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「 140文字の物語 」
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風が会釈をして前髪をさらっていく。
乱れた前髪を直しながら、故郷に思い馳せる。
こんな柔らかな風が吹かない故郷は、遠くにあるように思えた。
電車で2時間ちょっとの距離しかないというのに、久しく帰っていない。
友達は元気でやっているだろうか。
老いた両親は健康だろうか。
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空調が利きすぎた車内は暑かった。
手袋を鞄にしまい、マフラーを緩めたがそれでも暑かった。
車内に乗り込んでから無口な彼女の顔を覗き込む。
「大丈夫か?」
「うん、平気だよ」彼女の頬は赤く、目が潤んでいた。
いつものように堂々と、指先を握り締める。
思ったよりも熱かった。
一目惚れなんてドラマや漫画の中にしかないと思っていた。
初めて会う人を好きになるなんて信じられなかった。
それがどうしたことか、先ほどから心臓が早鐘を打つのだ。
耳元で誰かが囁きかける。
彼女が運命の人だ、と。
まるで前世から決まっていたかのように、彼女もこちらを見て笑う
天気予報をじっくり眺めては溜息をつく少女。
木々が葉を落としてから毎日の恒例行事となれば少しは気になる。
いや、とても気になっていた。
けれども少女は何も語らない。
最高気温が5℃を下回るとの予報が出た日。
少女の顔が輝いた。
「明日は雪ですよ!」
やっと理解した。
店内は空調が利いていて暑いぐらいだった。
手袋を外し、マフラーを緩める。
少女が嬉しそうに、少年の手のひらを握る。
素肌が触れ合ってドキリとした。
先ほどまで外にいたせいか、少女の手は少し冷たかった。
それが可哀そうだと思い、小さな手を握り返す。
少しでも温まるように、と。
勝負に勝ったのに腑に落ちなかった。
少年はこんなに弱かっただろうか。
違う。
背を追い抜かれてからは少年の方が勝っていた。
少年は晴れ晴れとした顔で「負けてしまいましたね」と穏やかに言った。
その瞬間、手を抜かれたのだと気がついた。
勝ちを譲られたのだ。
少年の頬を叩いていた
瞬く星の夜に惜別を迎えることとなった。
今生の別れだと思うと自然と涙があふれた。
去りゆく人は電車の時間を気にしながらも、ホームに留まっていてくれた。
握りしめる温もりが離れていくのかと思うと生木を裂くように辛かった。
「泣き虫だな」と茶化すように去りゆく人は微笑んだ。
日が沈んでいくと同時に、両軍の兵は退いていく。
束の間の平穏がやってくる。
少年は自分の天幕に戻ろうとした。
それを少女が引きとめた。
怒り顔で、少女が指先に触れる。
夕映えの中でも、顔を真っ赤にして怒っているのが分かる。
「怪我してるでしょ」
誤魔化せなかったようだ。
夕方の帰り道。言葉もなく二人は歩いていた。
とぼとぼとした足音が沈黙を埋めていた。
少年は少女にかける言葉を見つけては飲みこんでいた。
少女は俯く。
顔を上げることができずにいた。
触れあいそうで触れあわない手がゆらゆら揺れる。
長く伸びた影を踏みながら二人は歩き続けた。
「悪いことは言ってはいけないよ。言霊になって還ってくるからね」と祖母に和やかに言われた。
私はそれを鼻で笑う。
どれだけ悪口を言っても政治家は死なないし、担任の先生はクビになったりしない。
私は悪口を言い続けていた。
幸い同士もいたこともあってスピードは上昇した。
額にヒンヤリとした感触を覚えて目を開けた。
「起こしちゃった?」いつもよりも抑え気味の声が耳を打つ。
「食欲はある?」幼なじみの問いに頷く。
どうやら少し眠っていたようだった。
ゆっくりと上体を起こす。
程なくして幼なじみがお粥を運んできた。
鶏粥はとても美味しかった。
通り過ぎてしまえば麻疹のようなものだ。
懐かしさだけが残る。
どんなものも良い思い出に区分されてしまう。
その渦中にいる時は、毎日がドキドキハラハラするものだった。
席替え一つとっても大イベントだった。
毎日課せられる小テストの点数は憂鬱だった。
青春はそんなものだった。
歴史という嵐の狭間で時渡る少女は傷つく。
助けられない生命を思って涙する。
繰り返される動乱の中、少女は傍観者でなければならない。
時間と空間の調停者という役割はひどくもどかしい。
神の代わりに観ていることだけしかできない。
運命を変革する異分子を排除するのが役割だ。
-
少女が笑うと、少年も笑った。
少女が泣くと、少年も涙した。
二人はいつでも一緒だった。
何をするのもいつも二人っきりだった。
その絆は糸を半分にしたよりも強く、しなやかだった。
鏡合わせのような二人はその手を放したりはしなかった。
離れたら二度と一緒に入られないと知っていた
目が覚めたら頭が重かった。
よろよろしながら台所で水を汲む。
グラス一杯の水を飲むのがひどく辛かった。
胃の動きも不活発だ。
飲んだ水を吐き戻しそうになる。
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出してグラスに注ぐ。
今度はゆっくりと飲む。
完全な二日酔いだ。
昨日は酒を飲み過ぎた。
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