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「 140文字の物語 」
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改札を出て茫然としてしまった。
雨が降っている。
電車に乗っている間、寝こけていたのも悪かったのだろう。
突然の雨に驚いている。
雨は春らしくそれほど強くない。
ポツリポツリと降っている。
家までの距離はそれほどではない。
足早に駅を飛び出した。
肌を伝う雨が心地よかった。
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目が覚めたら、白い天井が見えた。
耳についたのはわずかな機械音。
どうやら病院に運ばれたらしい。
前後の記憶があいまいで、起き上がっていいのかも分からない。
周囲を見渡す。
すると少女の顔が飛びこんできた。
少女が優しく、両手にしがみついてきた。
「これきりにしてくださいよ」
暖かな春の日差しが差し込む部屋で、青年は少女をソファに座らせた。
青年は膝をつき少女を見上げる。
優しく、少女の両手のひらを握る。
大切な宝物のようにそっと手を包みこむ。
少女は耳まで赤くしたが、手を離さなかった。
体温が混じりあうように二人の気持ちも混じりあう。
妙に体が重く、やっとのことで起き上がった。
そろりと床に足をつけば、体が微妙に揺れた。
熱でも出たのだろうか。馴染みある感覚が、体温計を脇の下に挟む込ませた。
今日は休むわけにはいかない。
体温計が示した体温は37度。
これなら風邪薬で誤魔化せるだろう。
薬箱を漁った。
こちらの気持ちなんて、さらさら考えたこともないだろう。
いつも私の方が振り回されている。
もう少し私のことを考えてほしいと思うのは贅沢なのだろうか。
周囲の人たちは私を見て、恵まれているという。
良い子ちゃんを演じていられるのは、そろそろ限界だった。
本当の私を見てほしい
「まだ大丈夫」独り言を呟く。
神剣・神楽の鞘を撫でる。
しっとりとした漆塗りの鞘は冷たく手のひらに囁く。
同胞の血をすすりたいと。
斬れば斬るほど斬れ味が増す神剣・神楽らしい回答だった。
幾人の命をすすったのだろうか。
心が壊れそうになる。
けれど青年は神剣・神楽を手に取った
-
今日はささやかな嘘ならついて良い日だ。
少女はどんな嘘をつこうか、先月からずっと考えていた。
青年に騙されて欲しいと思う。
けれども生まれてこの方、嘘をついたことがないから嘘のつき方が分からない。
もじもじとしていると「好きだよ」と青年が言った。
「嘘。大好きだよ」と笑う
今日は何をやってもダメな日だった。
星座占いでも最下位だった。
気持ちがくさくさとする。
友達に電話でもしてみようか。
誰かに愚痴を聞いて欲しい気持ちでいっぱいだった。
空はこんなに蒼くて、桜も満開なのに最低な気分だった。
帰り道、コンビニに寄って缶チューハイを買った。
ここ数日の陽気で、桜が満開を迎えた。
咲いたと同時に散る心配をしなけれならないのがソメイヨシノだ。
咲いてから一週間と持たない。
青年は少女を連れて桜の名所に向かうことにした。
近所にも桜は咲いている。
けれども少女には綺麗な桜を見てほしいと思った。
この瞬間だけなのだから
急な気温の変化に体がついていかなかったらしい。
珍しく青年が体調を崩した。
ただの風邪だと、眠っている。
少女は粥を作って青年の元に持っていった。
そろそろ青年が目覚める頃だろう。
部屋に入ると青年は起き上がっていた。
少女が粥を置いて去ろうとすると、力強く指先にしがみつく
日が長くなってきた。
太陽の光をいっぱいに浴びると、くさくさとした気持ちが晴れる。
帰り支度をする頃は夕焼けになってしまっているけれども。
沈んでいく太陽に自分を重ねたりする。
まだ大丈夫。
元気にしている。
故郷の友達に胸を張って言える。
夢を叶える場所はここなのだ、と。
桜の花びらが舞っていた。
和やかな昼下がり。
こうして春の日差しを浴びていると分からなくなる。
戦場で命のやりとりをしている。
それが日常になってしまったことをふと忘れてしまいそうになる。
次の戦いはいつだろう。
決着のつかない戦いに放り込まれて、もうずいぶんな時間になる。
「お化けなんて怖くないわ!」少女は言った。
その声は微かに震えていた。
「寝ぼけた誰かが見間違えただけよ」そう言いながら、少女は恐る恐る、指先に触れる。
少年はいつものように微笑んでその指を握り返した。
意地っ張りな少女の手は震えていた。
よほど怖い目を見たのだろう。
木蓮の花が夜空に向かって咲き始めた。
花弁はまだ固く、広がってはいない。
でも2、3日中には満開になるだろう。
そんな予想が出来た。
いつもの帰り道に咲く木蓮の花は、夜空に白く映えて素敵だった。
一輪、手を伸ばして撫でる。
しっとりとした花弁にビロードが思い出された。
彼女が満面の笑みを浮かべながら、指先をぎゅっと握る。
どうやらご機嫌らしい。
彼女にしては珍しい行動だった。
嬉しかったので握り返す。
すると彼女は嬉しそうに笑みを深くする。
程よく酒がまわっているのだろう。
こんな酔い方なら大歓迎だ。
「えへへ」と彼女は楽しそうに笑う。
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