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「 140文字の物語 」
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月光が降り注ぐ景色だけを収めたDVDが発売された。
予約特典に惹かれて、購入した。
月光の庭への招待券だった。
DVDの中で映し出された光景が見られるというものだった。
冬闇に閉ざされた世界から抜け出したくて、招待券を使った。
晧い光が零れ落ちていた。
思わず遠くを見る。
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スイッチを入れた。
クリスマスツリーの電飾が点灯する。
少女の顔に喜びで彩られる。
安物のクリスマスツリーだったが少女には充分だったようだ。
点灯するライトを注視している。
その間にケーキとチキンをテーブルの上に乗せる。
今日は年に一度しかない聖なる夜だ。
楽しみはこれからだ
まるで睨みつけるように少女は楽譜を見ていた。
譜面に踊る音符たちを奏でる。
綺麗な音色がぷつりと切れる。
弦を押さえる手が間に合わない。
弦を置いて、ボールペンで楽譜に書きこむ。
もう一度、最初からヴァイオリンで弾きなおす。
今度は弦を押さえられた。
綺麗な旋律になった。
地獄の釜が開いたような紅葉が遥か彼方に見える。
届くわけがないと知りながら手を伸ばす。
まるで写真のように現実味のない紅葉は、燃えているようだった。
カメラを構えてシャッターを切る。
フィルム一本分では足りない。
もっと熱く、激しい。
まるで鮮血のような紅葉を撮り続ける。
息が弾む。
凍った息は白く夜に残る。
どうしてもついていくのは息が上がる。
後ろ姿の人から規則正しい呼吸が見える。
自分とは違う白い息に嫉妬する。
いつか自分も横を並んで走るのだと心に誓う。
今はまだその時期ではないだけだ。
努力を続ければいつの日か叶うだろう。
「皆を支える大地のように心が広い子になりますように」と名付けられた。
原稿用紙に万年筆で名前を書く度、思う。
自分の書いた文章は誰かの助けになっているのだろうか。
両親には感謝しているが、時に重たく感じる時がある。
原稿用紙にぽつりと水滴が落ちる。
涙を流していたようだ。
湖のように穏やかな双眸をしていた。
一介の兵士である自分では相手にはならないような人物だということが分かった。
「いざ、勝負!」片手剣を少女は軽々と扱い、少年との間を詰める。
少年は剣を構え、片手剣の勢いを凌ぐ。
片手剣はそのまま少年の髪を掠める。
穏やかな遊びのように。
左手の薬指を約束の証にしたのは、ずいぶん前のことだ。
いつ渡されるか分からない物のために私の左手の薬指は空席だ。
それを特に不満に思ったことはないけれども、気にはしている。
どうしてあの時、私は頷いてしまったのだろう。
いつ叶うか分からない約束を心待ちにしているのだろう
兄は外見から想像できないが、人情家だ。
今日も帰り道に子猫を拾ってきた。
目ヤニで目が開かないような薄汚れた子猫だった。
「ちゃ太郎が貰われていっただろう?お前が寂しくないようにまた拾ってきたんだ」と取りつくろう。
また里親募集の記事をUPしなければならないようだ。
今まで二人きりになる機会はけっこうあった。
けれども今日は特別だ。
遊園地に初デートなのだから。
気の利いた言葉一つ言えず、行きの電車の中は気まずい思いをした。
けれども遊園地に着くと彼女のテンションも上がったようだ。
遠慮がちに、指先を触れ合わせる。
すると握り返された。
一連の騒動を巻き起こした元凶を睨む。
同族殺しの妖刀、神剣・神楽は静かに畳の上に置かれていた。
青年は中途半端に伸びた髪をヘアゴムでくくる。
覚悟を決めて神剣・神楽を握る。
刀は同族の血を吸えることを喜ぶように、律動する。
青年は神剣・神楽を布に包むと立ちあがった。
頬を伝う涙を拭う。
絶望の中、一筋の光が差し込んだ。
籠城戦をしていた要塞に希望が訪れたのだ。
敵の兵糧がつきかけているという噂が広がったのだ。
我慢比べはこちらの勝ちだったようだ。
物見やぐらから覗いた敵兵の布陣は、やや乱れていた。
飯時なのに立ち上る煙が少ない。
-
年の瀬が迫ったある日。
クリスマスプレゼントを求めて、デパートに立ち寄った。
喜ぶ顔が見たくて、ショップを転々とする。
アクセサリーはちょっと早いだろうか。
好きだと言っていたキャラクターグッズは子どもっぽ過ぎるだろうか。
距離を取りかねる。
友達以上恋人未満の贈り物を探す
「もっともっと」姪っ子が嬉しそうに、両手のひらにしがみつく。
引っ張った分だけ、雪に線が引かれる。
珍しく雪が積もった朝のことだった。
前日に避難するように実家に帰ってきた姉夫婦は、今頃コタツに入っていることだろう。
元気が有り余っている子供の相手を任されて困惑していた
少女は自分が思うよりも強くない。
傍にいたから、少年は知っていた。
むしろその心は弱い。
硝子のように傷つきやすい。
平穏な時代であればそれはそれで良かったのかもしれない。
けれども乱世の時代にその弱さは不安材料でしかなかった。
戦場に立つことができるのだろうかと少年は思う
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