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「 140文字の物語 」
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「よう!」と景気よく声をかけられた。
おかげで持っていた林檎を取り落とした。
振り返れば、幼少時の面影の残った外見の青年がいた。
「悪い、驚かせたか?」青年は林檎を拾って、カゴの中に入れてくれた。
「久しぶりだね。何かあったの?」上京して以来、青年が帰ってきたのは初だ。
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気がつくとベッドの上に寝かされていた。
見知った天井が一瞬にして安堵をもたらす。
右手に仄かに体温を感じ、目をやる。
さりげなく、少女が指を握ったまま眠っていた。
起こすのも悪いかと思い、そのままにしておく。
先の戦いを振り返る。
神剣・神楽の力だけでは倒せなくなってきた。
遠い昔、人里離れた山奥に宝石が眠っているという噂が広がった。
欲に駆られた若者たちが何人も山奥にわけ入った。
けれども誰一人として宝石を手にすることはできなかった。
宝石は確かに山奥に存在した。
あまりに巨大な上に、金剛石のように堅い。
手を伸ばしても宝石を持ち帰れない。
終電近い電車だけあって、車内はガラガラだった。
彼女は泣き顔で、俺の手のひらを握る。
何を言っても、彼女は泣き止まない。
繋いだ手に温かい水滴が一粒二粒と滴り落ちる。
もうすぐ彼女が降りる駅に着く。
泣いたままにしておくのは残酷だから約束を口にする。
すぐには叶わないけれど
少女と海に来た。
海を見たことがないと言ったからだ。
電車で一時間半。
揺られながら、とうとう海に到着した。
車窓から海を見ているだけでキラキラと輝いた瞳は、大きく開かれる。
「これが海なんですね! 最高の気分です!」と少女は大げさに喜ぶ。
少女は波打ち際まで駆けていく。
透明な水晶の色を変える。
初歩的な魔法でつまづいた。
クラックの入った水晶はあざ笑うかのように透明なままだった。
これでは儀式には使えない。
もう一度、詠唱を始める。
透明な水晶が光り始める。
今度こそ虹色に染まってくれよと思いながら詠唱を続ける。
はたして水晶の色は変った。
戦友とグラスを空ける。
青いボトルに入っていた酒もわずかだ。
別れの時間が迫っていた。
手にしたグラスをカウンターに置く。
戦友は不意にこちらを向いた。
「終わりだな」戦友は笑った。
その笑顔が眩しかった。
背中を叩かれる。
「悪くない日々だったぜ」と言うと戦友はグラスを空けた
死にたがりの少女はビルから飛び降りた。
真っ逆さまに落ちていく。
道路にぶつかるその寸前、重力から解放された。
見上げれば箒をまたいだ魔女が笑っていた。
「そんな簡単に死なせないよ」魔女はにたりと笑う。
これで何度目だろうか。
自殺を試みると魔女が邪魔してくれる。
ソファに横たわっていると、少女がやってきた。
満面の笑みを浮かべながら、手のひらに触れる。
温かい体温に和む。
「今日は良い天気ですね。どこかへ出かけませんか?」少女が誘ってくるのは珍しい。
上体を起こす。
「どこへ行きたい?」と問うと、少女は笑みを深くする。
朝、目覚めた時から怠かった。
階段を下りて、体温計で熱を測る。
体温計が鳴り、液晶画面は38度を示していた。
風邪をひいたのだろう。
リビングで座っているとホットミルクが出された。
熱いミルクはホッとさせてくれる。
卵が入った味噌味のおじやに、風邪薬がテーブルの上に置かれた
紫煙で霞む室内では、さまざまな賭博が開かれていた。
迷った末、ルーレットの席に着いた。
赤と黒どちらに賭けるか、しばらく悩む。
チップを黒に置く。
バニーガール姿の女性がドリンクを運んでくる。
名前も分からないグラスを手に取った。
ルーレットは黒に留まった。
思わず脱力する。
「10日間だけ恋人の振りをしてよ」会話を交わしたことがない男子生徒に言われた。
何故か分からないけれど、私は首を縦に振っていた。
家族以外の男性と喋ったことのない私には重荷だった。
嫌々ながらも、腕にしがみついたり。
一緒にお弁当を食べたり。
その10日間がもう終わる。
暗闇を恐れる一族の中、少年と少女だけは特別だった。
二人にとっては星の僅かな明かりさえあれば、充分だった。
庭に出て夜空を見上げる。
青板ガラスを挟み込んだような空気の中、二人は手を繋いで歩く。
星たちは祝福するように、静かに瞬く。
少年は温かな小さな手を包みこむ。
深海を泳いでいるような感覚だった。
体が押しつぶされそうな重みの中、反射だけで避けている。
神剣・神楽が酷く重く感じた。
ギリギリで避けているところを捕まえられた。
肩を撃たれた。
銀の銃弾は肉を貫通していった。
痛みで神剣・神楽を取り落としそうになる。
が、柄を握り締める。
「それじゃあ、また明日」学校の正門前で別れる。
約束ができるのは嬉しいけれども、もう少し一緒にいてくれてもいいんじゃないかと思う。
彼はそっけない。彼にとって私はどんな関係なのだろう。
ただのクラスメイトではないと思いたい。
駅までの帰り道を一緒に並んで歩きたい。
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