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「 140文字の物語 」
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部屋の片隅で膝を抱えていた。
今日も失敗してしまった。
目を潤ませていると、ノック音がした。
手の甲で涙を拭い、声が震えないように気をつけて「どうぞ」と言った。
程なくドアが開き、少年が入ってきた。
膝をつき視線を合わせてくれた。
アメジスト色の瞳には優しさが滲んでいた。
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レースのカーテン越しの光が青年の顔を照らす。
眉根を寄せて耐えているのは、見るからに辛そうだった。
だからと言って少女にできることは少ない。
額の乗せたタオルは熱を移していた。
慌てて洗面器にタオルを浸す。
冷たい水を吸ったタオルを絞る。
そしてそっと青年の額に乗せる。
ミカンは幼少の頃から大好物だ。
ネットで入っている物じゃ物足りなくて、箱買いしてしまう。
今日もスーパーで特売だった箱ミカンを買ってきた。
お会計前に、ハッとする。
産地名を確認する。
甘くない産地の物だった。
慌てていつも買っている産地の箱ミカンをゲットする。
楽しみだった
吐く息も白い。
冷蔵庫並みに気温が下がった朝だった。
ハンガーに掛けてあったコートも出番のようだった。
マフラーを巻いて、やや猫背気味に通学路を歩いていると、後ろから足音が追いかけてくる。
幼なじみが嬉しそうに、腕を指先でつつく。
「コート出したんだね。似合ってる」と笑う
今は懐いてくれるこの子もやがて大人になる。
幼い頃の約束など忘れて、ただ去っていくのだろう。
それでいい。
それが正しいことだと解っている。
けれども、この子だけは特別だ。
いつまでも忘れないでいて欲しい。
幼い頃に遊んだ相手がいたことを。
心の片隅に置いておいて欲しい。
馴染みのカフェでモーニングを食べている最中だった。
聞き返すと、彼女は同じ言葉を繰り返した。
カフェに流れていた音楽も聞こえなくなってしまった。
昨日までの彼女とは別人の顔をしていた。
もう見知った彼女はいないのだと思うと、ショックが大きすぎた。
彼女はさよならを言う。
子供時代はとうに通り過ぎた。
少年は青年になり、少女は乙女になった。
子猫のようにじゃれ合っていた季節は終わったのだ。
年頃になったのに乙女は変わらず青年にまとわりついてくる。
「手、貸して」乙女は無邪気に笑う。
仕方なく、手を差し出すと乙女は手のひらを指先でなぞる。
木陰で転寝をしている少年を見つけた。
少女はにんまりと笑った。
気配を殺して近づく。
少年の隣に座る。
それでも少年は起きなかった。
健康的な寝息が続く。
少女は笑みを深くする。
少年の髪に触れ、細い三つ編みを作っていく。
やがて少年は目を覚ました。
少女のいじわるに苦笑した。
お菓子作りの本を熟読する。
キッチンに本を置き、それを見ながら手順通りに進行する。
計量するにも真剣だ。
生まれて初めてのお菓子作りなのだから。
オーブンレンジでクルクルと回るクッキーの卵をじっと見る。
チンっと高い音色が鳴る。
ドアを開けると甘い香りにキッチンが染まる。
中途半端に伸びた髪をヘアゴムで結ぶ。
枕元にある神剣・神楽を握り締める。
日常になってしまった非日常への儀式だった。
勇気が湧いてくるのだ。
襖を静かに開け、朝日を浴びる。
今日の敵も強敵だろう。
けれども守るものがある。
廊下には少女が待っていたように立っていた。
松が壁のように並んでいる。
いわゆる防風林だ。
塩にも強く、冬の最中でも枯れたりしないため、ここら一帯は松が並んでいる。
自分にとっては見慣れたものだったが、少女にとっては違ったようだ。
嬉しそうに松ぼっくりを拾っている。
喜んでくれて、こちらも嬉しい気分になった。
拭っても拭っても汗が吹きだす。
扇風機は生温かい風を送るばかりだ。
早く夜にならないものかと、団扇で扇ぐ。
宿題は遅々として進まない。
麦茶でも持ってくるかと立ち上がると、力強く、指先を握り締められた。
「どこへ行くの?」不安げに幼なじみが言った。
汗ばんだ手を握り返す。
少女は誰にもばれないように抜け出したつもりだった。
愛馬に乗って、都が見下ろせる丘にやってきた。
日差しを満喫していると、蹄の音が響いた。
振り返ると少年が馬から降りる姿が目に入った。
鬼ごっこは終わりらしい。
少年相手に逃げ切ることはできない。
自分より自分を知っている。
寒さにもだいぶ慣れてきた。
本を片手に、読める場所を探す。
運良くベンチが見つかった。
座るとさっそく本を開く。
途中で買った珈琲はだいぶ温くなっていた。
かじかむ手がカップを滑らされた。
買ったばかりの本が珈琲で染まる。
慌ててハンカチでその部分を拭う。
零れたのは少しだった
彼女は純白の衣を纏っていた。
昼の光よりも哀しい色の衣は悼みの色。
粛々と葬儀が行われていこうとしていた。
彼女はそれから抜け出す。
今も信じられないのだ。
彼女はとぼとぼと道を歩いていると、彼がやってきた。
欠席を許さないという意思を宿した瞳と宙で出会う。
涙が零れた。
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