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「 140文字の物語 」
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二人でどこかに行くのは初めてではなかった。
でも今までとは違う。
友達ではなく、恋人同士になったのだ。
初デートになる。
待ち合わせの場所でドキドキしながら待つ。
時間ちょうどに彼がやってきた。
自然に彼は手を差し出す。
恐る恐る、指をぎゅっと握る。
恋人同士に見えるだろうか。
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初めて行く場所は緊張する。
みんなの輪に入っていけるか、とても心配だった。
それが杞憂だということにすぐに気づかされた。
大きなシャボン玉を作る子、積み木で遊ぶ子、折り紙を折る子。
みんな仲良く遊んでいた。
「わたしも混ぜて」というと「いいよ!」と明るい声がかえってきた。
カレンダーに書きこまれた文字は自分の物ではない。
どこにでもある毎日の中の一日。
特別な日なのだと解っているけれども、忘れていたい。
ひそやかな抵抗は無駄だった。
抵抗すれればするほど、その日が特別な日なのだと脳裏に刻みこまれる。
カレンダーの文字を睨みつける。
雑木林を抜けると平屋の一軒家が見える。
仕事が終わって帰路につくのは幸福なことだったはず。
それが今では、一歩一歩が重い。
二人分の食糧を抱えながら、家に帰る。
悩みの種が玄関で待っていた。
家の中に幼女がいる。
それに慣れないでいる。
「おかえりなさい」幼女は嬉しそうに言う
憧れの先輩と同じ高校に通うのだ。
それを支えに受験勉強を頑張ってきた。
寝る間も惜しんで英単語を覚えた。
苦手教科だからとても辛かった。
そこまで頑張ってきたのに、受験日を間近に控えた今、風邪をひいてしまった。
布団の中で単語帳をめくる。
どうか合格しますようにと祈りながら
地面を蹴る。
土がえぐれてアスファルトの道まで飛んでいく。
まったく上手くいかないものだ。
何となく一緒に帰っていただけの関係に甘えていた。
約束があったわけじゃない。
同じ方向に帰るから一緒になっていただけだ。
今日に限って用事が出来たからと早く帰っていった。
それを恨む。
空を漂う雲のように気ままに流れていければいいのに、と思った。
明日になればどんな形をとっていたか忘却されてしまうような存在になりたい。
そんな自由を与えられていないから、少年は悩むのだった。
かけられた期待の重たさに溜息ひとつつけない。
誰が見ているか分からないのだから
西日が窓から零れていた。
部屋の主はぐったりとベットの上にいた。
風邪をひいたらしい。
遊びに来たけれども、この調子では一緒に遊ぶのは無理だろう。
仕方なく、手のひらを指先でつつく。
いつもよりも高い体温にドキッとして、慌てて手を引っ込める。
「また来るね」と耳元で囁く。
レストランでデザートを食べ終わった。
チョコレートケーキは洋酒が効いていて甘くほろ苦かった。
最後の一口まで堪能していると、テーブルに小箱が置かれた。
「はい、プレゼント」相手はそっけない口調で言う。
「開けても良い?」
「どうぞ」
唐突のプレゼントに手が震える。
椿の生垣に体を縮こめる。
ここなら見つからないかもしれない。
幼なじみの庭で隠れ鬼中なのだ。
足音がしないか耳を澄ます。
このまま忍んでいれば隠れ鬼は勝ちだろう。
そっと息を吐き出す。
まさか椿の生垣に忍ぶとは鬼も思っていないだろう。
絶好の穴場で、時間が経過するのを待つ。
僅かに体を動かしただけで息が弾む。
怪我で寝たきりになっている間に、筋肉が落ちた。
これでは満足には戦えないだろう。
中途半端に伸びた髪を結んでいたヘアゴムを解く。
左右に首を振って青年は溜息をついた。
神剣・神楽の刀身を鞘に納める。
満足に力を振るえずに柄が律動する。
水族館で展示されている深海魚たちは幸福なのだろうか。
生まれ育った場所によく似た場所で優雅に泳ぐ姿を見て、引っかかる。
天敵もいなければ、餌に困ることはない。
与えられるだけの人生だ。
まるで自分に似ている。
レールから外れなければ幸福が待っている。
それ以外は闇の世界だ。
選りにも選って大変な人物と対戦する羽目になった。
傍らにあったグラスから水を飲む。
砂時計の砂が落ち切る前に次の一手を打たなければならない。
熟考を重ねて石を動かす。
対戦相手が砂時計をひっくり返す。
すぐさま一手が打たれた。
キレのある一手だった。
無敵の才能を誇るだけある
屋上への階段を登る。
壊れて役に立たない錠前を外す。
珍しく先客がいた。
自分のように気晴らしに来た、といった表情ではなかった。
「弁当を食べるなら、風のないところで食った方が美味いぞ」声をかけた。
少女は肩を揺らした。
目を逸らしつつ、少女の腕を軽く握る。
少女は泣き崩れた
小テストが返ってきた。
ケアレスミスで満点を逃した。
模範解答と黒板に貼られたのは白金色の頭髪の少年のものだった。
「次に、貼られるのは自分の答案だ」と少女は思った。
毎回、出される小テストにも闘争心を燃やすのは自分がまだ子供だからだろうか。
級友たちは気にしていない。
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