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「 140文字の物語 」
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純粋な少女だから、どうしても欲しかったのだろう。
手に入れる手段が問題があった。
少女は花壇からチューリップを盗んできたのだ。
爪につまった土が消えない証拠となった。
まだ球根のそれを返してくるように言うと、大きな瞳に涙を浮かべる。
手を繋いで、少女が辿った道を引き返す。
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やっと手に入れた。
空っぽのスパークリングワインのボトルを片す。
ほろ酔い気味だった彼女ももう夢の中だ。
どんな夢を見ているのだろう。
唇が微笑みの形をしている。
無防備な寝顔に頬が緩む。
冷蔵庫から日本酒を取り出して、手酌で呑む。
二人きりの密室。
警戒していた彼女は僕の物だ
雨音が途切れた。
期待を込めてベランダに出る。
身を切るような寒さが残っていた。
期待通りに空には虹のアーチが広がっていた。
思わずほほえむ。
携帯電話を取り出して写真を撮る。
まだ寝ているであろう彼に画像を添付してメールをしたためる。
幸運のおすそわけだ。
喜んで欲しいと思う
華やかな声が聞こえてきた。
彼が登校してきた証拠だ。
読んでいた本にしおりを挟むと立ち上がる。
出来るだけ自然に教室を出る。
女子生徒に囲まれた彼は今日も完璧だった。
さりげなさを装って彼と廊下ですれ違う。
そっと、自分の手のひらをぎゅっと握る。
「おはよう」自然に挨拶をする
年に一度の降誕祭だ。
街を歩く誰もが輝いて見えた。
どうしてそんな幸福そうな顔が出来るのか知りたいと思った。
今年も一人きりの降誕祭だ。
バイト帰りにコンビニでケーキと缶チューハイを購入する。
誰も待っていないアパートの部屋でガタガタと震えながら、缶チューハイを空ける。
寝癖のついた髪を無理やり梳かす。
中途半端に伸びた髪をヘアゴムで結ぶ。
空を仰ぐと満月が皓皓と輝いていた。
月は狂気を呼ぶとはよく言ったものだ。
神剣・神楽を抜刀する日は満月が多い。
月が綺麗に輝く日ほど同胞たちは襲ってきた。
今日も一件、お誘いがあった。
指定場所に向かう。
現世は無口な少女に転生した。
物語の主人公にはなれない残念な脇役だ。
夕方、図書室で頁をめくっているような少女だった。
前世は華々しい女騎士であったことと比べると地味な役回りだ。
これといって事件に巻き込まれることもなく、胸をときめかせることもなく、終わっていく人生だ。
すれ違いざま、煙草の香りがした。
彼が好きな銘柄と同じ香りだった。
それだけで気分が弾む。
待ち合わせの場所に着くと、すでに彼が待っていた。
いつものように煙草を吸いながら、時計台を見ていた。
その背中に走り寄る。
後ろから抱きつくと煙草の香りに包まれる。
彼の香りだ。
湯船に浸かりながら、今日あったことを思い浮かべる。
思わず顔がへらりとする。
誰もいない空間で良かったと思う。
それぐらい気色の悪い笑顔を浮かべている自信がある。
今日は初めて手を繋げた。
その温もりを思い出し、へらへらと笑ってしまう。
大きな手に包まれてとてもドキドキした
太陽が生まれたての光を窓を通して部屋に届ける。
部屋の中央では少女が人形の髪を撫でていた。
人形の硝子球の眼球に写る少女は、儚げだった。
ほっそりとした肢体は今にも折れそうだった。
一通り髪を撫でると少女は新しい人形を持ってくる。
そして髪を梳かし始める。
朝の日課だった。
「誤解よ。彼はそんな人じゃないわ」と少女は話の途中で腰を折る。
「それこそ誤解だ。お前は騙されているんだ」少女の兄は心配げに言う。
「彼ほど誠実な人はいないわ」少女は必死に言う。
「ダメだと言ったらダメだ。もう逢わないように」ぴしゃりと兄に言われ、少女は唇を噛む。
幼なじみと惜別した日を思い浮かべる。
寒くもなく、暑くもない季節だった。
お腹は空いていなかった。
全てが満たされた日だった。
幼なじみは泣いていた。
まるでこの世の終わりのように、涙を零していた。
白いハンカチは使い物にならなくなっていた。
それが今でも印象に残っている。
神剣・神楽は持ち主の生命を守ってくれる。
ただし過信は禁物だ。
死なない程度に守ってくれるだけだ。
ちょっとした怪我は治りが遅い。
地面に叩きつけられた時の衝撃であばら骨が折れたような気がする。
肺に刺さってはいないようだ。
痛みが全身を駆け巡る。
それども神剣・神楽を握る。
「ここまで来れば安心だ」男は私をゆっくりと地面におろす。
温もりが遠ざかったことが残念だった。
振り返ると遠くに城が見えた。
自分が見たものが未だに信じられない。
「大丈夫だ。姫さまは俺が必ず守る」男は言った。
城にはたくさんの物を残してきた。
二度と絆が信じられないだろう
根を煎じて飲めば、幸福になるという花があった。
国で厳重に守られて、その花は今日も風に揺れていた。
幸福というものを知りたい男は、その花を一株、盗み出すことに成功した。
ねぐらに慎重に運び、花の根を煎じて飲んだ。
体がポカポカとしてきて、すぐさまに夢を見た。
幸福だった。
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