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「 140文字の物語 」
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少年は、木陰にやってきた夜空を撫でる。一欠けらの夜空はくすぐったそうに笑う。
玉子色だった月が晧くなっていく。眩しいばかりの太陽に、星たちは消されていく。
少年は丸い硝子ポットに、それをそっと入れる。
空の欠片はふるふると震えながら、硝子のポットに滑りこんだ。
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何度約束しても、その約束は果たすことができなかった。それでも少女は約束をくりかえす。
まるで少年の生命を繋ぎとめるように、何度でも何度でも。少年は物分かりのよさそうな笑顔を浮かべる。
少女は苦いものを飲むように小指と小指を絡める。少女は解って欲しいと願いながら。
iotuは、特別に優しい声で最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。

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僕は、特別に優しい声で最後の嘘をついた。それは自分の幸せのための嘘だった。
君のためではない、自分のためと言い聞かせなければいけない嘘だった。
「怖いものなんてないよ」と僕は君に笑ってみせた。君はホッとしたような顔をした。それでいい。
僕は、本音を仕舞い込んだまま。
あなたはボーナスでカメラを買った。コンデジではなく、ミラーレスだ。
これから結婚資金を貯めなければいけないのに、楽観的なあなたらしい散財だった。
「毎日、変わる君を残しておきたいんだ」とあなたは微笑んだ。カメラを構えてシャッターを切る。
私は、そんなあなたを睨む。
「彼が私の気持ちを解ってくれない」そう親友は言った。どこにでもあるありふれた悩みだろう。
だからつい笑ってしまった。「あなたも解ってくれないの?」親友は俯いてしまった。
泣き虫の親友が泣きだしたら大変だ。「大事にしてもらっていると思うよ」と私はあわてて言葉を紡ぐ。
iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
・・・どうしようもないな。

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僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の噓をついた。それは心にできた傷をいやすための嘘だった。
君をこれ以上、傷つけないための嘘だった。「これ以上関わらないでくれ」と僕は微笑んだ。
君にだけは弱みを見せたくなかった。それなのに君は泣きだした。・・・どうしようもないな。
「初めまして」と私はドレスの裾を持ち上げて、腰をかがめて、頭を下げた。完璧な挨拶だった。
幾度も練習してきたのだ。当然の結果だろう。ふいに手を引かれた。
少年は軽々しく、私の両手を折れんばかりに握る。痛かったけれども、ここでめげる私ではない。
私は笑顔で握り返した。
少年は少女の手のひらと自分のそれを重ねた。不思議そうに少女は少年を見た。
「これが君と僕の境界線」と少年は寂しそうに笑った。
「今日こそ、乗り越えてみせる」と少年の手は少女の頬にふれた。
優しく撫でた後、少年は少女に口づけをした。それに少女は驚き、思わず突き放した。
きっと彼女は純白のドレスを着てくるだろう。だったら、私は対等になるように漆黒のドレスを着よう。
そうすればパーティー会場は賑わうだろう。用意されたドレスに身にまとい私は会場に入った。
ざわざわと人の声が湧く。彼女は深紅のドレスを着てきたのだ。私は打ちのめされる。
出会いは偶然で、ありきたりなものだった。どこにでもある高校の入学式。
名前の順に並べられた机のお隣さん。物静かな私とあなた。クラスから浮いていた。
それでも、どこかのグループに入ることはなかった。あなたはそっと、私の手のひらを指先でなぞる。
『ありがとう』と書く。
愛猫が私の膝の上から降りた。ほどなく玄関の鍵を開ける音。愛猫はすたすたと玄関に向かう。
それに遅れて私を向かう。「ただいま」とあなたの声がした。「お帰りなさい」と私は言った。
あなたは愛猫の喉を撫でていた。そして私にも「ただいま」と言う。ほんの少しの、嫉妬をした。
僕がこの大地を愛するように、君を大切にする。だから、君もこの大地を特別に思ってほしい。
そう僕が言うと、君は厳かな顔をして「誓うよ」と短く了承してくれた。
遠く離れた土地から、何もかもおいて嫁いできてくれた君を愛するよ。
絶対に泣かせない。僕も胸の中で誓いを立てた。
君は岸辺につくと下を向きながら歩き出す。悲しいからではない。苦しいだからではない。
辛いからではない。石を探しているのだ。
そして飛び切りお気に入りの石を見つけると、家に帰って研磨する。ただの石ころが宝石のように輝く。
「綺麗でしょ」と君は笑った。君の方が綺麗だよ。
神剣・神楽の鞘をつかんだまま、青年は路地裏へと逃げこんだ。同胞は槍を扱う壮年の男性だった。
こんな狭い場所では得物を振るうことは難しいだろう。「突き刺されたら、おしまいか」と青年は言った。
少女は遠慮がちに、青年の手のひらを握り締める。穏やかな癒しの力を感じた。
「うるさい、わかっているくせに」と僕は言ってしまった。
君はやり場のない手で「ごめんなさい」と謝った。謝らせてしまった。
僕を抱きしめようとした手は引っこめられた。その一連の動作を見て、僕は後味の悪さを感じてしまった。
僕は悪くない。そう強がってみても意味はない。
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