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「 140文字の物語 」
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君は泣き顔で、僕の両手を指先でなぞる。
僕の体温よりも低い君の手は、ほんの少しくすぐったい。
「ずっと一緒にいてくれないと、ダメなんだから」嗚咽の合間に、君が言う。
「君とはずっと一緒だよ」僕は手を繋いだまま言った。
「今日、一緒に歩いていた人は?」君は鼻水をすすり上げて尋ねる。
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「サヨウナラ」と君が言った。
「じゃあ」でも、「また明日」でもなく、はっきりと「サヨウナラ」と言った。
だから、僕も「サヨウナラ」と笑顔で言った。
君は踵を返し、自分の家に向かって行った。
最後の夜を過ごすのだろう。
君が振り返ることもないだろうから、僕は声をからして涙を流した。
町から子供が消えていくよ。
その度に、ご神木が成長していく。
次は年齢的に私の番だろうか。
ご神木の成長は目に見えるほどだった。
どうしてこんなことになってしまったのか、私は知りたくない。
次の番の夜、幼馴染がこっそりと部屋に入ってきた。
そして、私の手をとり、町から抜け出した。
足に鎖をつけられた少女は、牢番に問いかける。
「いったい、いつになったら出られるんでしょうね」と少女は鎖に触る。
じゃらりと音を立てた鎖は重々しかった。
牢番は少女の問いに無視をする。
それもそのはずだった。
牢番は声を失った、かつての牢人だったのだ。
少女は知らずに問いかけ続ける。
少女が浮気者!と叫び、堂々と、少年の指に爪を立てる。
少年が「君以外を見て、ごめんね」と謝る。
道行く人は少年が何を見ていたのだろうか、と気になった。
黒猫がにゃーんと少年の足にまとわりつく。
少女の瞳がさらに険しくなる。
「そんなに猫がいいなら、猫と付き合えば?」少女は言った。
君は唐突に「あなただけを愛している」と言った。
カフェのざわめきに紛れこむように、静かに。
僕は驚いて、君を見つめた。
「そう言って欲しいんでしょ?」君はそういうとカフェラテを飲む。
僕は「嘘だったら嫌だなぁ」とブレンドを口に運ぶ。
「嬉しくないの?」君は小首を傾げる。
「どうかな」
綺麗な花が咲いていた。
この花なら大丈夫だろうか。
そんなことを考えながら、そっと花にふれた。
すると花は見る見るしぼんでいった。
好みにかけられた呪いは、まだ解けていないようだった。
枯れた花を見て後悔をした。
自分がふれなければ、ずっと綺麗なまま咲いていられただろう。
悲しかった。
青年は朝食ができるまでダイニングテーブルで新聞を広げていた。
キッチンでは楽し気な音がする。
いい香りがして胃が空腹を訴える。
新聞を読み終る頃に少女が朝食を運んできた。
「寝癖、ついていますよ」と少女が笑った。
青年は「元からの地毛だ」とムキになる。
年齢が逆転しているようだった。
私は昔から体が弱かった。
行事に参加できたことなんてない。
それでも少しずつ体が丈夫になってきたのだろう。
高校最後のイベントの修学旅行に参加してもいい、と主治医からOKサインが出た。
けれども神社への坂道で貧血を起こした。
そんな私に手が差し伸べられる。
恐る恐る、手のひらに触れる。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「今とても幸せだよ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。
それは最初で最後の嘘だった。
「今とても幸せだよ」と僕は微笑みを浮かべて言った。
・・・うまく笑えたかな?
君にだけは見破られたくない。
幸せの裏表の感情を抱きながらも、幸せだと言えるような嘘。
そんな薄情な僕を気づかないでいてほしい。
「都合のいいことだと分かっている」とうつむきながら、君は切り出した。
「もう一度好きになって」と君が寝耳に水なことを言った。
「僕は君を嫌いになったことなんてないよ」と言うと、君は顔を上げる。
「だって最近、連絡取れないし、上の空だから、嫌われたと思っていた」と君は微笑んだ。
青年が怪我をする度に、少女は涙を零す。
神剣・神楽の治癒力を持ってすれば、一晩眠ればきれいに治る傷だと少女も知っている。
それでも青年が怪我をする度、ハラハラと涙を流す。
少女を泣かせるために戦っているわけではない。
逆だ。
少女を幸せにするために戦っているのだ。
同胞を傷つけても。
あなたと私のコンパスは違う。
背の高いあなたの一歩は、私の小走り。
気にしてくれて、歩くのを止めてくれる優しさも好き。
緑の葉が紅色に染まったのを一枚、私にくれた。
「ちいさい秋、ですね」とあなたは微笑んだ。
それが嬉しくて「栞にします」と私は心から笑う。
あなたは無言でうなずいた。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

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僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
だからだろうか、罪悪感が胸を締めつける。
君のための嘘だったら良かったのに。
「すべて夢でも構わない」と君の瞳を見て言った。
嘘だと言えたら、どんなに楽になるだろうか。
自己満足の嘘は最後まで貫き通す。
喫茶店で寄り道をした。
僕はブレンド、君はホットココア。
マグカップを包みこむように持った君は少し憂い顔。
言い出しにくいことでもあるのだろうか、君は視線を落とす。
「好きだったのは、嘘じゃないけど」と言葉を言い淀む。
別れを切り出されるのだと僕は覚悟した。
「愛してるの」と笑った。
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