頁ずつめくっている。
静かな場所での読書は彼の意外性を垣間見させる。
ふいに彼の手が止まって、立ちあがる。
彼は窓辺に寄り、遠くを見る。
窓の外には見事な夕焼けがあるはずだった。
彼は時を忘れるように見ていた。
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太陽が昇り始めたのを床の上で確認する。
傍らには少女がいた。
普段は結い上げている絹糸のような髪はおろされている。
少女の輪郭を視線でなぞる。
一流の人形師がこしらえた人形だと言われても、納得してしまいそうな美しさが宿っていた。
少年は緊張しながら手を伸ばす。
満月が天頂に君臨する時間だった。
彼女が嬉しそうに、俺の腕を握り締める。
道路を歩きながら、彼女は今日あったことを話す。
ご機嫌だ。
それもそのはず、居酒屋でしこたま飲んでいた。
「家に帰りたくないの」という発言をしたので、お持ち帰りをしたのだけれど自信がなかった。
枷から放たれた翼をもつ少女は振り向きもせず窓から飛び立った。
大きな翼を広げ、自由に空を舞う。
頬を撫でる風も、花の香りも、太陽の日差しも、懐かしいものだった。
捉えられていた期間が長かったから、少しの変化が心を躍らせる。
背に力を込めて急上昇する。
青が深くて綺麗だった
少女の声を聞いたことのある人間は稀だった。
少女は言霊使いだから、滅多に口を開かないからだった。
少女が話すことは全て叶う。
噂を聞きつけ、やってくる者も多かった。
けれども少女は首を横に振るだけで、声を発しなかった。
そんな少女が進んで行うことは病院回りだった。
桜色の爪がピアノを弾く。
核にいてつくかけらが使われた人形だった。
ピアノを弾くだけではなく、ある程度の会話ができるように思考パターンを入力されている。
少女の姿をとった人形は人間と見まごうばかりに繊細に造られていた。
少年はそんな人形に恋をした。
叶うことはない恋だった
此度の戦が敗戦なのは濃厚だった。
出兵したからには責任を取らなければならない。
国の威信をかけた戦いだった。
兵たちには疲れが見え、日に日に減っていく数に指揮官は渋い顔をする。
今ならさほどの損失を出さずに撤退することができる。
しかし、大義名分を掲げた戦なのだ。
彼は葉が色づいた夢を見た。
舞い散る赤によろめく。
彼の住む場所では見られないほどの圧倒的な赤に思わず童心に帰る。
手を伸ばして落ちてくる葉を拾い集める。
朽ちた葉特有の香りに包まれて、幸福に浸っていた。
そこで夢から覚めた。
もう少し見ていたかったなと彼は思った。
子供心にも美しい姫だと思った。
金の巻き毛にサファイアのような瞳。
陶磁器のような滑らかな肌。
触れてはいけないような人形のように美しい姫だった。
お転婆な姫はかけっこや木登りに付き合わされた。
懐かしい記憶だった。
齢十六を数えても姫は変わらない。
軽々しく、指に触れる。
午前6時30分。
目覚まし時計が賑やかに鳴る。
布団の温もりに未練があったが、起き上がる。
目覚まし時計を止めて、雨戸を開く。
朝特有の冷たい風が室内を旋回する。
昇りたての太陽が眩しい。
今日も新しい朝が来た。
冷たい風に頬を撫でられながら、空が青くなっていく様を眺めた。
傷つく度に増える傷跡。
普段は見えないように黄緑色のリストバンドをしている。
風呂に入る度、その傷跡を撫でる。
これだけ傷ついてきたのだと確認する。
水を出しっぱなしにして、湯船に手を入れる。
カッターで傷の上から新しい傷を増やす。
力を込めて金属を這わせる。
水が血で染まる
少年は物静かだった。
縁側で詩集を読み続ける。
日本語訳されていない薄い本は難しそうだった。
隣に座る少女はあれこれと忙しく考える。
少年は無言のまま詩集を読み進める。
その真剣な表情から、邪魔をしてはいけないんだと少女は思う。
それでも少年の瞳に映る詩の世界に興味があった
名前負けしていると我ながら思う。
正義と書いてまさよしと読む。
親は一生懸命考えて命名してくれたとは思うが、今日も俯いて帰ってきた。
同僚に声をかけらえれて慌てて会釈する。
一言二言話して、自分のデスクに戻る。
他人と話すのは苦手だ。
キーボードの前で思い切り脱力する。
仕事で凡ミスした。
いつもだったらやらないような初歩的なミスだった。
上司からは叱責されるし、同僚からは笑われた。
取引先に頭を下げに行った。
取引先の社長さんは優しい人で「誰でも完璧にはできないもんだよ」と慰めてくれた。
帰りがけに缶ビールを買って、家でタブを開けた。
バトルフィールド内で息をしているのが自分だけになった。
代償として深い怪我を負った。
神剣・神楽をもってしても完治しない傷だ。
結界が揺らぎ、溶けていった。
「大丈夫ですか!?」少女が走ってきた。
「大丈夫だ」と答える。
少女はそっと、手のひらを触れ合わせる。
確かめるように
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